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特別閑話・餅つき

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 俺は、洗い終わった臼の水を軽く拭き取ってから、臼の中へ先程出来上がった糯米を臼の中へ入れる。

「それじゃあ、シェーン。これを持ってくれるか?」

 俺は、シェーンに、きねを渡す。

「分かりました。ですが、これはどうやって使うんですか?」

「今、説明するから、ちょっと待ってな。その前に、なぁマオ、これに水入れてくれるか?」

「分かったのじゃ」

 新しく取り出した容器に水を出して貰い、杵の使い方を説明する。

「こんな感じだな。出来そうか?」

「やってみます!!」

 シェーンは、ゆっくりと糯米を杵でつく。

「シェーン、もう少し強くついていいぞ」

「は… はい!!」

 シェーンは、言われた通りついてくれる。
 しばらくついていると、

「結構力入りますね、これ」

「そうだな。マオもやってみるか?」

「そうじゃの、やってみるのじゃ」

 シェーンから、マオに交代するが、餅つきは、以外に力を使うので、マオは、すぐにダウンした。
 2人に休んで貰い、俺が餅をついていると、

「3人で、何やってるの?」

 子供たちを引き連れた、シエルがやって来た。

「餅つきだよ」

「餅つき?」

「あぁ、ここ(臼)に入ってある糯米ってやつをこれ(杵)で、ついて、餅を作ってるんだよ。シエルたちもやってみるか?」

「やる!!」

「「僕も!!」」 「「「私も!!」」」

 シエルだけでなく、子供たちも、かなりやる気満々のようだ。
 俺は、杵役をシエルと交代し、餅をひっくり返す方をやる。
 その後も、シエルから子供たちに交代し、ワイワイしながら餅つきをしていく。最終的には、フィア婆様も参加した。

「もう、大丈夫ですよ、フィア婆様」

 最後に、杵をついていたフィア婆様に声をかける。

「ん、そうかい。それにしても、結構いい運動になったねぇ。それで、それは、もう食べれるのかい?」

「まぁ、食べれなくはないですが、用意している雑煮と一緒に食べるといいと思いますよ」

「そうかい。なら、片付けはこっちでやっておくから、お願いしてもいいかい?」

「はい、大丈夫です」

 片付けを、フィア婆様たちが引き受けてくれたので、俺は、シェーンを連れて、雑煮に作りへと戻った。
 キッチンへ戻ると、作っていた雑煮を温めなおしながら、つきたての餅を、シェーンと一口大にちぎってから、雑煮の中へと入れていき、完成させる。
 その後は、片付けの終えたフィア婆様たちに餅を喉につまらせないように注意し、雑煮を食べだした。
 密かに、誰かが喉をつまらせないか心配だったが、無事そんな事はなく食べ終えたので、ひと安心した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー作者より(捕捉)

 今回セウンが作った杵は、竪杵たてぎねと呼ばれる物です。

竪杵 ・・・ 中央部で握ることができるようなくびれをもつ杵
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