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56話・覚醒したスキル 5

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 頭を下げてくるラスに、気にしなくていい事を伝える。

「それで、ラスはどんなスキルを覚えたんだ?」

「鬼神化って言うスキルですね」

「鬼神化?」

「はい、そうです。セウンさんは、このスキルについて、聞いた事ありますか?」

「悪いけど聞いた事ないな… どんな効果なのか聞いてもいいか?」

「大丈夫ですけど、ちょっと待って下さい」

 ラスはそう言って、自身のステータス画面を確認しながら、鬼神化についての説明をしてくれる。
 それを聞いて、

「なんて言うか、凄いスキルだな」

 そう自然と口にしていた。

「やっぱりそうですよね!! これも全部セウンさんのおかげです!!」

「俺はきっかけを与えたにすぎないから、そのスキルが出たのはラスの運が良かっただけだぞ」

「それでも、そのきっかけをくれたのはセウンさんなんで、やっぱりセウンさんのおかげです!!」

 これ以上は、押し問答になりそうなので、話を変えてみる。

「それよりそのスキルって、デメリットとかは大丈夫なのかな?」

「デメリットですか?」

「あぁ。俺がラスに使ったスキルは痛みを伴っただろ。それと一緒で、何かデメリットがないのか気になってな」

「どうなんでしょうか? 今から使ってみますか?」

 少し考えた後、

「…ラスがスキルの事を教えてもいいと言うなら、何が起こるか分からないから、シェーンたちがいる時に使ってみたらどうだ?」

「教えても大丈夫です。なら、明日使ってみたいと思います。その時は、セウンさんも一緒にいて貰ってもいいですか?」

「俺も気になるなら、それは構わないよ」

「なら、お願いします」

「了解。なら俺は、また明日の朝にでもこっちに来るとして、まずは皆にもこの話をして予定が空いているかどうか確認しようか」

「あ、そうですね。分かりました」

「なら俺は、寝ている2人に声をかけて来るから、ラスは、シェーンを呼びに行ってくれるか?」

「分かりました」

 その後、集まった3人に、ラスのスキルの事を聞いてみるが、3人とも聞いた事がないとの事だった。
 そのスキルを明日試す事を伝え、念の為に明日一緒に立ち会って貰えないか聞いてみると、3人とも明日は特に予定をいれてないようで、大丈夫との事だった。
 そして、3人から了承を得られた所で、フィア婆様が帰ってきた。
 帰ってきたフィア婆様は、かなり笑顔だったので、新しく覚えたスキルの手応えが良かったんだろう。
 そんなフィア婆様にもラスの事を説明するが、フィア婆様もラスのスキルの事を知らなかった。
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