スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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52話・想定外の出来事

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「そこまで!! 勝者・セウン!!」

 審判役のスタッフさんの宣言で、模擬戦は終了する。
 終了の合図と共に、刀を鞘に戻す。

「セウンさん、カヴァリエ怪我はないですか!!」

 そう言いながら、シェーンが駆け寄ってくる。

「俺は、大丈夫だ」

「シェーン様。私も、大丈夫です」

「良かった…」

 それを聞いて安心したのか、安堵あんどの表情を浮かべる。
 俺は、後顧こうこうれいを断つ為に、カヴァリエに俺の実力が証明出来たのか尋ねようとした際、後ろ側から、先ほどまでなかった気配を感じ、咄嗟に真横にいたシェーンを出来る限り優しく、カヴァリエの方へ投げ、カヴァリエたちの前に出る。
 前に出た瞬間、目の前には、真っ赤な何かが襲いかかってきた。それを両腕をクロスにさせ、受け止める。痛くはないのだが、受け止めた部分がジワジワ熱くなってきたので、襲いかかってきた者を蹴り飛ばし、距離を稼ぐ。距離が出来た事によって、蹴った物の正体を視認する。
 そこには、カヴァリエが召喚したと思われる3メートル程の四足獣が、地面をのたうち回っていた。

「サラマンダーだったか?」

 俺は、一応サラマンダーを警戒しながら、後ろでシェーンを受け止めていたカヴァリエに問いただす。

「カヴァリエ、どういう事だ?」

 問いただす際、今回は、威圧を込めるのも忘れずに行う。

「せ… セウン殿、すまない。サラマンダーの制御を誤ってしまい、軽い暴走状態になっているみたいだ」

 暴走状態ねぇ… サラマンダーは、体を起こし、俺を敵とでも認識したのか、以外にもつぶらな瞳で俺を睨んでいる。

「どうして、暴走なんてしてるんだ?」

 サラマンダーが、すぐに襲いかかってこないので、暴走の理由を尋ねる。

「そ… それは…」

 カヴァリエの視線が一瞬、手に残っている折れた剣を見つつ、

「私が未熟なせいだ…」

 そう答える。

「そ… そうか」

 カヴァリエの言った通り、カヴァリエ自身が未熟なのもあるのかも知れないが、それだけでなく半分程俺が原因かという結論に至る。

「あれがあんたの召喚獣なら、送り返したりは出来ないのか?」

 近くに来ていたスタッフさんが、サラマンダーを見ながら、自前の剣を抜いた状態で、カヴァリエにそう尋ねる。因みに、周りで観戦していた冒険者は、スタッフさんの指示なのか、訓練場から逃げ出しており、他の神殿騎士たちは、カヴァリエの後ろに控えている。まぁ、1名は、未だに気絶しているようだけどな。

「すまない。暴走状態のせいか、一時的に私との繋がりも途切れており、送喚出来ない…」

 カヴァリエが、そう返すと同時に、サラマンダーが動き出した。
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