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57話・問答

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 正面門に到着した私は、マオたちを待たせて、手早く最新の情報を求める為に、近くにいた兵に声をかける。
 すると、私が王女だと気づいたようで、声をかけた兵がすぐその場にひざまずいてしまう。
 跪いたままだと話を聞きづらい為、すぐ立ち上がって貰う。

「それで、シエル様。私に何用でしょうか?」

 立ち上がった兵は、用件を尋ねてくる。

「今ゴブリンの大群が迫ってきていると思うんだけど、後どのくらいでやって来るのかを知りたいの」

 とゴブリンの進行状況について聞いてみる。

「ご… ゴブリンの進行状況についてですか?」

「えぇ、そうよ。後、出来れば騎士団がこの後とる作戦なんかも知っていればそれも教えてほしいわね」

「えっと、すみません。私は今ここに到着したばかりなので、詳しく情報はなにも…」

「そう… なら、知っている人の所まで案内を…」

 お願いしようとした所で、

「その必要はありませんよ、シエル様」

 と後ろから声をかけられる。
 声のした方へと振り返ると、

「あら、エペじゃない」

 見知った顔の男性騎士が立っていた。

「お久しぶりです、シエル様。おい、ここは私が対応するから、お前は、門の外で他の者と一緒に待機しておいてくれ」

「はっ!! では、王女様失礼します」

「えぇ、助かったわ」

 兵は、敬礼してから駆け足で離れていった。

「それで、エペ久しぶりね。ここに貴方がいるって事は、もしかして今回のゴブリンの対応は、第2騎士団がするの?」

「はい、そうなっております」

「なら、ビアンカもこっちに来ているの?」

「あ、いえ。団長は今、別任務で王都を離れているので、ここの指揮は私に一任されております」

「あら、そうなのね。なら、帰ってきたらエペからよろしく言っといて頂戴」

「分かりました。団長が帰られたら、伝えておきます。それで、チラッと聞こえてきたのですが、話の内容からして、シエル様も今回のゴブリン殲滅に参加されるのですか?」

「えぇ、そのつもりよ。と言っても、もしかしたら、他の人の相手をするかもだけどね」

「…それはもしかして、先頭にいる鬼人族の事を仰っておられるのですか?」

「えぇ、そうよ。それで、一応これは未確認情報として聞いてほしいんだけど、そのゴブリンを率いている鬼人族は、あの魔神教団の1人である可能性があるの」

「!? そうですか。シエル様、貴重な情報をありがとうございます」

「気にしないで。それで、ゴブリン殲滅に対しての作戦は何かあるの?」

 と確認してみる。
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