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84話・仕切り直し

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 あいつが手をかざすと、睡眠の霧によって俺への攻撃を阻まれ足元に落ちた短剣があいつの手元に戻っていく。

「へぇ。その短剣は、魔法道具なのか」

「えぇ、そうですよ。そういう貴方も何かしらの道具を使用しているみたいですね」

 なまじ俺のスキルと似た感じの道具を使っているからか、どうやら俺も同系統の道具を使っていると勘違いしているようだ。

「それは、想像に任せるよ」

 それに答える必要はない為、あえてそう答えておき勘違いさせたまま自分のスキルの詳細について隠しておく。

「そうですか…」

「じゃあ、話もここまでにして続きと行こうか」

 俺から情報を得れないと悟ったようで、無言で腰を落とし短剣を構え出す。
 俺もそれに習い刀を構える。

「では、行きますよ」

 あいつはニヤリと笑った後、わざわざ声をかけてから距離をつめて来る。
 その行為を少し不審に思いながらも、俺も動こうとした瞬間、再度あいつは手に持つ短剣を顔目掛けて投げつけてきた。
 睡眠の霧でその攻撃じたい当たらないが、先程の不審な行動をとったので、今は少しでもあいつから目を離さないように、顔を横にずらすだけでそれを躱す。
 そしてそのまま近寄ってきたあいつに刀を振り下ろそうとしたその瞬間、

「!?」

 急に強烈な光が襲ってきて、その痛みで目を閉じてしまう。
 ただ目は閉じたが、刀はそのまま振り下ろした。
 すると、

 パリーン

 と結界が壊れる音と共に、切っ先が僅かに何かに触れる感触があった。
 ただその感触は本当に僅かだったので、かすっただけで致命傷にはなっていない筈だ。
 一瞬身構えたが、俺には睡眠の霧があり、攻撃されても問題ないかと思い直す。
 そして、あいつも俺が結界を張っていると思い込んでいるので、あいつの次の手を予想し、攻撃加えるより逃走を選ぶのではと考えた俺は、

「セン!! もしかして、あいつがそっちに逃げるかもしれないから来たら止めてくれ!!」

 出口を塞いでいるセンに警戒を促す。
 その瞬間、

 ドゴーン

 と大きな音がなる。

睡眠シュラーフ

 超回復のスキルを使い、目の回復をしてから、すぐ音のした方を確認すると腕を振り下ろした状態のセンが目に入った。
 しかもその腕の下は、真っ赤に染まっていた。
 さっと周りを確認してから、

「…腕を上げて体を小さくしてくれ、セン」

 センに指示を出す。
 小さくなったゴーレム状態のセンの腕には血が付着したままだったが、ぬぐう時間がおしい為、すぐ回収してからアイテムボックスに入れて階段を上っていく。
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