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119話・鬼人の更なる強さ

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 目の前から消えた鬼人が一瞬で隣に移動し、横にいたシエルを殴り飛ばしていた。

「スキルの事をお前らに話しても、俺にとっては痛くも痒くもないからな」

 笑みを溢しながら鬼人が答える。

「チッ… ウィンドカッター!!」

 殴られたシエルは心配だがそっちはシェーンに任せるとして、儂は使いなれて、速度のある風魔法を連続して鬼人へと放つ。

「そんなもん今さら効くわけねぇだろ」

 鬼人は躱す素振りすらみせず風魔法を受けるが、薄皮を裂く事も出来てなかった。

「避けてマオ!!」

「!? テレポート」

 ウンディーネの声にすぐさま反応し、咄嗟に上へと移動する。

「ウォータージャベリン!!」

「ウィンドジャベリン!!」

 離れた瞬間、シルフとウンディーネの放った無数の水と風の槍が儂の下を通過していく。

「普通ならいい攻撃なんだろうが、俺にはそんなもん効かねぇぞ!!」

 鬼人は魔法が当たるのも気にもせず、一瞬で距離を詰めてくる。

「2人ともすぐ逃げるのじゃ!!」

「もう遅ぇよ」

 鬼人が腕を振り上げ攻撃を加えようとする。

「「!?」」

「戻るのじゃ!!」

 ブンッ

 直前で2人を送り返す事で、鬼人の攻撃は空を切る。

「送り返したか。いい判断だが、なら次はお前を狙うだけだぞ」

 鬼人はくるりと反転し、地面へと着地した儂目掛けて迫って来ようするが、

「やらせるわけないでしょ」

 雷を纏ったシエルが、鬼人に攻撃を仕掛ける。
 だが、シエルの攻撃は鬼人に掴みとられてしまっていた。

「速さは中々だが、力が全然足らねぇよ!!」

 バキンッ

 鬼人は剣を握り潰す。

「こんな事で驚いて隙をみせるな」

「ぐっ」

 シエルが攻撃を受け、儂の方へと飛ばされて来たので、咄嗟に受け止めようとした瞬間

「だから隙をみせるなって」

 受け止めると同時に鬼人が追撃を仕掛けてくる。

「エアシールド!!」

 それに合わせて防御系の風魔法を発動する。
 一撃目を防ぐことに成功するが、鬼人はもう一度腕を振り上げ

「甘ぇよ!!」

 力だけで魔法をぶち破り、伸びた拳はシエルごと儂を吹き飛ばした。
 すぐに体勢を整えるが、儂たちの前に何故かラスが出てきていた。

「ラス何しておるのじゃ!! すぐ逃げるのじゃ!!」

 ラスに逃げるように伝えるが、ラスは動く事なく鬼人に立ちはだかる。

「ここは私に任せて回復をして貰って下さい」

「何を言ってるの、ラス。あなたの敵う相手じゃないわ。早くその場から離れて!!」

「大丈夫です。私にも策はありますから」

 そう言い残し、鬼人の元へと向かっていく。
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