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4話・道をそれて

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 少しの間、モンスターを探索せずに、入り口の端に避けて、某クエスト会談で盛り上がった。

「それでやっぱり私は… 「ラス、ちょっとストップ!!」」

 ラスとの話は楽しかったのだが、横を通りすぎていく冒険者たちから奇異の目で見られているのに気付き、ここに来た理由を思い出す。

「私の話、つまらなかったですか?」

 突然話を止めたせいか、ラスは、少ししょぼんとしながらそう聞いてきた。
 小さい子のそんな姿を見ると、少し罪悪感がわいてしまう。

「いや、そんな事はないよ。だけどラス、ここに来た本来の理由を思い出してみてくれ」

「ここに来た理由… あ!!」

「ラスも、思い出したみたいだな」

「はい… すみません、話が楽しくて…」

「いや、俺も楽しかったからそれは気にしないでくれ。それじゃあ、気持ちを切り替えて探索していこうか」

「はい、分かりました!!」

 俺たちは、気持ちを切り替えて、モンスターの探索を始める。





 2階層へと続く階段がある方側を探索すると、2階層へ下りる冒険者がモンスターを倒してしまう可能性が高い為、その事をラスに伝えてから、道をそれ、探索する。
 道をそれて、少し進んだ所で、目的のモンスターを見つけ、立ち止まる。

「ラス。少し先にいるモンスターが見えるか? あれがスライムだよ」

「はい、見えます。あれがスライム何ですか?」

 俺の後ろからひょっこり顔を出したラスが聞いてくる。

「あぁ、そうだよ」

 少し離れた先には、薄い水色のサッカーボール程の大きさのゼリー状の生物… スライムがいた。

「私の知っているスライムと違って、目や口とかはないんですね」

 某クエストのあいつと見比べたようで、ラスはそう言ってくる。

「だな。だけど、目や口がないからと言って、油断して近づくと俺たちのいる場所を察知して体当たりしてきたり、個体によっては、消化液を吐き出してくる場合もあるからそこは気をつけてな」

「分かりました」

「あぁ後それと、スライムの弱点は、体の中心にある核だから、それに衝撃をあたえればすぐに倒せるよ」

「核… あぁ、あの黒い奴ですね」

 手をかざし、少し離れたスライムの核を見つける。

「あぁ、そうだよ」

「ん? でも、私の武器ってこれかこれですけど、核を狙って溶けたりしないんですか?」

 短剣を指差し、手甲を掲げて、そう聞いてくるので、

「あぁ、それは大丈夫だよ。スライム消化液はそこまで強くないから、一瞬だけならそこまで気にしなくても大丈夫だと思うぞ」

 大丈夫である事を伝えた。
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