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75話・相手の思惑
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目の前の男、カロー・ダイヤは、こちらが尋ねていない事まで笑みを浮かべながら答え出す。
だけど、笑みを浮かべている割に、何故か少し焦っているように見えてしまう。
「そう。情報をありがとうとでも言ったらいいのかしら?」
「いえいえそれ程の事でもありませんので気にしないで下さい。それより、私に気にせず貴方のいう継ぎはぎの討伐にむかってはどうですか?」
「それをしたいのは山々なんだけど、貴女を放置しておくのもそれはそれで危険ではないかしら?」
「確かにそれはありますね。ですが、私は特に貴女たちに敵対するつもりはありませんので、気にしなくても大丈夫ですよ」
カロー・ダイヤは、少し早い口調でそう答える。
「そう…」
聞いてない事まで答えたり、今の早い口調なので、相手がどうしたいのか何となく察する。
カロー・ダイヤに見えないように、後ろにいるラスに合図を送る。
「なら、お言葉に甘えて、継ぎはぎの相手に行かせて貰おうと思うけど、その前にもう一つだけ尋ねてもいいかしら?」
「はい、何でしょうか? 私が答えられる範囲なら今回は特別にお答え致しますよ。その質問を聞かせてくれませんか?」
口角を更にあげながら、特別を強調しつつ質問を促してくる。
「貴女が継ぎはぎと入れ替わった際、貴方は傷を負っていたと思うんだけど、その傷はいったい誰にやられたのかしら?」
「…」
カロー・ダイヤは、苦虫を噛み締めたような顔を浮かべる。
「あら、どうしたの? 自分の事だから、そんなに難しい質問ではないと思うのだけど答えられないのかしら?」
「…いえ、そういう訳ではないですよ」
「なら、答えてくれるわよね?」
「出来ればこの国の王女である貴方に、こんな事を言いたくはなかったのですが、お答えしましょう。あれは、街中を歩いている際に、何もしていないのに野蛮な暴漢に襲われてしまったんです。それで命からがら逃げる為に、とある魔道具を使用しました」
カロー・ダイヤは、白々しくそう答える。
「そう。それが本当なら、この国の王女として謝罪させて貰うわ。今後そんな事がないように注意するわ」
「えぇ、そうして貰えると私としても助かります」
「ならそろそろ継ぎはぎの元に行かせて貰うわ」
「はい、どうぞどうぞ」
「あ、でも最後に私のパーティーメンバーからの話を聞いて貰ってもいいかしら?」
後ろから近寄ってきたマオを横目で確認しそう話を振る。
「話ですか? それは構いませんが、手短にお願いしますね」
そう答えるカロー・ダイヤから少し苛立ちが伺える。
だけど、笑みを浮かべている割に、何故か少し焦っているように見えてしまう。
「そう。情報をありがとうとでも言ったらいいのかしら?」
「いえいえそれ程の事でもありませんので気にしないで下さい。それより、私に気にせず貴方のいう継ぎはぎの討伐にむかってはどうですか?」
「それをしたいのは山々なんだけど、貴女を放置しておくのもそれはそれで危険ではないかしら?」
「確かにそれはありますね。ですが、私は特に貴女たちに敵対するつもりはありませんので、気にしなくても大丈夫ですよ」
カロー・ダイヤは、少し早い口調でそう答える。
「そう…」
聞いてない事まで答えたり、今の早い口調なので、相手がどうしたいのか何となく察する。
カロー・ダイヤに見えないように、後ろにいるラスに合図を送る。
「なら、お言葉に甘えて、継ぎはぎの相手に行かせて貰おうと思うけど、その前にもう一つだけ尋ねてもいいかしら?」
「はい、何でしょうか? 私が答えられる範囲なら今回は特別にお答え致しますよ。その質問を聞かせてくれませんか?」
口角を更にあげながら、特別を強調しつつ質問を促してくる。
「貴女が継ぎはぎと入れ替わった際、貴方は傷を負っていたと思うんだけど、その傷はいったい誰にやられたのかしら?」
「…」
カロー・ダイヤは、苦虫を噛み締めたような顔を浮かべる。
「あら、どうしたの? 自分の事だから、そんなに難しい質問ではないと思うのだけど答えられないのかしら?」
「…いえ、そういう訳ではないですよ」
「なら、答えてくれるわよね?」
「出来ればこの国の王女である貴方に、こんな事を言いたくはなかったのですが、お答えしましょう。あれは、街中を歩いている際に、何もしていないのに野蛮な暴漢に襲われてしまったんです。それで命からがら逃げる為に、とある魔道具を使用しました」
カロー・ダイヤは、白々しくそう答える。
「そう。それが本当なら、この国の王女として謝罪させて貰うわ。今後そんな事がないように注意するわ」
「えぇ、そうして貰えると私としても助かります」
「ならそろそろ継ぎはぎの元に行かせて貰うわ」
「はい、どうぞどうぞ」
「あ、でも最後に私のパーティーメンバーからの話を聞いて貰ってもいいかしら?」
後ろから近寄ってきたマオを横目で確認しそう話を振る。
「話ですか? それは構いませんが、手短にお願いしますね」
そう答えるカロー・ダイヤから少し苛立ちが伺える。
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