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11話・突入前のやり取り

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 セウンさんから身に覚えのある瓶を渡される。

「えっと、セウンさん。これって…」

「この前、ラスに渡した奴だな」

「ですよね…」

 て事は、やっぱりエリクサーかと、これを受け取っていいのか悩んでしまう。

「あ、遠慮はするなよ。何度も言うようたが、本当に、この先何があるか分からないから、その場で取り出して飲ませるより早いから渡しているだけだからな。それに、この前渡した奴持ってきてないんだろ?」

「うっ… はい。すみません…」

 セウンさんの言う通り、この前渡されたエリクサーは持ってきていない。
 籠手や短剣、防具と一緒に準備はしていたのだが、孤児院を出る前に、落として割ったり、戦闘の際に割れたらと考えてしまい結局置いてきてしまった。
 だけど、ダンジョンにむかう途中に、セウンさんから荷物があるのなら預かると言われた時は、目を見開き一瞬何も答える事が出来なかった。

「それについてはそんなに気にしなくてもいいぞ。それより、そろそろ行こうか」

「は… はい!!」

 今度は、セウンさんが先頭を歩き、現れた部屋の方へと進んで行った。





 準備をし、現れた部屋の方へと進んでいくが、突入する直前で、立ち止まる。

「先が真っ暗で何も見えないですね」

「だな…」

 ラスの言う通り、どういう原理なのか、先が真っ暗で何も見えず、外から中を確認出来ないかという安直な発想は使えなかった。

「やっぱり、中に入ってみて確認しないと駄目みたいだな」

「みたいですね」

「まぁ、元々入る予定だし、気を引き締めて行こうか」

「はい」

「じゃあ、ほら」

 俺はそう言って、ラスに手を差し出す。

「どうしたんですか?」

「もしかしたら、入った瞬間に、別々の場所に飛ばされるか可能性もなくはないからな。念のため、手を繋いだまま中へ入ろうと思ってな」

 そう手を繋ぐ理由を話す。

「そ… そうなんですね。で… では、し… 失礼します」

 ラスは、顔を赤くし、どもりながら、恐る恐る俺の手を握ってくる。
 まぁ、恥ずかしい気持ちは分からなくはないが、

「なぁ、ラス」

「な… 何でしょうか?」

「これじゃあ、握手だぞ?」

 間違いを指摘する。

「え、あっ!! す… すみません!!」

「いや別に、謝る事じゃないし、気にしなくてもいいから、とりあえず繋ぎ直して、中に入ろうか?」

「は… はい!!」

 繋ぎ直し、すぐに離さないように、少し力を込めギュッと握り返す。

「!?」

「あ、悪い。痛かったか?」

「あ、いえ、大丈夫です…」

「なら、良かった。じゃあ、行くぞ」

 そう言って、中へと突入する。
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