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60話・ルール

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 孤児院について、フィア婆様たちのストレッチもどきが終わるのを待ってから声をかけると、ラスの件については少し時間を置いてからする事になり、ながれで子供たちの勉強を見る事になった。
 1時間ほど子供たちの勉強を見ていたら、フィア婆様がそろそろいいかねとの事で、ラスの件について始める事にした。
 子供たちの事はシビルさんに任せてから、俺たちは外へとむかう。

「それで、まずどっちからするんだい?」

 部屋を出てから、フィア婆様がそう聞いてくる。

「そうですね… ラスはどっちからがいいかとかあるか?」

「ど… どちらからでも大丈夫です!!」

 当事者にどちらからやるか決めて貰おうかと思ったが、ラスはどうやら少し緊張しているようだ。

「なら同時にやるかい? そっちの方が面白そうだしね」

 フィア婆様は、笑いながらそう提案してくる。

「フィア婆様、面白そうって理由で決めないで下さいよ」

「やっぱダメかい?」

「そりゃそうですよ…」

 少し呆れながらそう言った後、

「なら、模擬戦からやったらどうですか?」

 と提案する。

「どうしてだい?」

「理由としては、先に例のスキルを使って、もしデメリットなんかがあった場合、模擬戦どころじゃなくなるからですね」

「なるほどね。私はそれで構わないよ」

「ラスはどうだ?」

「わ… 私もそれで大丈夫です」

 2人とも了承したので、先に模擬戦からする事にした。
 外に出ると、シエルたちには離れた所で待機して貰い、審判は俺がやる事になった。
 とりあえず少し距離をあけ、ラスとフィア婆様がむきあい、俺はその中央に立つ。
 開始の合図を出せばすぐにでも模擬戦を始められるが、その前に確認しておかなければならない事を思い出し確認する。

「フィア婆様、ちょっと確認したいんですが、今回の模擬戦のルールはどうするんですか?」

「そう言えば決めてなかったね」

「はい。それで、どうしますか?」

「そうさねぇ… その前に、ラスは何か魔法を使えたりするのかい?」

「いえ、使えないですね…」

「そうかい。なら、純粋に体術のみの模擬戦でいいんじゃないかい。一応、それを教える為に実力を試すんだからね」

「それもそうですね。ラスも、それでいいか?」

「はい、大丈夫です」

 そうと決まれば、改めて今回の模擬戦のルールを確認してから、開始の合図をかける。





 私は朝起きてから少し緊張していた。
 昨日も今日の事を考えていたら、なかなか寝付けなかった… と言っても、寝る時間じたい早かったので、たぶん眠った時間は、前世とそこまで変わらないような気もしないでもない為、体調も悪い訳でもなくどちらかと言えば、ここ最近で一番いいくらいだった。
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