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114話・指図は受けない

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 クソ野郎が悪魔の言葉を遮る。
 その行為に、悪魔は少し眉をひそめる。
 だが一瞬で元の顔に戻り、敵である俺を前に振り返りクソ野郎に話しかける。

「私の言葉を遮る君は誰だ?」

 魔神と呼ばれた男に怯みながらも、クソ野郎は答える。

「わ… 私は魔神教団の幹部である四魔将が一人、カロー・ダイヤです」

「魔神教団? あぁ、あれか。それで僕に何かようか?」

「黒の宝玉を使い貴方様を呼んだのは私です」

「へぇ、君が僕を呼んだのか。それで?」

「媒体に使用した悪魔の身体では貴方様の力に耐えきれず崩壊直前なのは承知しておりますが、崩壊前に私… いえ教団を馬鹿にしたそこの男の息の根を止めて下さい」

 クソ野郎は、魔神と呼ばれた男にそんな事を頼み込む。てか、俺がいつ教団を馬鹿にしたのかとツッコミをいれたいが、もしもに備え油断せず魔神と呼ばれた男の様子を伺う。

「成る程。君の言いたい事は分かった。だけど…」

 再び魔神と呼ばれた男の姿が消える。

「ぐふぅ」

 そして次の瞬間には、クソ野郎の後ろに回っており、クソ野郎の胸から俺に振り下ろしていた闇の刃が飛び出していた。

「ぐはっ… ま… 魔神様、これはいったい…」

「簡単な話さ。僕は人に指図されるのが大嫌いなんだよ。それに、まず僕と話したいのなら、僕の一撃を防げるようになる事から始める事だね。弱いやつに僕と話する価値すらないからな。まぁ、君に次の機会があるのならの話だけどな」

 魔神と呼ばれた男が腕を振るうと闇の刃に貫かれていたクソ野郎が吹っ飛んでいく。
 かなりの距離地面を転がっていき止まる。後で生死確認するとして、今は魔神と呼ばれた男に向き直る。

「んん。じゃあ、改めて僕の自己紹介から始めよう… かと思ったら、本当にもう時間がないようだからそれはまた今度にしようか」

 確かに既に手先だけでなく、足や胸まで崩れ落ちてきていた。

「また会えるのを楽しみによ、セウン…」

 そう言い残し、完全に顔まで崩れ落ちた。

「こちらとしてはもう会いたくないがな」

 かと言って、何となくだが今後必ずあいつに会いそうな予感がする。

「はぁ… 帰ったら魔神についてもう少し調べてみた方がいいな」

 今後の事を考えながら、転がっていったクソ野郎の元へと向かう。

「やっぱり死んでるよなこれ」

 足元のクソ野郎は、胸に空いた風穴から血を流し、ピクリとも動かない状態だった。
 それでも一応生死確認をしておき、完全に死んでいるのを確認する。
 とりあえず死体はアイテムボックスにいれてから、ラスたちの元へと向かう。
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