スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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105話・天耳通 1

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 すぐ俺の目の前に、黒い渦が現れる。
 その渦を見て、ラスは驚き、他の3人も驚きながらも、一斉に身構える。

「あぁ、悪い悪い。これは、俺の従魔の力だから、身構えなくても大丈夫だぞ」

 そう言いながら、俺は黒い渦に手を入れ、スピカが手に乗った感触があるのを確認してから、黒い渦から手を出した。
 取り出した手の上にいるスピカは、チラッと目を開け辺りを確認した後、再度目を閉じる。

"改めて、寝てる所悪いな、スピカ"

『別にいい…』

"そうか。そりゃあ、良かった。それにしても、元気そうで何よりだ"

『ん、問題ない…』

 たまに、こうして念話でのやりとりはしていたが、本当にただ安否確認のつもりの念話だったので、黒い渦から出てきて貰う事はなかった。だから俺も、久々にスピカの姿を見たので、(たぶんだが)元気そうで良かった。
 そうしている間に、ラスやシエルたちが、近寄ってきた。
 
「それが、セウンさんの従魔なんですか?」

 一番始めに近寄ってきたラスが、少し目を輝かせながら聞いてくる。

「あぁ、そうだよ。ラスのスキルを試すのに、協力して貰おうと思っ…」

 てなと言おうとした所で、ふと気になる事ができ、

「その前に、ラスは、爬虫類いやこの場合はモンスター? まぁ、どちらにしろ大丈夫か?」

 そう聞いてみる。

「え? あぁ、大丈夫です!! それより、この子の名前はなんて言うんですか?」

 俺が気になった事すら何ののラスは、スピカから目を離さずに逆にそう聞いてきた。

「そ… そうか。それで、名前だったか?」

「はい、そうです!!」

「そのカメレオンの名前は、スピカだぞ。一応、女の子だな」

「なら、スピカちゃんですね!!」

「まぁ、そうなるな」

「なら私、早速天耳通てんにつうを使ってみます!!」

「あぁ、分かった。じゃあ、手を出してくれ」

「? 分かりました」

"スピカ。悪いけど、頼んだぞ"

『分かった…』

 スピカの返事を聞いてから、差し出したラスの手の方へ自分の手をむける。
 すると、手の上のスピカがゆっくりとラスの手の方へと移動してくれる。

「じゃあ、スピカと一緒に頑張ってな」

「はい!! ありがとうございます!! スピカちゃんも、お願いします!!」

 移動したスピカは、こくりと頷いたかと思ったら、すぐ目を閉じてしまう。
 俺からしたら、スピカらしいなと思ったのだが、初対面のラスからしたら、その行動に困惑を覚えたのか、不安そうに俺を見てきた。

「せ… セウンさん」

「気にしなくても、いいぞラス。スピカは、もともとそんな感じの奴だから、そのまま天耳通を使ってやってくれ」

「わ… 分かりました。やってみます!!」

 ラスは、再度スピカにむきなおった。
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