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プロローグ

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 僕の名前は、ノーリ。父さん譲りの金髪・蒼目の10歳。魔法学園に通っているが、魔法はからっきしだ。
 父さん、母さん、妹の4人家族だった…
 借家暮しのごく普通の生活を送っており、仲は良く、笑顔が絶えなかった。
 こんな生活が、いつまでも、続くと思っていた。

 だけど、そんな生活が突如して崩れ去ってしまった。
 両親がともに、流行り病にかかってしまった。明確な治療法は見つかっておらず、両親はあっという間に衰弱していった。

 最後には、涙を流しながら僕に妹を託してから息を引き取っていった。だから、僕は、冒険者になる決意をした。





 両親の葬儀も終え、数日がたった。
 両親の一緒に住んでいた家を引き払い僕たち2人は、お母さんの妹の叔母夫婦の家に移り住んでいた。お母さんが、亡くなる前に、色々頼んでくれて、引き取られた。

 僕は、ソフィアが寝たのを確認して、音を立てないようにベッドから抜け出し、部屋を出て、叔母さんたちのもとにむかった。丁度2人揃って、まだリビングにいた。

 コンッコンッ
 リビングに入る前に、ドアをノックする。

「ポリーナさん、ダニールさん、お話があるんですけど、今いいですか?」

「なんだいノーリ、そんなに畏まってから?」

「どうかしたのか、ノーリ君?」

 僕は、2人にもとまで近付き、話を切り出した。

「ぼ… 僕、冒険者になろうと思っています。」

「…どういう事だいノーリ?」

 ポリーナさんが、尋ねてくる。

「冒険者になって、お金を稼ごうと思います。」

「お金なら、姉さんから、ちゃんと預かってるから、心配しなくてもいいんだよ?」

 確かに、両親が亡くなる前に、貯蓄していたお金をポリーナさんに預けていた。

「それは、知ってます…。 だけど、そこまでの額ではなかった筈です。」

「・・・」

「だから、それは、ソフィアの為に使ってやって下さい。」

「…学園はどうするんだい?」

 お金の事には、触れず、学園の事について聞いてくる。
 確かに、あの学園には、通っている。だけど、魔力だけが取り柄で、魔法の才能の無い僕は、昇級試験すら、難しいだろう。逆に辞めるタイミングとしては、丁度良かったと思っている。

「…学園は辞めようと思っています。」

「どうし…「ポリーナ」なんだい、あんた?」

 口を閉ざしていた、ダニールさんが、口を挟む。ポリーナさんにアイコンタクトをとってから、話し始める。

「ノーリ君。」

「はい。」

「冒険者になっても、必ずお金を稼げる訳ではないことは知ってるね?」

「はい…」

「それでも、学園まで辞めて、冒険者になるのかい?」

「…はい、そのつもりです。」

「そうか…」

 ダニールさんは、ジーと僕の目をみてくる。
 僕も、目をそらさず、ダニールさんの目をみる。

「分かった…」

「本当ですか!!」

「あぁ。但し条件がある。」

「…条件ですか?」

「決して、無理をしない事。何かあったら、すぐ私たちに頼る事。この2つは、絶対条件だよ。守れるなら、ノーリ君の話を受け入れよう。」

「…分かりました。守ります。」

「なら、今日はもう休みなさい。学園の方には、私から話を通しておこう。」

 それは、正直助かる。

「はい、ありがとうございます。それでは、おやすみなさい。」

「はい、おやすみ。」

僕は、ソフィアがいる部屋に戻っていった。





 ノーリが、部屋に戻ったのを確認してから、話し始める。

「あんた、本当によかったのかい?」

「ノーリ君も、悩んだ末の結論だろう。」

「それは、そうだけど… もし亡くなりでもしたら、私は、姉さんに顔向け出来ないよ。」

「それは、私も一緒だよ。だから、何かあったら、すぐ助けてやろう。」

「そうだね… ノーリも男を見せてるんだし、私たちがとやかく言うのは、野暮ってもんだね。分かった。私も腹をくくるよ。」

「ありがとう、ポリーナ。それじゃあ、私たちも寝るとしようか。」

「えぇ。」

 灯りを消し、リビングを後にした。
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