452 / 453
130話・参考になりません
しおりを挟む
今から茨さんが全力を出す雰囲気だが、今までの動きすら参考に出来ているとは言えないのに、これ以上凄くなられてもと内心思ってしまう。
「茨木童子!? 成る程、それならあの強さに納得じゃな」
茨さんのちゃんとした名を聞いたマオさんが何かを納得する。
「マオさんは、茨さんの事を知ってるんですか?」
「あぁ、その名は有名じゃからな。じゃが。その話は後じゃ。そろそろ決着がつきそうじゃぞ」
「そうだった」
顔を戻し、これでもかと目を見開き茨さんの一挙手一投足を見逃さないように注目する。
ドパンッ
瞬きしたつもりはないのだが、気づけば茨さんが鬼人の懐に潜り込み、腹を貫いていた。
だが、その一撃に耐えた鬼人の攻撃が茨さんに振り下ろされる。
「茨さん!!」
咄嗟に心配の声が出たが、
「ラス、全く効いてなさそうだから大丈夫そうよ」
「…みたいですね」
茨さんは、ピンピンとした様子で鬼人の腕を弾き、腕を引き抜いていた。
そして、茨さんの一撃であの鬼人の上半身が消し飛んだ。
圧倒的な一撃に、私たちは言葉すら失っていた。
正気に戻ったのは、茨さんがこちらへ歩いてきたのに気づいた時だった。
「お待たせ、ラス。私の闘いはどうだった?」
血塗れの茨さんが、とてもいい笑顔でそう聞いてきた。
「い… 茨さん。まずは、その血を落としませんか?」
「ん? あぁ、そう言えば血で染まってたんだっけ」
茨さんは、今気づいたとばかりに自分の体に視線を移す。
「あ、でも今は、水もタオルもないんだった」
しかし、綺麗にする物が無い事に気づくが、
「なら儂が綺麗にするのじゃ」
マオさんがそう提案してくれる。
「ん? なら、お願いする」
「私からもお願いします、マオさん」
「任せるのじゃ」
マオさんが魔法を唱えるとみるみるうちに血が消え綺麗になっていく。
「ありがとう」
「ありがとうございます、マオさん」
「このくら別にいいいのじゃ。それに、こちらこそあの鬼人を倒してくれて助かったのじゃ」
「それこそ構わない。私はただラスに力を貸しただけだしね。それより、ラス」
「はい、何ですか?」
「私の闘いはどうだった? 参考になった?」
とてもキラキラとした目で感想を聞いてくる。
「あの、えっと…」
「うんうん」
「その… 何といいますか…」
「うんうん」
どう答えるか迷ったが、
「…ごめんなさい、茨さん!!」
「え?」
「私の実力が足らず、茨さんの動きを捉えることが出来なくて、あまり参考になりませんでした」
誤魔化す事なく正直に答えた。
「茨木童子!? 成る程、それならあの強さに納得じゃな」
茨さんのちゃんとした名を聞いたマオさんが何かを納得する。
「マオさんは、茨さんの事を知ってるんですか?」
「あぁ、その名は有名じゃからな。じゃが。その話は後じゃ。そろそろ決着がつきそうじゃぞ」
「そうだった」
顔を戻し、これでもかと目を見開き茨さんの一挙手一投足を見逃さないように注目する。
ドパンッ
瞬きしたつもりはないのだが、気づけば茨さんが鬼人の懐に潜り込み、腹を貫いていた。
だが、その一撃に耐えた鬼人の攻撃が茨さんに振り下ろされる。
「茨さん!!」
咄嗟に心配の声が出たが、
「ラス、全く効いてなさそうだから大丈夫そうよ」
「…みたいですね」
茨さんは、ピンピンとした様子で鬼人の腕を弾き、腕を引き抜いていた。
そして、茨さんの一撃であの鬼人の上半身が消し飛んだ。
圧倒的な一撃に、私たちは言葉すら失っていた。
正気に戻ったのは、茨さんがこちらへ歩いてきたのに気づいた時だった。
「お待たせ、ラス。私の闘いはどうだった?」
血塗れの茨さんが、とてもいい笑顔でそう聞いてきた。
「い… 茨さん。まずは、その血を落としませんか?」
「ん? あぁ、そう言えば血で染まってたんだっけ」
茨さんは、今気づいたとばかりに自分の体に視線を移す。
「あ、でも今は、水もタオルもないんだった」
しかし、綺麗にする物が無い事に気づくが、
「なら儂が綺麗にするのじゃ」
マオさんがそう提案してくれる。
「ん? なら、お願いする」
「私からもお願いします、マオさん」
「任せるのじゃ」
マオさんが魔法を唱えるとみるみるうちに血が消え綺麗になっていく。
「ありがとう」
「ありがとうございます、マオさん」
「このくら別にいいいのじゃ。それに、こちらこそあの鬼人を倒してくれて助かったのじゃ」
「それこそ構わない。私はただラスに力を貸しただけだしね。それより、ラス」
「はい、何ですか?」
「私の闘いはどうだった? 参考になった?」
とてもキラキラとした目で感想を聞いてくる。
「あの、えっと…」
「うんうん」
「その… 何といいますか…」
「うんうん」
どう答えるか迷ったが、
「…ごめんなさい、茨さん!!」
「え?」
「私の実力が足らず、茨さんの動きを捉えることが出来なくて、あまり参考になりませんでした」
誤魔化す事なく正直に答えた。
22
お気に入りに追加
930
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~
黒色の猫
ファンタジー
両親に先立たれた、ノーリは、冒険者になった。
冒険者ギルドで、スキルの中でも特に珍しいユニークスキル持ちでがあることが判明された。
最初は、ユニークスキル『宝箱作製』に期待していた周りの人たちも、使い方のわからない、その能力をみて次第に、ノーリを空箱とバカにするようになっていた。
それでも、ノーリは諦めず冒険者を続けるのだった…
そんなノーリにひょんな事から宝箱作製の真の能力が判明して、ノーリの冒険者生活が変わっていくのだった。
小説家になろう様でも投稿しています。
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる