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4話・大きな影の正体

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 村長さんから、情報も聞いたので、馬車を預かって貰い、早速近くの森にむかった。
 森に着くと、

「マオ、いつものお願い?」

「分かったのじゃ… サーチ」

 サーチ? 響きからして、探索魔法か?
 とりあえず、黙ったまま見守っていると、

「たぶん、こやつじゃな…」

 どうやら何か、分かったようだ。

「じゃが…」

 ぐるりと首をまわし、視線が俺の方をむく。

「どうかしたの、マオ?」

「それがの… それらしき、モンスターはギリギリ範囲内で見つかったのじゃが…」

 てくてくと、俺に近づいてきて、ペタペタと俺に触る。

「マオ、急にどうした? くすぐったいんだが?」

「す… すまぬのじゃ!!」

 バッと離れる。

「それで、どうしたんだ?」

「セウンが、儂の探索魔法に反応しなかったのじゃ… だから、気になっての…」

「なるほど…」

 俺が、探索魔法に反応しない?

「あぁ、それはたぶん俺の能力のせいかな?」

「そうなのかの… 何気に、とんでもない能力じゃの…」

「そうだな…」

 今更ながら、俺もそう思うよ。

「それで、マオ。目的のモンスターはどの辺にいるの?」

「そうじゃた… ここから、2キロメートル先の森の中に複数の気配と大きな魔力反応があったのじゃ。たぶん、この大きな魔力が目的のモンスターじゃと思うのじゃ!!」

「2キロ先ね… セウンは、初めに決めた通り一番後ろを任せてもいい?」

「了解。それで、戦闘への介入は、俺の判断で良いんだったよな?」

「えぇ、それで大丈夫よ。マオは、私の後ろで、常時探索魔法をお願い。モンスターに、動きがあったらすぐに教えて」

「分かったのじゃ!!」

「シェーンは、その後ろで、回復と緊急時の指示をお願い」

「任せて!!」

 いいパーティーだな…
 今回の俺の役割は、

「それじゃあ、皆行くわよ!!」

「了解じゃ!!」「はい!!」「おう!!」

 シエルを先頭に、森へ入っていく。





「前から、モンスター5体来るのじゃ!!」

 マオが、そう告げてから少しして、ゴブリンがやって来た。

「マオ、足止め!! シェーン、両端の2体!!」

「了解じゃ!!」 「はい!!」

「アースバインド!!」

 以前俺に使った、魔法で5体のゴブリンが、動きを封じられる。そのゴブリンめがけて、シエルが距離をつめる際に、

「ホーリーアロー!!」

「「グギャ!!」」

 シェーンの魔法が、ゴブリンを倒す。
 それに少し遅れて、シエルも3体のゴブリンの心臓部を突き刺し、倒す。俺が何かをする暇もない位に、連携がとれた、本当にいいパーティーだ。
 剥ぎ取り… ゴブリンの場合は魔石の回収だが、俺がやった。3人とも遠慮したけど、俺何もしてないしね。
 回収後は、マオに焼却して貰い、先へ進む。
 しばらく進んだ後、草木の影から、目的のモンスターを確認する。

「マオあれって…」

「ロックリザードに、アースドラゴンじゃな…」

 目の前には、体長6メートル程のドラゴンと2メートル程のトカゲのようなモンスターが複数匹いた。
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