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143話・リーベ

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 リーベさんの耳は、グラディウスさんと同じで、少し尖っていた。

「あら、この耳が珍しい? 私も、そこにいるグラディウスと同じで、エルフよ。」

 リーベさんは、そう教えてくれる。

「そうなんですね。わざわざ、ありが…」

 ぐー

 教えてくれた事に対するお礼を言おうとした瞬間に、またしても、僕のお腹は突然に鳴り出す。

「ふふ… リーベ。悪いけど、先にご飯の用意をしてくれる?」

「えぇ、分かったわ。いつものを2人分でいいかしら?」

「それで、お願い。それじゃあ、ノーリ君。私たちは、席の方へ行こうか。」

「は… はい…」

 僕は、顔を真っ赤にしながら、グラディウスさんに背中を押されながら進んでいき、個室へと入った。





 個室にて、料理を待っている間に、先ほどの失態を話に持ち出される前に、別の話をふってみる。

「グラディウスさん。ここは、いったいどういう所なんですか?」

 グラディウスさんのおすすめのお店という事は聞いているが、僕たち以外のお客さんがいるように思えないから、そう聞いてみた。

「最初に言った通り、私のおすすめのお店よ。ただ、少し特殊である事には変わりないけどね。」

「特殊ですか?」

「そう。一応、頼めば料理を出してくれるけど、本業は、情報屋なの。」

「そうだったんですね。」

 だから、こんな時間なのに関わらず、人がいなかったのか。

「ノーリ君も、何か聞きたい事があったら、尋ねてみるといいよ。だけど…」

 グラディウスさんが、そっと顔を近づけてくる。

「かなりの情報料を持っていかれるから気を付け… 痛っ!!」

 部屋に入ってきたリーベさんは、容赦なくグラディウスの頭の上に、拳を振り下ろしていた。

「グラディウス、変な事教えないの。それに、私が貰ってる情報料は、ちゃんとした適正価格よ。だから、ノーリ君も何かあったら、いつでも聞きに来て大丈夫よ。」

「はい。何かあったら、尋ねさせて貰います。」

「リーベ。それより、ご飯は?」

「はいはい、ちゃんと用意してるわよ。今持ってくるわ。」

 リーベさんは、部屋を出てすぐに、料理を持ってきてテーブルの上に並べてくれる。
 並べられた料理は、野菜を使っている物が多かった。

「それじゃあ、食べようか、ノーリ君。」

「はい!!」

 僕は、グラディウスさんの合図で、料理に手をつけ始める。空腹だったからか、料理が美味しかったからか、一口食べ始めると手が止まらなくなっており、気づけば全て平らげていた。



 

「ノーリ君。料理は、どうだった?」

「とても、美味しかったです。」

「ふふ… それは、良かった。それで、ノーリ君は、この後どうする予定なの?」

「この後ですか?」

「えぇ、そうよ。時間が遅いから、今日は宿屋に泊まるとして、いつ頃王都へ帰る予定?」

「そうですね… 妹たちの事もありますから、用がなければ、すぐに帰りたいですかね。」

「そっか。」

「それで、グラディウスさん。僕が受けていた特別依頼は、達成出来たという事でいいんでしょうか?」

「えぇ、達成よ。報酬については、後日王都に戻った時に、渡すわね。」

「はい、それで大丈夫です。」

 特別依頼が達成出来たというなら、明日にでも、王都へ帰れそうだ。
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