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74話・思わぬ出来事

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 マオの言葉を気に、視線を炎の竜巻に向ける。
 マオの言った通り、炎の竜巻からゆっくりと継ぎはぎが出てきた。
 だけど流石に無傷とはいかなかったようで、出てきた継ぎはぎは、体の至るところに酷い火傷を負っていた。

「あれでよく出てこれたわね」

「たぶんじゃが、中で水魔法でも浴びて、回復魔法を使いながら出てきたんじゃないかの」

「なる程ね。なら回復しきる前にやって来るわね」

「気を付けるのじゃぞ」

「分かってる」

 軽く手を振りながら、継ぎはぎ目掛けて駆け出す。
 継ぎはぎは、私が駆け出すのを見てから体を動かそうとしていたが、皮膚が溶け張り付いているようでうまく動けていなかった。
 だけど容赦なくその首を落とす為に、継ぎはぎの首目掛けて剣を振るった。

「!?」

 だけど、振るった剣は何かに止められてしまう。
 私はすぐ後ろへと飛び退き、そこにいる人物を観察する。
 目の前の人物は、所々に傷を負っており、荒い呼吸を繰り返しながら辺りを確認し出す。
 私たちを一瞥し、腰の袋から液体の入ってある瓶を取り出し飲み始める。
 観察した結果、目の前の人物の見た目は、セウンから聞いていた特徴と一致していた。

「貴方、もしかして魔神教団のカロー・ダイヤかしら?」

 相手の実力がどのくらいか分からない為、油断なく相手の一挙手一投足に注意しながら、目の前の人物に確認してみる。

「ふぅ… ん? あぁ、貴方は確か、この国の王女様でしたね。私の事を知って頂けているとは光栄ですね。こんな見た目で大変申し訳ないのですが、貴方の仰る通り、私は魔神教団・四魔将が1人、魔商人カロー・ダイヤと申します」

 飲みきった瓶を持ったまま、左手を前にし腹部に当て、右手は後ろに回し、頭を軽く下げてきた。

「やはりそうなのね。それで、今までそこには継ぎはぎの男がいた筈なんだけど、どこにいったのかしら?」

 答えてくれるかまでは分からないが一応確認する。

「あぁ、私が造ったあれと闘っていたのですね。あれなら今、私が先程までいた場所にいると思いますよ」

「…それは、貴方と継ぎはぎの男の位置を何かしらの方法で入れ換えたという事なのかしら?」

「えぇ、その通りですよ。流石王女様です。そんな聡明な貴方に、もう1つ情報を提供してあげましょう」

「…何の情報かしら?」

「それは、私が先程までどこにいたのかという事ですよ」

「貴女が先程までいた場所。それを教えて何か意味があるのかしら?」

「簡単な事ですよ。私は先程まであそこの街中にいました。ですから、すぐ街に戻らないと貴方のいう継ぎはぎの男が街の人を見境なく殺して回ってしまいますよ」

 目の前の男、カロー・ダイヤは笑みを溢しながらそう答える。
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