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120話・ラスの決意
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~ラス視点~
私たち女性陣は、私と同じ種族である鬼人の男の相手をする事になった。
だけど今の私では力及ばず、シエルさんたちの邪魔にならないよう後ろで待機する事だけしか出来なかった。
私は手渡されたエリクサーを握りしめながら、シエルさんたちの戦闘を見守るが、私の目から見てもあの鬼人は強いというか硬いというかで、あまりいい状態とはいえない。
「わぁ…」
だけど、シエルさんの魔法が発動した瞬間、無数の光の剣が空一面を覆い、鬼人に一斉に射出された。
これは決まったと思ったが、煙の晴れた先に、体が大きくなり見た目から更に強化された鬼人が現れた時には、自分と同じ種族ながらバグではないかと思ってしまった。
「「シエルさん!!」」
その鬼人に殴られたシエルさんが飛ばされてしまう。
「シェーンさん。私がシエルさんの回復に行くので、シェーンさんは、このままマオさんについていて下さい!!」
「分かったわ。ラスちゃん、そっちの事任せたわ」
「はい!!」
私はすぐ飛ばされたシエルさんの元へと向かう。
「ぐはっ…」
飛ばされたシエルさんは、腕からは折れた骨が付きだし、至るところに切り傷があり、血も吐き出してしまっていた。
「大丈夫ですか、シエルさん。すぐこれを飲んで下さい!!」
エリクサーを口まで運ぶと
「う… ごくごく…」
ゆっくり嚥下してくれる。
「ふぅ… ありがとう、ラス。助かったわ」
シエルさんは、軽く拳を開いたり閉じたりした後、すぐ立ち上がる。
「お役に立てて良かったです。でも、骨も折れてましたが大丈夫ですか?」
「えぇ大丈夫よ。流石エリクサーよね。じゃあ私は行くからラスはすぐ離れてて頂戴ね」
シエルさんはそう言い残し、近くに落ちていた剣を拾い鬼人へと向かっていく。
あんなにやられても向かっていく背中を見て、改めてシエルさんの凄さを実感する。それと同時に、鬼人の相手をせずに、私はこのまま後ろにいるだけでいいのか迷ってしまう。
確かに今の私があの鬼人に向かっていった所で、すぐ殺されて終わってしまうだろう。だけど、今ここで何もせずシエルさんたちがもし殺されでもしてしまったら、私は絶対後悔するだろう。それなら当たって砕けた方が私らしいと思い立ち、私もシエルさんの後に続き鬼人の元へと走り出した。
「ラスちゃん!!」
途中シェーンさんに呼び止められるが、
「ごめんなさい、シェーンさん」
それを振り切り、倒れたマオさんたちの元へと向かっていく鬼人の前に飛び出した。
私たち女性陣は、私と同じ種族である鬼人の男の相手をする事になった。
だけど今の私では力及ばず、シエルさんたちの邪魔にならないよう後ろで待機する事だけしか出来なかった。
私は手渡されたエリクサーを握りしめながら、シエルさんたちの戦闘を見守るが、私の目から見てもあの鬼人は強いというか硬いというかで、あまりいい状態とはいえない。
「わぁ…」
だけど、シエルさんの魔法が発動した瞬間、無数の光の剣が空一面を覆い、鬼人に一斉に射出された。
これは決まったと思ったが、煙の晴れた先に、体が大きくなり見た目から更に強化された鬼人が現れた時には、自分と同じ種族ながらバグではないかと思ってしまった。
「「シエルさん!!」」
その鬼人に殴られたシエルさんが飛ばされてしまう。
「シェーンさん。私がシエルさんの回復に行くので、シェーンさんは、このままマオさんについていて下さい!!」
「分かったわ。ラスちゃん、そっちの事任せたわ」
「はい!!」
私はすぐ飛ばされたシエルさんの元へと向かう。
「ぐはっ…」
飛ばされたシエルさんは、腕からは折れた骨が付きだし、至るところに切り傷があり、血も吐き出してしまっていた。
「大丈夫ですか、シエルさん。すぐこれを飲んで下さい!!」
エリクサーを口まで運ぶと
「う… ごくごく…」
ゆっくり嚥下してくれる。
「ふぅ… ありがとう、ラス。助かったわ」
シエルさんは、軽く拳を開いたり閉じたりした後、すぐ立ち上がる。
「お役に立てて良かったです。でも、骨も折れてましたが大丈夫ですか?」
「えぇ大丈夫よ。流石エリクサーよね。じゃあ私は行くからラスはすぐ離れてて頂戴ね」
シエルさんはそう言い残し、近くに落ちていた剣を拾い鬼人へと向かっていく。
あんなにやられても向かっていく背中を見て、改めてシエルさんの凄さを実感する。それと同時に、鬼人の相手をせずに、私はこのまま後ろにいるだけでいいのか迷ってしまう。
確かに今の私があの鬼人に向かっていった所で、すぐ殺されて終わってしまうだろう。だけど、今ここで何もせずシエルさんたちがもし殺されでもしてしまったら、私は絶対後悔するだろう。それなら当たって砕けた方が私らしいと思い立ち、私もシエルさんの後に続き鬼人の元へと走り出した。
「ラスちゃん!!」
途中シェーンさんに呼び止められるが、
「ごめんなさい、シェーンさん」
それを振り切り、倒れたマオさんたちの元へと向かっていく鬼人の前に飛び出した。
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