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閑話・マレン(過去編) 11

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『謝ることじゃないよ。ほら、掴まるくらいなら出来るでしょ』

 金蜘蛛さんは、そう言ってから、私を持ち上げて、体の上に乗せてくれる。

「すみ… あ、いえ、ありがとうございます」

『それでいいんだよ。それじゃあ、行くよ』

「は… はい!!」

 私は、落ちないように、どこかに掴まろうかと思ったが、掴まる所がなかった。だから、そっと金蜘蛛さんに、しがみついておこうかと思ったが、歩き出した金蜘蛛さんの上では、揺れなどは全然なかった。
 金蜘蛛さんは、そのまま洞窟を出てていく。
 外に出ると、既に日は暮れており、辺りは真っ暗だった。その暗い森の中を、金蜘蛛さんは止まる事なく進んでいくき、とある場所で、立ち止まる。

『ここだよ』

 そこには、金蜘蛛さんが言ってた通り、果物がなってある木があった。
 私は、金蜘蛛さんに助けられながら、地面へと降りる。

「ありがとうございます」

『いいよ。それより、食べようか』

「はい」

 私は、近くの果物に手を伸ばし、何とかもぎ取り、その果実を口に運ぶ。

「美味しい…」

 口の中にいっぱいに、甘い味が広がる。

『それは、良かったよ。それじゃあ、私も食べようかね。その前に、よっと…』

 金蜘蛛さんがそう言うと、巨体の体が縮んでいき、人の形を成していく。
 そして、最後には、私よりも小柄な少女の姿になった。髪の色は、金色、瞳は、赤く、金蜘蛛さんの面影があり、木々の間から漏れる月の光と相まってとても神秘的に見える。

「き… 金蜘蛛さんですよね?」

「ん? そうだよ」

 目の前の少女は、頭を縦に降る。

「そのお姿は?」

「あぁ、これは、人化の術だよ」

 ジンカ… 人化かな。

「金蜘蛛さんは、そんな事も出来るんですね」

「まぁね。この姿だと何かと、便利な事もあるからね」

「便利な事ですか?」

「そうだよ。例えば、この姿の方が、より繊細に、味を感じるのよ。まぁ、でもその分…」

「「「グギャギャ」」」

 どこからともなく、ゴブリンが姿を現した。
 少女金蜘蛛さんは、私の前に出て、

「強さも分からない、雑魚が襲ってくる時があるから、面倒なのよね」

 そう言いながら、腕を振るうと、ゴブリンたちは、バラバラになっていった。

「す… 凄いですね」

 強いだろうとは思っていたが、予想以上に凄かった。

「ありがとう。さて、それじゃあ、私も食べようかね」

 少女金蜘蛛さんも、果物を手にとって食べ始める。
 私も、残っている果物を口に運ぼうとした所で手を止める。

「金蜘蛛さん」

「なに?」

 少女金蜘蛛さんの見た目が神秘的で、一瞬それが普通だと気にしなかったのだが、やっぱりおかしいよねと思い、

「なんで裸なんですか?」

 と聞いてみる。
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