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56話・いざ正面門へ

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 スピカに、ユニークスキルである完全遮断を発動して貰う。
 だけど、見た感じ発動できているのかどうか分からなかった為、確認してみる。
 そして、ちゃんと発動されているのを確認できたので、俺の優秀な従魔を褒めておいた。

『ありがと…』

 いつもに比べ、少し声が弾んでいるように感じた。
 それに少しほっこりしながらも、

"じゃあ、スピカ。悪いけどこのまま向かいたい所があるから、ちゃんと捕まっておいてくれ"

 この後走る予定なので、しっかり捕まるよう言っておく。

『分かった… 頑張る…』

"なら、いくぞ"

 掛け声をかけ、周りから気づかれないので、そのまま屈伸からの大ジャンプをする。
 そして、家の縁に手をかけ体を持ち上げ、家の上へと登る。

"スピカ、落ちてないか?"

『大丈夫…』

"よし。なら、そのまま捕まっててな"

『分かった…』

 手早く確認してから、俺はそのまま家の上を駆け出し、目的の場所へと向かう。





 遠話のブレスレットに再度魔力を流し、遠話を終える。

「終わったみたいじゃな」

「えぇ。ただ、むこうでも何かあった様子なの」

 何があったのかまでは聞けなかったけど、いつもに比べセウンの声に少し慌てていたように感じた。

「確かにそれらしき事を言っておったの」

「仰ってましたね。いったい何があったんでしょうか?」

「分からんの」

「セウンさんは、大丈夫なんでしょうか?」

「それも分からんが、遠話に出れているのなら、とりあえずは無事なんじゃないかの。それに、もし何かあっても、セウンなら自分で何とかするんじゃないかの?」

「あー、何となく分かる気がするわ」

「そうですね。セウンさんですもんね」

「そ… そうなですね」

「それに、もし儂たちの力が必要なら、セウンの方から遠話してくるじゃろ」

「それもそうね。なら、私たちは私たちの出来る事をやりましょう」

「じゃな」 「分かりました」 「はい」

 少し遅れて、私たちも正面の門へと向かう。
 到着した時には、既に門は閉じきっており、その横にある門兵たちが出入りする場所から冒険者や騎士団の兵たちが慌ただしく出ていっていた。

「今の状況を聞いてくるから、ちょっと待ってて」

 まずは、最新の情報を求めて、近くにいた兵に声をかける。

「今ちょっといいかしら?」

「ん? 今急いで… !? シエル様!! す… すみません!!」

 声のかけられた兵は、謝りながらその場にひざまずいた。

「気にしていないから立ち上がって頂戴」

「はっ!!」

 跪いていた兵はさっと立ち上がる。
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