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83話・神通力 2

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 シュテンさんの話を聞き、鬼人族=ほぼ脳筋という式が出来上がった。
 なら、その脳筋一族の私も、あまり神通力が使えないかもと少し残念に思っていると、

「まぁでも、相性が悪くても、時間をかけて訓練すれば、使えるようになるみたいですから、そこまで残念そうにしないで下さい」

「あ、すみません…」

 顔にでも出ていたのか、シュテンさんはそう言ってくれる。

「ん? それより、訓練すれば、使えるようになるんですか?」

「みたいですね。最初の1人はそれで、2種類目の神通力を使えるようになりまし、それに、最初は神通力を使えなかった子も1種類目を使えるようになりましたから」

「そうなんですね」

 なら、私も頑張れば、ちゃんと使えるように…

「ん? ちょっと待って下さい、シュテンさん」

「どうかしましたか?」

「神通力は、訓練すれば使えるようになるかもしれないんですよね?」

「はい、そうですね」

「でも、その分時間をかけないといけないんですよね?」

「そうですね。あの子たちが使えるようになった年数の平均が数百年くらいだから、ラス君もそのくらい訓練すればいけると思いますよ」

「数百年… シュテンさん。それって私、完全に死んでますよね? 完全に、ここの一員になってないと使えない状態ですよね」

「あ… まぁでも、あの子たちは、神通力より体術や対人戦闘を積極的にやっていたから、ラス君ならそんなにかからないかもしれないよ…」

「そうである事を祈ります…」

 少しの間、無言の時間が流れる。

「さて、それじゃあ神通力の実践でもしてみましょうか」

 先程までの事を何事もなかったように、シュテンさんが話し出した。
 私も、話を蒸し返すのもあれだと思い、お願いする。

「は… はい、お願いします」

「と言っても、今さらですけど、目に見えて分かりやすい神通力は、1つしかないんですよね」

「そうなんですか?」

「はい。まぁ、その1つが、今までの子たち皆が使える神通力何ですけどね。」

 そう言って、シュテンさんは縁側から庭へと出るので、私も後に続く。

「それじゃあ、ラス君はここにいて、よく見ていて下さい」

「分かりました」

 私は、少し離れた位置にたったシュテンさんから目を離さないように凝視していたのだが、

「じゃあ、いきますね」

 シュテンさんが、そう言った瞬間、気づけばシュテンさんの姿が消えていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より(捕捉)

 シュテンは、こっそりとちょくちょく神通力を使ってます。
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