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82話・ステータスの差

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 スキルを使うが発動しなかった為、金庫に寄りかっているあいつに目掛けて短剣を投げつける。
 だけど、投げた短剣はあいつに刺さる事なく弾かれてしまう。

「…バレてしまいましたか」

 今まで動かなかったあいつは、すっと立ち上がる。

「結界は壊したと思ったが、どうなってんだ?」

 答えるか分からないが、気になったので尋ねてみる。

「それはこちらの台詞ですよ。耐久力はかなりあった筈なんですが、どうやって私の結界を壊されたんですか?」

「自分の手を晒す行為を俺がすると思うか?」

「聞いてみただけです」

「そうかよ!!」

 新しく結界が張られたのなら、また壊せばいいと僅かにあいていた距離をつめてから斬りかかる。
 だけど、先ほど同様に結界に止められてしまうので、斬撃回数を増やし結界を破壊しようとするが、あいつの使う短剣で受け止められてしまう。

「その武器に、何かからくりがあるとみましたがどうですか?」

 鍔迫り合いしながら、少しどや顔気味にそう言ってくる。
 そのどや顔にイラッとしながらなにも答えずにそのまま力で押しきろうと思ったが、あいつの力が思ったより強く押しきれそうになかったので1度後ろに飛び退く。

「その反応私の思った通りのようですね」

 あいつは、したり顔で俺を見てくる。

「だったらなんだ? お前が防げない程早く斬撃を繰り返せばいいだけだろ?」

「そうですね。ですが、今のやり取りで貴方も理解したんじゃないんですか?」

「何がだ?」

「私の方が貴方よりステータスが高いという事ですよ」

「あぁ、そうみたいだな」

 今の所、能力向上を使っているのに力で押しきれないという事は、あいつがいう通り素のステータスの面で俺より高い事が伺える。

「それで、だったらなんだと言うんだ?」

「私に勝てないと分かったでしょう?」

「それは、やってみないと分かんないだろ?」

「分かりますよ。ですから、貴方も無謀な賭けをせずに、私から奪ったアイテムと魔法鞄を返してくれたら、この場は見逃して上げますよ」

「そうか… 分かった」

 あぁ言ってはいるが、どうせ返した所で見逃す気はないだろう。
 まぁそれに、俺も端から返すつもりは一切ない。
 アイテムボックスを開き、手をいれながら、

眠れる力ソーン・能力向上」

 一気に4倍まで上げる。

「そうそうそれでいいんですよ」

 俺が諦めてアイテム類を返すものと思っているのか、少し機嫌がよさそうに見える。
 アイテムボックスから手を引き出しながら、取り出した剣をあいつに投げつけながら、俺も駆け出す。
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