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30話・呆れ
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魔法が存在するなら、私だって、魔法を使えるかもしれないと思ったからだ。
純粋に、魔法を使ってみたいという気持ちもある。
それに、このスキルや魔法が使えたなら、私の手で、お父さんとお母さんを殺したあの女も…
「はぁ…」
そんな事を考えるていると、自然とため息が溢れる。
ここがファンタジーで、日本と違って命が軽い世界だって事は分かっている。だけど、前世の記憶を取り戻した状態の私では、それを実行に移せるかどうかは別だ。
それに、敵をとりたい気持ちも確かにあるが、それと同じくらい、両親がそんな事望んでいないだろうと冷静に思っている部分もあったりする。
「はぁ…」
また自然とため息が溢れる。
これ以上考えていても、どうするか選べそうにない為、今後について改めて考えみた。
そして、その中で、決めた事がある。それは、強くなろうって事だ。
両親の敵をとるにしてもとらないにしても、こんな世界だから強くなる事は自分の身を守ることにも繋がるからだ。
その為、何をすればいいか考えてみる。
◆
ラスとの話が終わり、部屋を出るが誰もいなかった為、シエルたちを探し始める。
近くの部屋からシエルたちの声がしたので、扉をノックすると、
「誰だい?」
中から、フィア婆様が返事する。
「俺です。セウンです」
「なんだい、セウンかい。鍵はかかってないから、そのまま入ってきな」
「はい」
俺は、部屋に入り、勧められるまま空いてある椅子に座る。
「ラスちゃんとの話は終わったの、セウン?」
「あぁ、終わったよ」
「何を話してたの?」
転生者について隠していると言い訳ではないのだが、ペラペラしゃべる理由もないので、
「…今後どうするのかとかそんな話だな」
無難な答えを返しておく。
「ふ~ん」
それだけじゃないでしょと言いたけだが、俺が話さないと悟ると諦めてくれる。
「それより、皆は何してたんだ?」
「一応ラスちゃんの件を、フィアンマ様に報告してました」
「そうか」
「そうだよ。私もあのこの子が、気になってたからねぇ。それにても、セウン。あんたならどうにかするとは思ってたけど、まさかエリクサーが出るとは思わなかったよ」
「たまたま持ってましたので。あ、良かったから、フィア婆様もどうですか?」
俺はそう言いながら、シエルたちに渡した時同様に、アイテムボックスからエリクサー数本取り出す。
「はぁ… この歳になると大抵の事じゃ驚かないのに、あんたには驚かされてばかりだよ。まぁでも、うちには子どもたちもいるし、有り難く貰うとするよ」
フィア婆様は、そう言って少し呆れながら受け取ってくれた。
純粋に、魔法を使ってみたいという気持ちもある。
それに、このスキルや魔法が使えたなら、私の手で、お父さんとお母さんを殺したあの女も…
「はぁ…」
そんな事を考えるていると、自然とため息が溢れる。
ここがファンタジーで、日本と違って命が軽い世界だって事は分かっている。だけど、前世の記憶を取り戻した状態の私では、それを実行に移せるかどうかは別だ。
それに、敵をとりたい気持ちも確かにあるが、それと同じくらい、両親がそんな事望んでいないだろうと冷静に思っている部分もあったりする。
「はぁ…」
また自然とため息が溢れる。
これ以上考えていても、どうするか選べそうにない為、今後について改めて考えみた。
そして、その中で、決めた事がある。それは、強くなろうって事だ。
両親の敵をとるにしてもとらないにしても、こんな世界だから強くなる事は自分の身を守ることにも繋がるからだ。
その為、何をすればいいか考えてみる。
◆
ラスとの話が終わり、部屋を出るが誰もいなかった為、シエルたちを探し始める。
近くの部屋からシエルたちの声がしたので、扉をノックすると、
「誰だい?」
中から、フィア婆様が返事する。
「俺です。セウンです」
「なんだい、セウンかい。鍵はかかってないから、そのまま入ってきな」
「はい」
俺は、部屋に入り、勧められるまま空いてある椅子に座る。
「ラスちゃんとの話は終わったの、セウン?」
「あぁ、終わったよ」
「何を話してたの?」
転生者について隠していると言い訳ではないのだが、ペラペラしゃべる理由もないので、
「…今後どうするのかとかそんな話だな」
無難な答えを返しておく。
「ふ~ん」
それだけじゃないでしょと言いたけだが、俺が話さないと悟ると諦めてくれる。
「それより、皆は何してたんだ?」
「一応ラスちゃんの件を、フィアンマ様に報告してました」
「そうか」
「そうだよ。私もあのこの子が、気になってたからねぇ。それにても、セウン。あんたならどうにかするとは思ってたけど、まさかエリクサーが出るとは思わなかったよ」
「たまたま持ってましたので。あ、良かったから、フィア婆様もどうですか?」
俺はそう言いながら、シエルたちに渡した時同様に、アイテムボックスからエリクサー数本取り出す。
「はぁ… この歳になると大抵の事じゃ驚かないのに、あんたには驚かされてばかりだよ。まぁでも、うちには子どもたちもいるし、有り難く貰うとするよ」
フィア婆様は、そう言って少し呆れながら受け取ってくれた。
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