スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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70話・嫌な汗

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 セウンさんの模擬戦の時にも思ったけど、どうやらフィアンマさんは、かなりの負けず嫌いのようだ。

「そうですよね。私も、次こそは胸を張って勝ったと言えるように、強くなりますから、模擬戦だけでなく指導もよろしくお願いします、フィアンマさん」

 私は、ちゃんと頭を下げて、お願いする。

「任せておくれ。出来る限り手を貸すからね」

 フィアンマさんは、笑いながら了承してくれる。





 ラスとフィアンマさんがやり取りをし出した所で、俺は数歩後ろに下がって2人の話を聞いていた。
 2人の話が終えたところで、ラスに声をかけようとしたところで、

「すみません、セウンさん」

 先にラスが俺に謝ってきた。

「何がだ?」

 謝られる事がないからそう尋ねる。

「今出来る限りの力を出しきったんですが、あんな結果だったんで…」

 突然謝ってきたので、何事かと思ったが、ラスから謝ってきた理由を聞いて、なんだ、そんな事かと思ってしまう。

「気にしなくていいぞ、ラス。確かに、結果だけみたら負けているかもしれないけど、ラスは今持てる力を出しきってあれだけ頑張ったんだから、そんなに落ち込む必要はないと思うぞ」

「そうですかね…」

 まだ少し落ち込んでいる様子だったので、元気付けるために、少し体を近づけ小声で、

「それに、俺も昨日フィア婆様に負けているしな。これからは、打倒フィア婆様目指して、一緒に頑張ろうぜ」

 半分ジョークのつもりでそう言うと

「はい!! 頑張ります!!」

 声を張り上げ、返事をする。
 そして、返事をしたラスは、すぐに自分が大きな声を出した事に気付いたのか顔を少し赤くしていた。
 俺も、大きな声に少し驚きはしたけど、まぁ元気になっているようなのでいいかと思っているとぐいっと引っ張られ、肩に腕を回される。

「ねぇ、セウン。1ついいかい?」

「どうしました、フィア婆様?」

 腕を回してきた相手… フィア婆様にどうしたのか尋ねる。

「私はこう見えて、かなり耳がいいんだよ」

 顔を近づけ耳元で、そう言ってくる。
 それを聞き、腕には鳥肌がたち、背中では嫌な汗が流れる。

「私の目の前で、堂々と宣戦布告とはいい度胸じゃないかい」

 思った通り、俺がラスに言っていた事が聞こえていたみたいだ。

「まぁ、セウンは既に私より強いと思うし、ラスもかなり成長の見込みがあると思うけど、私もまだまだ負けるつもりはないから覚悟しておくんだね」

「わ… 分かりました」

 フィア婆様は、それだけ言うと俺を解放してくれ、

「それで、ラスのスキルはいつ試すんだい?」

 何事もなかったように、話を変えてきた。
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