上 下
224 / 447

42話・まさかの展開

しおりを挟む
 肉や野菜などを買った後は、他に必要な網や串などを商店で購入してから、孤児院へと戻った。
 孤児院へ戻ると、シェーンが話を通してくれていたので、子供たちは、シエルとマオに任せ、早速下ごしらえ(野菜のカットや肉の味付け)を始める。
 下ごしらえを終えた頃に、

「遅くなって悪いね、私も手伝わせて貰うよ」

 フィア婆様も手伝いに来てくれた。

「なら、これを交互に串に刺して貰ってもいいですか?」

 カットした野菜や肉を渡す。

「これを交互に刺せばいいんだね?」

「はい、お願いします」

「分かった。早速やらせて貰うよ」

 フィア婆様も手伝ってくれ、手早く準備を終わらせてから、皆で外へとむかう。
 案の定、マオは倒れていたので、側にポーションを置いてから、焼く準備を始める。
 ある程度いい感じで焼けてきた所で、匂いにつられた子供たちが群がってきたので、ラスから順番に手渡していき、バーベキューが始まった。
 子供たちだけでなく、他の皆も楽しげに食べてくれた。





 久しぶりのバーベキューだったようで、ラスははち切れんばかり食べていた。そういう俺も、いつもより食が進みそうになったが、八分ほどで止めておいた。
 片付けは、予定どおりシエルとマオの2人に任せた… と言っても、バーベキューにしたからか洗い物があまりなかったので、満腹になって眠たげな子供たちの寝かしつけも任せた。
 因みに、シビルさんは必要な物の買い出しに行くとの事で、シェーンはそれについて行った。
 荷物持ちとしてついていこうとしたが、2人で大丈夫との事で、俺たちは、食休みをしていた。

「そういえば、シェーンに聞いたのたが、ラスは私に体術を習いたいんだって?」

「は… はい!!」

「そうかい…」

「俺からもお願いします、フィア婆様」

「あぁ、それはセウンから頼まれなくても教えるから大丈夫だよ。それじゃあ、実力を見たいから、今から模擬戦でもやろうか」

 そう言い、返事を聞かずに、準備運動をするかのように、フィア婆様は体を伸ばし始めた。
 だけど、それとは対称的にラスは、食べすぎたせいかあまり動けそうには見えなかった。

「フィア婆様」

「ん、どうした?」

「ラスは、食べすぎて動けそうにないみたいなので、明日にしませんか?」

 そう言いながら、ラスの方を指差す。

「ん… あぁ、そうみたいだね」

 お腹を押さえながら、全力で、頭を縦に振っているラスを見て、フィア婆様も諦めてくれた… かと思ったが、

「なら、セウン。お前が代わりに私の相手をしてくれないかい?」

「え…」

 まさかの返しに驚く。
 だけど、フィア婆様は、やる気満々でこっちを見てくるので、

「はぁ… 分かりました、いいですよ」

 相手をする事にした。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私の夫が未亡人に懸想しているので、離婚してあげようと思います

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:52,266pt お気に入り:904

公女は祖国を隣国に売ることに決めました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:4,140pt お気に入り:98

元Sランククランの【荷物運び】最弱と言われた影魔法は実は世界最強の魔法でした。

EAT
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:151

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:315

悪役令嬢は処刑されないように家出しました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:894pt お気に入り:2,783

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

BL / 連載中 24h.ポイント:12,128pt お気に入り:4,087

実力主義に拾われた鑑定士 奴隷扱いだった母国を捨てて、敵国の英雄はじめました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,114pt お気に入り:16,603

処理中です...