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73話・上がる威力

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 剣を構えたまま、こちらを睨み付けている継ぎはぎに話しかけてみる。

「ねぇ、貴方。話は出来るかしら?」

「「・・・」」

「話さないわね…」

「みたいじゃな」

「やっぱり、あの光魔法がダメだったのかな?」

「どうじゃろな。お、そろそろ来るみたいじゃぞ」

 継ぎはぎは、鉄棍を構えながら私たちの方へと向かってきた。

「マオは援護をお願い」

「了解じゃ」

 私たちは、別々の方向へと距離をとるが、継ぎはぎは、マオに目もくれず、私の元へと一直線に向かってきた。
 私は立ち止まり、それを迎え撃つ。
 勢い良く振り下ろされた鉄棍を先程と同じように受け流そうとしたのだが、

「!?」

 攻撃が先程より強く重くなっていたので、受けきれずにそのまま吹っ飛ばされてしまう。
 すぐ体勢を立て直そうとするが、既に目の前に継ぎはぎが迫ってきており、再び鉄棍を振りかぶっていた。
 躱すには少し遅く、鉄棍を受けようするが、

 ドスドスドスッ

 とマオの射った矢が継ぎはぎに突き刺さった。
 そのお陰で、継ぎはぎの動きが僅かに鈍ったので、その間に鉄棍を受けずに、ギリギリの所で躱し、体勢を立て直す。

「助かったわ、マオ」

「別にいいのじゃ。それより次来るみたいじゃぞ!!」

「分かってるわ!!」

 継ぎはぎは、マオの射る矢を再度受けながらも、私に鉄棍を振ってきた。
 今度は、威力が高い事は把握済みなので、そのつもりで対処に当たる。
 数合打ち合うが、打ち合う度に得物が打ち合う音以外の音が耳に届く。
 更には、顔に飛沫まで飛んでくる。

「シエル避けるのじゃ!!」

 マオからの掛け声と共に、鉄棍を受け流してから蹴りを入れ継ぎはぎの体勢を崩してから距離をとる。

「ファイアーストーム!!」

 距離をとった瞬間、炎の竜巻が継ぎはぎを襲う。
 それを横目にマオの元に向かう。

「大丈夫かの、シエル?」

「怪我はないけど、継ぎはぎの鉄棍の威力が強くて、両手が痺れているわね」

 痺れた手を交互に振りながら答える。

「ん? でも、顔に血がついておるぞ? その血はシエルの血ではないのか?」

「あぁこれ。この血は継ぎはぎの血だよ。あいつ、自分の腕の筋肉が痛もうが骨が折れようが関係なく鉄棍を振ってたからそれが顔まで飛んできたの」

「そうなんじゃな。なら、所々に聞こえていた鈍い音は、やはり骨が折れる音じゃったんじゃな」

「そうね。たぶん、上がった力に耐えれなかったから、あんな事になったんだと思うわ」

「なる程のう。ん、どうやらあれから抜け出すみたいじゃぞ」

 視線を炎の竜巻に向ける。
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