447 / 453
125話・薬
しおりを挟む
殴る直前に声をかけ、私は普通に踏み込み、宣言通り真っ直ぐ赤鬼の懐へと潜り込む。そして、私の動きに何とか反応しようとする赤鬼の腹目掛けて拳を振るう。
ドンッ バキッ ズズズズズズッ
殴った赤鬼が後方へと滑っていく。
「よく間に合わせたね」
全力ではなかったとはいえ、殴られる直前、赤鬼はギリギリの所で両腕を潜り込ませていた。
「当たり前だろ… と言いたい所だが、たまたまだな。それに、お前が先に殴る箇所を言ったのが大きいな。まぁ、受け止めた代償は高くついたがな」
そう言う赤鬼の直接受けた方の腕はダランとなっていた。たぶん受け止めきれず骨をやったのだろう。
「そうは言うけど、片腕だけで済んでよかったじゃない」
「それもそうか。下手すりゃ今ので終わってた可能性もあったしな」
「そうね。それに、ギリギリとはいえ反応できたのは凄いと思うよ。もし貴方がラスの敵でなかったら、少し位は指導してあげてもいいと思えるくらいにはね」
と言ってみたものの、本音はあいつを指導するより、早く強くなったラスを指導したいと言う気持ちの方が強かったりする。
「それは光栄だな。冗談だとは思うが、遠慮しとくよ。生憎人から教えられるなんて性に合わねぇからな」
「そう。それは残念ね」
まぁそこで了承されても困ったからある意味助かった。
「じゃあ、そろそろ終わらせようか」
「そうだな。だが、もう俺に勝った気でいるのなら早いんじゃないのか?」
「へぇ、面白いじゃない。何するか知らないけど、少し位なら待ってあげるからやってみなさい」
「そうさせて貰うよ。それにそう時間はとらせねぇよ」
赤鬼はどこからか赤い丸薬を取り出す。
「それは…」
赤鬼が取り出した丸薬に覚えがあった。
「まさか俺がこれを使う日が来るなんてな… だが、相手がお前なら後悔はねぇな」
赤鬼はそう言うと持っていた丸薬を口に入れ噛み砕いた。
その瞬間、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
声をあげながら赤鬼の体が更に膨張し出す。
「ハァハァ… こりゃ凄ぇ。体の奥底からどんどん力が漲ってくるぜ。これなら、お前ともいい闘いが出来そうだな」
赤鬼から感じられる圧が数段上がった。
それに、腕も回復しているように見える。
「…やっぱりそれは、本物の鬼神薬なのね」
「!? まさかこれを知っているとは思わなかったぜ。本当お前何者だよ」
「そんなのはどうでもいい。それより、それは過去の遺物の筈よ。どこからそんな物持ち出してきたのよ」
あんな物を持ち出してくるとは思わなかったから、その出処はどこなのか聞いてみる。
ドンッ バキッ ズズズズズズッ
殴った赤鬼が後方へと滑っていく。
「よく間に合わせたね」
全力ではなかったとはいえ、殴られる直前、赤鬼はギリギリの所で両腕を潜り込ませていた。
「当たり前だろ… と言いたい所だが、たまたまだな。それに、お前が先に殴る箇所を言ったのが大きいな。まぁ、受け止めた代償は高くついたがな」
そう言う赤鬼の直接受けた方の腕はダランとなっていた。たぶん受け止めきれず骨をやったのだろう。
「そうは言うけど、片腕だけで済んでよかったじゃない」
「それもそうか。下手すりゃ今ので終わってた可能性もあったしな」
「そうね。それに、ギリギリとはいえ反応できたのは凄いと思うよ。もし貴方がラスの敵でなかったら、少し位は指導してあげてもいいと思えるくらいにはね」
と言ってみたものの、本音はあいつを指導するより、早く強くなったラスを指導したいと言う気持ちの方が強かったりする。
「それは光栄だな。冗談だとは思うが、遠慮しとくよ。生憎人から教えられるなんて性に合わねぇからな」
「そう。それは残念ね」
まぁそこで了承されても困ったからある意味助かった。
「じゃあ、そろそろ終わらせようか」
「そうだな。だが、もう俺に勝った気でいるのなら早いんじゃないのか?」
「へぇ、面白いじゃない。何するか知らないけど、少し位なら待ってあげるからやってみなさい」
「そうさせて貰うよ。それにそう時間はとらせねぇよ」
赤鬼はどこからか赤い丸薬を取り出す。
「それは…」
赤鬼が取り出した丸薬に覚えがあった。
「まさか俺がこれを使う日が来るなんてな… だが、相手がお前なら後悔はねぇな」
赤鬼はそう言うと持っていた丸薬を口に入れ噛み砕いた。
その瞬間、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
声をあげながら赤鬼の体が更に膨張し出す。
「ハァハァ… こりゃ凄ぇ。体の奥底からどんどん力が漲ってくるぜ。これなら、お前ともいい闘いが出来そうだな」
赤鬼から感じられる圧が数段上がった。
それに、腕も回復しているように見える。
「…やっぱりそれは、本物の鬼神薬なのね」
「!? まさかこれを知っているとは思わなかったぜ。本当お前何者だよ」
「そんなのはどうでもいい。それより、それは過去の遺物の筈よ。どこからそんな物持ち出してきたのよ」
あんな物を持ち出してくるとは思わなかったから、その出処はどこなのか聞いてみる。
32
お気に入りに追加
979
あなたにおすすめの小説

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜
赤井水
ファンタジー
クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。
神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。
洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。
彼は喜んだ。
この世界で魔法を扱える事に。
同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。
理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。
その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。
ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。
ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。
「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」
今日も魔法を使います。
※作者嬉し泣きの情報
3/21 11:00
ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング)
有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。
3/21
HOT男性向けランキングで2位に入れました。
TOP10入り!!
4/7
お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。
応援ありがとうございます。
皆様のおかげです。
これからも上がる様に頑張ります。
※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz
〜第15回ファンタジー大賞〜
67位でした!!
皆様のおかげですこう言った結果になりました。
5万Ptも貰えたことに感謝します!
改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。

みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~
黒色の猫
ファンタジー
両親に先立たれた、ノーリは、冒険者になった。
冒険者ギルドで、スキルの中でも特に珍しいユニークスキル持ちでがあることが判明された。
最初は、ユニークスキル『宝箱作製』に期待していた周りの人たちも、使い方のわからない、その能力をみて次第に、ノーリを空箱とバカにするようになっていた。
それでも、ノーリは諦めず冒険者を続けるのだった…
そんなノーリにひょんな事から宝箱作製の真の能力が判明して、ノーリの冒険者生活が変わっていくのだった。
小説家になろう様でも投稿しています。
歌うしか能がないと言われてダンジョン置き去りにされた俺、ギフト『歌声魅了』で魔物を弱体化していた!本来の力が目覚め最強へ至る【精霊王の末裔】
綾森れん
ファンタジー
竜人族の村に先祖返りした姿で生まれたジュキエーレは、生まれてすぐに聖女の加護を受けた。しかし彼はなぜか魔法が使えなかった。
それでも冒険者を夢見て剣の修行に励んだのに、授かったギフトは「歌声魅了」。
戦闘には不向きなギフトと思われていたが、実は人も魔物も操れる最強ギフトだった。
そうとは知らないパーティメンバーは、ジュキエーレを魔力無しの役立たずと思い込んで、ダンジョン内に置き去りにする。
足をすべらせて最下層に落ちたジュキエーレを待っていたのは、半身を氷漬けにされたドラゴンだった。遠い先祖であるドラゴンは、聖女が彼にかけた封印を解いてくれ、先祖返りした彼本来の膨大な精霊力が解放された。
なぜ聖女が自分の力を封じたのか知るため、ジュキエーレは旅立つ。そして聖女について調査するため訪れた隣国で、次期聖女になりたくない公爵令嬢と出会い恋に落ちた。最強の力を得たジュキエーレと、聖女の力を持つ公爵令嬢の幸せな旅が幕を開ける。
※カクヨム様で先行公開しています。
『精霊王の末裔~ギフト【歌声魅了】と先祖の水竜から受け継いだ力で世界を自由に駆け巡る!魔力無しから最強へ至る冒険譚~』
https://kakuyomu.jp/works/16817330649752024100
第8回カクヨムコン参加中ですので、アカウントをお持ちの方は応援お願い致します!!
(★がついているサブタイトルは他者sideです)
2023/1/16 HOTランキング1位、ファンタジーランキング1位、ありがとうございます!!

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる