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86話・肉体へ
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私は、もう少しだけここに残り、シュテンさんとここに来る為の合図を決めた。
「では、ここに来たい時は、鬼神化を使ってから、先程決めた合図を取ってくれたら、ここに呼び寄せますね」
「はい、分かりました。その時は、お願いします」
「では、最後に少し失礼しますね」
そう言いながら、シュテンさんは、私の頭に手をのせる。
「えっと、何をしているんですか?」
「おまじないみたいなものですよ」
「おまじないですか?」
「はい、そうです」
「どんなおまじないなんですか?」
「それは肉体に戻った時に、ステータスを確認してみて下さい」
「ステータスをですか? 分かりました。後で確認してみます」
「では、やる事も終わりましたから、そろそろ肉体へとラス君の精神を返そうと思います。いいですか?」
「はい、分かりました」
「では、またお会いしましょう」
「はい!!」
それを最後に、徐々に私の意識が薄れていった。
◆
「ラス… だい… ぶか?」
徐々に意識がはっきりしてきた為か、誰かが私を呼ぶ声が聞こえてくる。
「ラス、大丈夫か?」
体を揺さぶられる感覚で、完全に意識を取り戻すと、目の前にはセウンさんの顔があった。
「セウンさん!?」
それに驚いた私は、体勢を崩し転びそうになるが、転ぶ前に、セウンさんが助けてくれる。
「本当に大丈夫か、ラス?」
「あ… ありがとうございます、セウンさん。私は、大丈夫です。それで、どうしてセウンさんは私の目の前にいたんですか?」
私は、セウンさんの胸から顔を離し、体勢を整えながら、そう尋ねる。
「ん? あぁ、それはな…」
セウンさんが、どうして目の前にいたのかの説明をしてくれる。
◆
~ラスが戻ってくる少し前~
「鬼神化!!」
ラスが新しいスキルを発動した。
何が起こるか分からない為、警戒していたが、ラスが動く気配がない。
「ラス、大丈夫か?」
声をかけてみるが、反応がない。
俺だけでなく、シエルたちもラスに声をかけたが、やはり反応はなかった。
「俺が近づいて様子をみてみるから、皆はそのまま警戒をしていてくれ」
シエルたち3人にそう伝え、俺はラスに近づく。
近くまで来ると、声をかけながら、伏せている顔を覗き込む様に見ると、目の焦点があっていないように見えた。
今度は、ラスの体を軽く揺さぶりながら声をかけると、
「セウンさん!?」
今度は反応があったが、そのまま後ろへと倒れそうになった為、すぐにラスの腕を掴み、自分のもとへと引っ張って助ける。
そしてラスは、今の状況(何故俺がラスの目の前にいたのか)が分かっていないようなので、その説明をする。
「では、ここに来たい時は、鬼神化を使ってから、先程決めた合図を取ってくれたら、ここに呼び寄せますね」
「はい、分かりました。その時は、お願いします」
「では、最後に少し失礼しますね」
そう言いながら、シュテンさんは、私の頭に手をのせる。
「えっと、何をしているんですか?」
「おまじないみたいなものですよ」
「おまじないですか?」
「はい、そうです」
「どんなおまじないなんですか?」
「それは肉体に戻った時に、ステータスを確認してみて下さい」
「ステータスをですか? 分かりました。後で確認してみます」
「では、やる事も終わりましたから、そろそろ肉体へとラス君の精神を返そうと思います。いいですか?」
「はい、分かりました」
「では、またお会いしましょう」
「はい!!」
それを最後に、徐々に私の意識が薄れていった。
◆
「ラス… だい… ぶか?」
徐々に意識がはっきりしてきた為か、誰かが私を呼ぶ声が聞こえてくる。
「ラス、大丈夫か?」
体を揺さぶられる感覚で、完全に意識を取り戻すと、目の前にはセウンさんの顔があった。
「セウンさん!?」
それに驚いた私は、体勢を崩し転びそうになるが、転ぶ前に、セウンさんが助けてくれる。
「本当に大丈夫か、ラス?」
「あ… ありがとうございます、セウンさん。私は、大丈夫です。それで、どうしてセウンさんは私の目の前にいたんですか?」
私は、セウンさんの胸から顔を離し、体勢を整えながら、そう尋ねる。
「ん? あぁ、それはな…」
セウンさんが、どうして目の前にいたのかの説明をしてくれる。
◆
~ラスが戻ってくる少し前~
「鬼神化!!」
ラスが新しいスキルを発動した。
何が起こるか分からない為、警戒していたが、ラスが動く気配がない。
「ラス、大丈夫か?」
声をかけてみるが、反応がない。
俺だけでなく、シエルたちもラスに声をかけたが、やはり反応はなかった。
「俺が近づいて様子をみてみるから、皆はそのまま警戒をしていてくれ」
シエルたち3人にそう伝え、俺はラスに近づく。
近くまで来ると、声をかけながら、伏せている顔を覗き込む様に見ると、目の焦点があっていないように見えた。
今度は、ラスの体を軽く揺さぶりながら声をかけると、
「セウンさん!?」
今度は反応があったが、そのまま後ろへと倒れそうになった為、すぐにラスの腕を掴み、自分のもとへと引っ張って助ける。
そしてラスは、今の状況(何故俺がラスの目の前にいたのか)が分かっていないようなので、その説明をする。
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