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121話・最高の一撃

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 途中シェーンさんに呼び止められるが、

「ごめんなさい、シェーンさん」

 それを振り切り、倒れたマオさんたちの元へと向かっていく鬼人の前に飛び出した。

「ん?」 「「!?」」

 後ろでは、シエルさんやマオさんが逃げるよう言ってくれる。
 こんな状況でも私の事を心配してくれるシエルさんたちに心の中で感謝しつつ、覚悟を決めた私は策があると言い残し鬼人の元への1歩を踏み出す。
 鬼人は、私が前に立ちはだかった瞬間に立ち止まり面白そうにこちらを眺めているだけなので、

怒りコレール怒る力アンガー激怒イーラ怒れラージュ5倍クインテット

 1歩踏み出す度にスキルを発動しながら準備しておく。
 そして最後に

「鬼神化・第一解放ファースト第二解放セカンド… 最終解放ファイナル

 体への負荷も考慮せず、一気に最終まで解放しておく。そのお陰か、今の私は、軽い全能感に包まれる。

「次はお前が俺の相手をするのか?」

 準備を終えるのを待っていたかのように話しかけてくる。

「えぇ、そうです」

 スッと構えをとる。

「そうか。見たところ、お前も鬼人族見てぇだが、俺は同族だからと言って容赦するつもりはねぇし、立ち塞がったからには容赦なく殺すぜ」

 殺気を飛ばしてくるが、以前それ以上の殺気を浴びた事があったのですくむ事なく返答する。

「構いません。私は自分の意思でここに立ってますのでそんな配慮はいりません」

「ほう… いい心意気だ。見た瞬間は弱ぇなと思ったんだが、急に力の圧が上がった所を見ると少しは楽しめそうだな。なら、いくぞ!!」

 鬼人はそう言った瞬間

 ドンッ

 という音と共に一足で既に間合いを詰めてきて、私目掛けて巨腕を振るってきた。音が聞こえた瞬間に神足通じんそくつうを発動させすぐその場を離れた事でその巨腕を何とか躱す。そして、振り抜いた状態の隙をつくように再度神足通で移動し、鬼人の顔面に渾身の一撃を加える。
 その一撃はきれいに決まった。
 今の一撃は、自分から見ても過去最高の一撃だったと自負する。
 だけど

「思っていたよりもいい一撃だ」

 パッと見た感じ少し口の端を切っただけでさほど効いた様子がないようだった。

「やっぱり今の私ではここまでが限界ですか…」

「ん、何だ? もしかしてもう諦めたのか?」

「そのようなものです」

「なに?」

「今の自分の限界は知れましたし、やっぱり死ぬのは怖いので、ここで奥の手を使わせて貰います」

 シエルさんたちにいった策をここで使うことにした。
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