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52話・覚醒したスキル 1

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 痛みで気絶したラスを抱えて、シェーンが部屋を出ていった。
 それを見送ると、フィア婆様が話しかけてくる。

「セウンは、この後どうするんだい?」

「特に予定はないですから、ラスが起きるのを待っておこうと思ってます」

「そうかい… なら、悪いんだけど、子供たちの夕食を任せてもいいかい?」

「それは別に構いませんが、一応理由を聞いてもいいですか?」

「新しいスキルを試したいからに、決まってるだろ?」

 今回は、言い訳する事なく答えてくる。
 理由は、分かっていたので、嫌みの一言でも言おうと思っていたが、そう堂々と答えられると、言う気が失せてしまう。

「はぁ… 分かりました。あまり、遅くならないで下さいね」

「ありがとう、セウン。分かってるよ。それじゃあ、行ってくるよ」

「はいはい。いってらっしゃい」

 フィア婆様を見送ってから、俺は、シェーンやシビルさんにこの事を伝えに行く。





 セウンに後の事を任せてから、私はすぐにダンジョンへむかった。

「さて、まずはモンスターと会う前に、覚えた魔法を試そうかね」

 邪魔にならず、モンスターのいない場所へ移動し、

「暗黒球」

 魔法を発動する。
 発動すると、卵程の大きさの球体状の黒い塊が浮かぶ。まずは、それを操作してみる。

「遅いねぇ…」

 球体が動くスピードは、子供の歩くスピードより遅いくらいだ。

「次は効果はどのくらいか調べるかねぇ…」

 私は、近くに落ちていた石を拾いあげ、その黒い塊にむかって投げてみる。

「おぉ…」

 投げた石は、その黒い塊に飲み込まれ、跡形もなく消えた。
 その後も、色々試していき、試した結果、いくつか分かった事があった。

・ 球体のスピードは、かなり遅い
・ 飲み込める大きさは、球体程の大きさかそれ以下しか飲み込めない
・ 生き物は、大きさに関係なく飲み込めない。正し、死体は飲み込み可能。でも、球体以下にしないといけないと

「効果はいいけど、やっぱり、スピードが遅いのは難点だねぇ… 神聖魔法みたいに拳に纏えないかやってみようかね」

 そう思ったが、その前にやらなければならない事がある。そう、技の名前だ。
 少し考えた結果、

「暗黒拳にしようかね」

 名前も決まった事だし、早速拳に纏えないか試してみる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より(捕捉)

神聖拳 ・・・ 神聖魔法を拳に纏わせて闘う。

暗黒魔法 ・・・ 闇魔法の派生魔法。闇魔法と違い汎用性はんようせいもない所か、発動範囲も狭く、魔法の種類も1種類のみしかない。因みに、レベルが上がるとその1種類の効果が上がる。
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