245 / 453
63話・甘ったれた考え
しおりを挟む
気づけば、緊張で少し硬かった体もほぐれているように感じた。
「それじゃあ、もう少し頑張って、フィア婆様にラスの実力をみせてやれ」
セウンさんはそう言いながら、笑いかけてくれた。
「はい、頑張ります!!」
私がそう答えると、セウンさんは満足そうに戻っていく。
私は、もう一度深呼吸し息を整え、
バシンッ
と自分の頬を張り、気合いを入れ直す。
「それじゃあ、再開!!」
止めていた模擬戦が再開される。
再開されるも、フィアンマさんは、私の様子を伺うだけでなく、何かをしてくる様子はない為、私も、先程みたいに突っ込んでいく事なくどうするか考える。
息を整えたとはいえ、体力までが戻った訳ではない為、考えて動かないとすぐにばててしまい、模擬戦がそこまでになってしまう。
「どうしたんだいラス、さっきみたいに突っ込んでこないのかい?」
動き出さない私にしびれをきらしたのか、フィアンマさんが声をかけてくる。
「さっきみたいに突っ込んでも勝てる気がしないので、作戦をたててただけですよ」
「そうかい。それで、いい作戦は決まったのかい?」
「…まだですね」
「ふふ、そうかい。でも、私も待っているのも飽きてきたから、今度は私から行かせて貰うよ」
フィアンマさんがそう言ったかと思うと、突っ込んできて攻撃を仕掛けてきた。
手加減をしてくれていると思うから、何とか対処できているが、それでも私からしたら結構ギリギリだったりする。
フィアンマさんの攻撃の手が緩んだ所で、後ろへ下がり距離をとる。距離をつめて来ない所を見ると、手を緩めたのもわざとだと思う。
「どうだい、ラス。いい作戦とやらは浮かんだかい?」
後ろに下がりきった所で、フィアンマさんが声をかけてくる。
「…まだです」
あんなやり取りをしていのに考えられる訳ないじゃないと少しムッとしながらそう答える。
「不満そうな顔をしてるね」
「うっ…」
私は、図星をつかれ、言い返す言葉もなかった。
「でもよく考えてみな、ラス。実戦だと更に魔法やスキルなんかを使って今以上に激しいやりあいをしないといけない。そして、そのやりあいの中で相手を倒す算段を考えないといけないんだよ」
「!?」
私は、一瞬で不満に思っていた気持ちが消えさり、何甘ったれた考えをしていたんだろうと、自分で自分を殴りたくなる気持ちにかられる。
フィアンマさんの言う通り、そんな事は、前世の空手の試合でもやっていた事だった。
「理解できているようだね。でも、後悔は後でしな。今は、この模擬戦でやれる事をやってあんたの実力をみせてみな」
そう言った後、再びフィアンマさんはまっすぐむかってきた。
「それじゃあ、もう少し頑張って、フィア婆様にラスの実力をみせてやれ」
セウンさんはそう言いながら、笑いかけてくれた。
「はい、頑張ります!!」
私がそう答えると、セウンさんは満足そうに戻っていく。
私は、もう一度深呼吸し息を整え、
バシンッ
と自分の頬を張り、気合いを入れ直す。
「それじゃあ、再開!!」
止めていた模擬戦が再開される。
再開されるも、フィアンマさんは、私の様子を伺うだけでなく、何かをしてくる様子はない為、私も、先程みたいに突っ込んでいく事なくどうするか考える。
息を整えたとはいえ、体力までが戻った訳ではない為、考えて動かないとすぐにばててしまい、模擬戦がそこまでになってしまう。
「どうしたんだいラス、さっきみたいに突っ込んでこないのかい?」
動き出さない私にしびれをきらしたのか、フィアンマさんが声をかけてくる。
「さっきみたいに突っ込んでも勝てる気がしないので、作戦をたててただけですよ」
「そうかい。それで、いい作戦は決まったのかい?」
「…まだですね」
「ふふ、そうかい。でも、私も待っているのも飽きてきたから、今度は私から行かせて貰うよ」
フィアンマさんがそう言ったかと思うと、突っ込んできて攻撃を仕掛けてきた。
手加減をしてくれていると思うから、何とか対処できているが、それでも私からしたら結構ギリギリだったりする。
フィアンマさんの攻撃の手が緩んだ所で、後ろへ下がり距離をとる。距離をつめて来ない所を見ると、手を緩めたのもわざとだと思う。
「どうだい、ラス。いい作戦とやらは浮かんだかい?」
後ろに下がりきった所で、フィアンマさんが声をかけてくる。
「…まだです」
あんなやり取りをしていのに考えられる訳ないじゃないと少しムッとしながらそう答える。
「不満そうな顔をしてるね」
「うっ…」
私は、図星をつかれ、言い返す言葉もなかった。
「でもよく考えてみな、ラス。実戦だと更に魔法やスキルなんかを使って今以上に激しいやりあいをしないといけない。そして、そのやりあいの中で相手を倒す算段を考えないといけないんだよ」
「!?」
私は、一瞬で不満に思っていた気持ちが消えさり、何甘ったれた考えをしていたんだろうと、自分で自分を殴りたくなる気持ちにかられる。
フィアンマさんの言う通り、そんな事は、前世の空手の試合でもやっていた事だった。
「理解できているようだね。でも、後悔は後でしな。今は、この模擬戦でやれる事をやってあんたの実力をみせてみな」
そう言った後、再びフィアンマさんはまっすぐむかってきた。
2
お気に入りに追加
936
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる