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154話・謝罪

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 アードちゃんは泣きながら、お姉さんの元へと飛び込んでいった。
 やっぱり、お姉さんと離ればなれになって寂しかったんだろう。
 その光景を見ていると、後ろにいたソフィアが僕の横に移動してきて、手を握ってくる。

「どうかしたかい、ソフィア?」

「ううん… なんとなく、繋ぎたくなっただけ…」

「そっか…」

「うん…」

 僕は、そう言うソフィアの頭をそっと撫でてやりながら、アードちゃんたちの様子を見守った。





 飛び込んできたアードを私は、ギュッと抱き締めてあげる。少しして、

「ご… ごめんね、お姉ちゃん…」

「いいのよ、アード。それより、あそこにいる人族たちはどなたなの?」

 私は、気になった2人の人族について聞いてみる。

「あの人たちは、私を助けてくれたお兄ちゃんと、友達のソフィアちゃんだよ。」

「そう… それで、あなたに何があったのか、教えてくれる?」

「うん…」

 アードは、自分に何が起こったのかを教えてくれた。
 話を聞き、改めて人族への愚かさと怒り、そして優しさを実感した。

「そんな事があったのね… それじゃあ、私もお礼を言いたいから、連れていってくれる?」

「うん!!」

 私は、アードに手を引かれ、2人の人族の元へとむかう。





 少しして、泣き止んだアードちゃんが、僕たちを指差しながら、お姉さんに話しかけた後、手を引いて僕たちの方へとやって来る。こっちに来る間に、お姉さんの横に浮いていた人は、お姉さんが何か話しかけたかと思うと、すっと溶けるように消えていった。
 2人で、やって来ると、ソフィアが話しかける。

「お姉ちゃんに会えて、良かったね、アードちゃん。」

「うん!! お兄ちゃんとソフィアちゃんのおかげ… 2人ともありがとう!!」

「私は何もしてないよ。全部、お兄ちゃんのおかげだよ。」

「そう言う約束だったからね。僕も、約束を守れて、良かったよ。」

「うん!! 本当に、ありがとう… それでね、お姉ちゃんも話があるって…」

 アードちゃんがそう言うと、

「アードから話しは聞きました。私の名前は、ドリと言います。私からも、お礼を言わせて下さい。アードを助けて、ここまで連れて来て下さり、本当にありがとうございます。それに、突然攻撃してしまい、すみませんでした!!」

 アードちゃんのお姉さん改め、ドリさんが僕たちに、深々と頭を下げてきた。
 確かに、突然の攻撃には驚いたけど、誰かが怪我をした訳でもないし、アードちゃんに起こった事を考えると、見ず知らずの僕たちを警戒して当然の事だ。

「頭を上げて下さい、ドリさん。僕は、気にしてませんから。ソフィアはどう?」

「お兄ちゃんが守ってくれたし、私も気にしてないよ。」

「だ、そうです。ですから、ドリさんも気にしないで下さい。」

 僕がそう言うと、ドリさんは、

「…分かりました。」

 おそるおそる、頭を上げてくれた。
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