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閑話・ラスの過去 16
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「…っ」
目が覚めると、誰かに背負われていた。
その背は、ゴツゴツしていたのでお父さんの背だと思ったので、もう一度目を閉じようとした所で、
ズキンッ
と、首の後ろが痛む。
その痛みで、先程までの状況を思い出す。
バッと顔をあげ、背負ってくれている人を見る。
背負ってくれている人も、起きた私に気づいたようで顔をこちらにむけたので、目が合う。
「起きたかい、ラスちゃん」
私は、首を縦に振りながら、目の前の人の事を思い出そうとし、すぐに、お父さんやドルフさんの知り合いのエルさんだと気づく。
「えっと俺の事は分かるかい?」
それにも、首を縦に振る事で答えながら、辺りを見渡しながら、お父さんとお母さんの姿を探す。
私が、何をしているのか気づいたのか、エルさんは、私の事をドルフさんに頼まれた事、そしてドルフから聞いた両親の事を教えてくれる。
私は、それを聞いてすぐにでも両親の元へと行こうとする為に、エルさんの背から降りようとするのだが、エルさんは降ろしてくれず、
「駄目だ!! どうして3人がラスちゃんを逃がしたのかよく考えてみろ!!」
そう怒鳴られた事で、次第に抵抗を止め、涙が溢れてきた。
◆
強く言い過ぎた感じはあるが、大人しくなってくれた。
俺は、背中で泣くラスちゃんを落とさないように、他の鬼人たちと離れた場所にある鬼人の村へと避難する。
一夜明け、まだ心の整理がつかないようだが、ちゃんと言う事は聞いてくれるので、一安心する。
急いで村へむかって進んでいると、ゴブリンの集団に出くわしてしまう。
避難する村までまだ距離があるので、戦闘は避けたい所たが、ゴブリンはそんなのお構い無しとばかりに襲ってくる。俺はその対処をする為、先に村までむかうように伝え、ラスちゃんや他の女・子どもを逃がす。
◆
エルさんは、私たちに先に村へむかうように言いながら、ゴブリンへむかって行った。
私以外の人たちが走っていく。私はどうすればいいか迷ったが、エルさんから再度行くように言われた為、私も走り出す。
少しして追い付いたのはいいのだが、他の皆は、止まる事なく走るのでそれについて行くが、体力があまりない為か、次第に離されて行く。
それでも懸命に足を動かし追い付こうとするが追い付けず、それどころか木の根もとに足を取られ転んでしまう。起き上がった時には既に誰の姿も見えなくなっており、森の中で1人になってしまった。
「っ… っ…」
息をきらしながら、どうしようか途方にくれていたら、ガサガサっと物音がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作者より(捕捉)
急な事態に備え、すぐに避難や救援出来るように、村を合併するのではなく、分かれて暮らしています。
目が覚めると、誰かに背負われていた。
その背は、ゴツゴツしていたのでお父さんの背だと思ったので、もう一度目を閉じようとした所で、
ズキンッ
と、首の後ろが痛む。
その痛みで、先程までの状況を思い出す。
バッと顔をあげ、背負ってくれている人を見る。
背負ってくれている人も、起きた私に気づいたようで顔をこちらにむけたので、目が合う。
「起きたかい、ラスちゃん」
私は、首を縦に振りながら、目の前の人の事を思い出そうとし、すぐに、お父さんやドルフさんの知り合いのエルさんだと気づく。
「えっと俺の事は分かるかい?」
それにも、首を縦に振る事で答えながら、辺りを見渡しながら、お父さんとお母さんの姿を探す。
私が、何をしているのか気づいたのか、エルさんは、私の事をドルフさんに頼まれた事、そしてドルフから聞いた両親の事を教えてくれる。
私は、それを聞いてすぐにでも両親の元へと行こうとする為に、エルさんの背から降りようとするのだが、エルさんは降ろしてくれず、
「駄目だ!! どうして3人がラスちゃんを逃がしたのかよく考えてみろ!!」
そう怒鳴られた事で、次第に抵抗を止め、涙が溢れてきた。
◆
強く言い過ぎた感じはあるが、大人しくなってくれた。
俺は、背中で泣くラスちゃんを落とさないように、他の鬼人たちと離れた場所にある鬼人の村へと避難する。
一夜明け、まだ心の整理がつかないようだが、ちゃんと言う事は聞いてくれるので、一安心する。
急いで村へむかって進んでいると、ゴブリンの集団に出くわしてしまう。
避難する村までまだ距離があるので、戦闘は避けたい所たが、ゴブリンはそんなのお構い無しとばかりに襲ってくる。俺はその対処をする為、先に村までむかうように伝え、ラスちゃんや他の女・子どもを逃がす。
◆
エルさんは、私たちに先に村へむかうように言いながら、ゴブリンへむかって行った。
私以外の人たちが走っていく。私はどうすればいいか迷ったが、エルさんから再度行くように言われた為、私も走り出す。
少しして追い付いたのはいいのだが、他の皆は、止まる事なく走るのでそれについて行くが、体力があまりない為か、次第に離されて行く。
それでも懸命に足を動かし追い付こうとするが追い付けず、それどころか木の根もとに足を取られ転んでしまう。起き上がった時には既に誰の姿も見えなくなっており、森の中で1人になってしまった。
「っ… っ…」
息をきらしながら、どうしようか途方にくれていたら、ガサガサっと物音がした。
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作者より(捕捉)
急な事態に備え、すぐに避難や救援出来るように、村を合併するのではなく、分かれて暮らしています。
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