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151話・案内ともふもふ
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僕は、アードちゃんの頭を撫でてやる。
「それでね、アードちゃん。」
「なに?」
「ここの事は、出来れば誰にも言わないで欲しいんだ?」
「分かった。」
アードちゃんは、すぐそう答えてくれる。
「ありがとう、アードちゃん。なら、せっかくここに来たんだし、帰る前に、案内しようか?」
「うん!!」
僕の提案で、ダンジョン内を案内する事になった。
まぁ、案内と言っても、見る場所は、森くらいしかないんだけどね。
その森へと、2人と手を繋ぎながら歩いていく。
森に近づいた所で、アードちゃんが足を止める。
「どうかしたの、アードちゃん?」
「あの森、凄い…」
「凄い? 何が凄いのアードちゃん?」
僕の代わりに、ソフィアが尋ねる。
「木の1本1本が力強く感じる…」
「そうなの、お兄ちゃん?」
「どうなんだろう? ちょっと、僕には、分からないかな。アードちゃんは、良く分かるね。」
「私、森で暮らしているから…」
「そう言えば、言ってたね。」
ソフィアはそう言うが、僕は初耳だったから、
「そ… そうなんだ…」
そう返すしかなかった。
再び歩きだし、アードちゃんの森での話を聞いていると、いつもの定位置で、レイが寝ていたので、そっちの方へ歩いていく。
「アードちゃん。あれが、お兄ちゃんのペットのレイだよ。」
ソフィアが、アードちゃんにそう教える。
ソフィアよ。レイは、従魔であって、ペットではないよと訂正する前に、
「そうなんだ!!」
「そうだよ。それに、触るともふもふして柔らかいから、アードちゃんも触ってみて!! いいよね、お兄ちゃん?」
話すタイミングを逃してしまったが、まぁいいかと思い、
「…あぁ、大丈夫だと思うけど、先にレイに確認してみるよ。」
レイのもとに着くと、レイが顔をあげる。
「なぁ、レイ。触ってもいいかい?」
レイは、あげた顔を縦に振ってくれる。
「ありがとう、レイ。」
僕は、お礼を言って、アードちゃんに触らせる。
アードちゃんは、手を繋いでない方の手を恐る恐る手を近づけ、レイに触る。
「柔らかい…」
アードちゃんは、にこりと笑いながら、 優しく撫でる。
その後は、3人で、レイをもふもふした後、ぐるっと森を周り、上へと戻った。
◆
ダンジョンを案内して、少し休憩を挟んだ後、アードちゃんを送る用意をする。
因みに、ソフィアもついて来るようなので、念のため、ソフィアには僕が造った装備をさせてある。
「それじゃあ、アードちゃん。そろそろ、行こうか?」
「うん!!」
「それじゃあ、はいこれ。」
僕は、転移結晶を手渡す。
「使い方は、さっき教えた通りだよ。」
「分かった…」
僕はソフィアとアードちゃんと手を繋いでおく。
「それじゃあ、いいよ、アードちゃん。」
「うん…」
アードちゃんが、転移結晶に魔力を流し、一瞬で目の前の光景が変わった。
「それでね、アードちゃん。」
「なに?」
「ここの事は、出来れば誰にも言わないで欲しいんだ?」
「分かった。」
アードちゃんは、すぐそう答えてくれる。
「ありがとう、アードちゃん。なら、せっかくここに来たんだし、帰る前に、案内しようか?」
「うん!!」
僕の提案で、ダンジョン内を案内する事になった。
まぁ、案内と言っても、見る場所は、森くらいしかないんだけどね。
その森へと、2人と手を繋ぎながら歩いていく。
森に近づいた所で、アードちゃんが足を止める。
「どうかしたの、アードちゃん?」
「あの森、凄い…」
「凄い? 何が凄いのアードちゃん?」
僕の代わりに、ソフィアが尋ねる。
「木の1本1本が力強く感じる…」
「そうなの、お兄ちゃん?」
「どうなんだろう? ちょっと、僕には、分からないかな。アードちゃんは、良く分かるね。」
「私、森で暮らしているから…」
「そう言えば、言ってたね。」
ソフィアはそう言うが、僕は初耳だったから、
「そ… そうなんだ…」
そう返すしかなかった。
再び歩きだし、アードちゃんの森での話を聞いていると、いつもの定位置で、レイが寝ていたので、そっちの方へ歩いていく。
「アードちゃん。あれが、お兄ちゃんのペットのレイだよ。」
ソフィアが、アードちゃんにそう教える。
ソフィアよ。レイは、従魔であって、ペットではないよと訂正する前に、
「そうなんだ!!」
「そうだよ。それに、触るともふもふして柔らかいから、アードちゃんも触ってみて!! いいよね、お兄ちゃん?」
話すタイミングを逃してしまったが、まぁいいかと思い、
「…あぁ、大丈夫だと思うけど、先にレイに確認してみるよ。」
レイのもとに着くと、レイが顔をあげる。
「なぁ、レイ。触ってもいいかい?」
レイは、あげた顔を縦に振ってくれる。
「ありがとう、レイ。」
僕は、お礼を言って、アードちゃんに触らせる。
アードちゃんは、手を繋いでない方の手を恐る恐る手を近づけ、レイに触る。
「柔らかい…」
アードちゃんは、にこりと笑いながら、 優しく撫でる。
その後は、3人で、レイをもふもふした後、ぐるっと森を周り、上へと戻った。
◆
ダンジョンを案内して、少し休憩を挟んだ後、アードちゃんを送る用意をする。
因みに、ソフィアもついて来るようなので、念のため、ソフィアには僕が造った装備をさせてある。
「それじゃあ、アードちゃん。そろそろ、行こうか?」
「うん!!」
「それじゃあ、はいこれ。」
僕は、転移結晶を手渡す。
「使い方は、さっき教えた通りだよ。」
「分かった…」
僕はソフィアとアードちゃんと手を繋いでおく。
「それじゃあ、いいよ、アードちゃん。」
「うん…」
アードちゃんが、転移結晶に魔力を流し、一瞬で目の前の光景が変わった。
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