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78話・スピカの提案

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 あいつの注意が金庫の方へ向いているので、このまま後ろから無力化する為に武器を構える。
 とりあえず片足でも斬って、機動力を奪っておこうかと思ったが、ふと以前の事を思い出し踏み出しかけていた足が止まる。

『どうかしたの?』

 スピカが攻撃を止めた俺を不思議がる。

『なぁ、スピカ。1つ確認したいんだが、スピカの完全遮断って、スキルや魔力を使ったり、人などの過度の接触で解除されるんだったよな?』

 以前見たスキルの詳細を思い出しながら確認する。

『そうだよ…』

『なら、斬りかかった場合、過度の接触に当たってスキルが解除されたりするか?』

『たぶん解けると思う…』

『そうか…』

『どうしたの?』

『ん、あぁ以前あいつを攻撃した時に何かしらの魔法道具で防がれた事があってな。折角不意をつけるのに防がれたら意味がなくなってしまうと思ってな』

『そうなんだ…』

『さて時間があまりなさそうだがどうしたものか…』

 今にもあいつは取り出した道具を起動させ金庫を破壊しようとしているので、考える時間が殆どない。

『スキルを使ったら?』

 そうスピカが提案してくれる。

『もしかして、睡眠の事だよな。スピカって俺のスキルの事知ってたのか』

『うん…』

『あ、そうなんだ』

 その事に少し驚く。

『それで、使ったら?』

『あぁ、それでもいいんだが、あれって相手を視認しないといけないんだが、どうやら結界とかで自分を覆っていた場合は効かないだよな。だから、さっきも言ったけど、防がれたら意味がないと思ってな』

『そう… なら奪ったら?』

 スピカは、可愛らしい小さな手をあいつの持つ道具に向け、過激な提案をしてくる。

『奪うか… ナイス、スピカ。因みに奪う場合は過度の接触に当たるか?』

『大丈夫だと思う…』

『よし、ならそれでいこう』

 攻撃が通らない事には変わりないかもしれないが、金庫の破壊を止めるには丁度いい。
 その線で行動しようと武器をしまい、一気に駆け出しあいつの持つ道具を奪う。

「なっ!!」

 そして、道具を取り出していた腰にあるポーチもついでとばかりに奪い取って、あいつから距離をとる。

「誰です!! 誰かいるのですか!!」

 あいつは辺りをキョロキョロしながら声を荒げる。
 それを横目に、奪った道具とポーチを邪魔にならないようにアイテムボックスに入れておく。

「今すぐ姿を現しなさい!! 殺されたいのですか!!」

 出来もしない事を言いながら、懐から短剣を取り出し、先程よりも入念に辺りを確認し出した。
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