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10話・マレン
しおりを挟む 積まれていた本を全てアイテムボックスに入れたので、マレンさんに声をかける。
「マレンさん。奥の部屋ってどこですか?」
マレンさんは、顔を少しだけあげてくれる。
「あぁ、それならそっちの… ん?」
「どうかしましたか、マレンさん?」
少しだけあげていた顔をゆっくりとあげ、俺の周りをキョロキョロと見渡しながら、
「あれ? 本はどこいったの?」
そう聞いてくる。
やっべ、言うの忘れてた。
「すみません、言ってなかったですね。俺、アイテムボックス持ってるんで、本はそっちに入れてます。まずかったですか?」
俺がそう言うと、少し目を見開くが、すぐ元に戻り、
「ううん、それは大丈夫…」
「なら、良かったです。それで、奥の部屋ってどこですか?」
「あそこ…」
指差された場所を見てみると、扉があった。
「なら、運びますね」
「うん、お願い…」
奥の部屋に入ると、そこにも数多くの本が置かれていた。
「なるほど、本の整理ね…」
俺は、袖を捲り気合いを入れ、まずここにある本もアイテムボックスに入れていく。全て入れ終えると今度は、1冊ずつ取り出して、空いたスペースに置いて、本の整理(タイトルを見て、大まかなジャンル順に揃える)を始めていった。
◆
「終わった…」
本の整理が終えたので、体を伸ばす。
「ダンジョンに行った時よりも疲れた気がする…」
俺は、そっと睡眠を使った。
その後、マレンさんがいる場所へと戻ると、マレンさんは、寝ていた。
「さて、どうしたもんか…」
起こしてもいいのだが、ここまで気持ち良さそうに寝ている横顔を見せられたら、起こすのにも罪悪感がわいてくる。
そんな葛藤をしていると、
「んん… あぁ、セウン君、おはよう…」
「あ、おはようございます」
自然と目を覚ましてくれた。
「マレンさん、本の整理が終わりました」
俺がそう言うと、マレンさんは、なぜか目を閉じる。少しして目を開け、
「適当に、置いといてくれて良かったのに… きれいに整理してくれてありがとう、セウン君」
まるで、俺がやっていた事を見ていたかのように言ってくる。
疑問に思いながらも、
「…どういたしまして?」
そう返す。
「ふふ… 不思議そうな顔してるね、セウン君… やっぱり気になる?」
「そうですね… 何でか聞いていいですか?」
「ん~… 簡単に言うと、私のスキルの能力だね…」
「スキルの能力ですか?」
「そうだよ…」
どんなスキルの能力かまでは想像できないが、
「やっぱり凄いんですね、マレンさん」
俺がそう言うと、ばっと両手で顔を覆いながら、
「そ… それほどでも…」
そう答えるが、隠せていない場所が赤くなっている事には、触れないでおいた。
「マレンさん。奥の部屋ってどこですか?」
マレンさんは、顔を少しだけあげてくれる。
「あぁ、それならそっちの… ん?」
「どうかしましたか、マレンさん?」
少しだけあげていた顔をゆっくりとあげ、俺の周りをキョロキョロと見渡しながら、
「あれ? 本はどこいったの?」
そう聞いてくる。
やっべ、言うの忘れてた。
「すみません、言ってなかったですね。俺、アイテムボックス持ってるんで、本はそっちに入れてます。まずかったですか?」
俺がそう言うと、少し目を見開くが、すぐ元に戻り、
「ううん、それは大丈夫…」
「なら、良かったです。それで、奥の部屋ってどこですか?」
「あそこ…」
指差された場所を見てみると、扉があった。
「なら、運びますね」
「うん、お願い…」
奥の部屋に入ると、そこにも数多くの本が置かれていた。
「なるほど、本の整理ね…」
俺は、袖を捲り気合いを入れ、まずここにある本もアイテムボックスに入れていく。全て入れ終えると今度は、1冊ずつ取り出して、空いたスペースに置いて、本の整理(タイトルを見て、大まかなジャンル順に揃える)を始めていった。
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「終わった…」
本の整理が終えたので、体を伸ばす。
「ダンジョンに行った時よりも疲れた気がする…」
俺は、そっと睡眠を使った。
その後、マレンさんがいる場所へと戻ると、マレンさんは、寝ていた。
「さて、どうしたもんか…」
起こしてもいいのだが、ここまで気持ち良さそうに寝ている横顔を見せられたら、起こすのにも罪悪感がわいてくる。
そんな葛藤をしていると、
「んん… あぁ、セウン君、おはよう…」
「あ、おはようございます」
自然と目を覚ましてくれた。
「マレンさん、本の整理が終わりました」
俺がそう言うと、マレンさんは、なぜか目を閉じる。少しして目を開け、
「適当に、置いといてくれて良かったのに… きれいに整理してくれてありがとう、セウン君」
まるで、俺がやっていた事を見ていたかのように言ってくる。
疑問に思いながらも、
「…どういたしまして?」
そう返す。
「ふふ… 不思議そうな顔してるね、セウン君… やっぱり気になる?」
「そうですね… 何でか聞いていいですか?」
「ん~… 簡単に言うと、私のスキルの能力だね…」
「スキルの能力ですか?」
「そうだよ…」
どんなスキルの能力かまでは想像できないが、
「やっぱり凄いんですね、マレンさん」
俺がそう言うと、ばっと両手で顔を覆いながら、
「そ… それほどでも…」
そう答えるが、隠せていない場所が赤くなっている事には、触れないでおいた。
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