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46話・思い出
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俺の気配感知内に、それらしき気配は失くなっていた。
「逃げられたか…」
たぶん、転移系の魔法道具か何かだろう。
諦めて森の外へ足をむけようとした際、足下に何かが落ちているのを発見する。
それを手に取ってみると、
「モノクル? あいつが落とした奴か?」
一応、モノクルをアイテムボックスにいれた後、森を出てからにシエルたちを探す。
シエルたちらしき反応は、すぐに見つかった。思っていたより、近くだった。
俺が、馬車に近寄ると御者席にいたシェーンが俺に気づいた。
「セウンさん!!」
シェーンの声に、周りの警戒をしてくれていた2人も俺に気づく。
馬車に着くと、すぐに何事も無かったか確認するが、特に何事もなかったようだ。だけど、まだカリーナさんは目を覚ましていないようだった。
日も傾きかけており、3人の了承を得てから、俺たちは村へと戻った。村に着く頃には、カリーナさんも目を覚ましていた。
孤児院では、流石に全員休む事が出来ないので、シエルたち3人は、村の宿屋に泊まる事になった。
俺は、カリーナさんにユーベルの事を話さないといけないので、孤児院に泊まる。子供たちが寝静まった後、俺はカリーナさんに、話を切り出した。
「…がありました」
「…そう。セウンには、辛い思いをさせたね…」
「・・・」
俺は、何も言えなかった。
「セウンも、疲れただろう… 今日は、ゆっくりお休み…」
「はい…」
俺は、リビングを後にして、空いてあった部屋で休む。それほど疲れている訳ではないのに、すぐに寝入ってしまった。
◆
「なぁ、セウン。お前、大きくなったら何になりたいんだ?」
「突然そんなこと聞いてどうしたんだい、ユーベル?」
「明日から剣術の稽古が始まるだろ?」
「そうだね。ユーベルなら、きっとすぐ上達するよ!!」
「ふん、当たり前だろ。セウン、俺にやられても泣くんじゃないぞ!!」
「な… 泣かないよ!!」
「それで、俺たちは大きくなったらここを出ていかないといけなくなるだろ? だからセウンは、大きくなったら何になりたいんだ?」
「…僕は、冒険者になってみたいかな?」
「セウンが、冒険者かよ。まぁ、それもいいかもな… 俺もなってみようかな冒険者…」
「きっとユーベルなら、良い冒険者になるよ!!」
「なんだよ、良い冒険者って…」
「だって、カリーナさんも言ってたよ。悪い冒険者もいるって!!」
「確かに言ってたな、そんな事…」
「でしょ?」
「なぁ、セウン。もし、俺が悪い冒険者になりそうになったら、殴ってても止めてくれよ」
「ユーベルなら、大丈夫だと思うけど、その時は任せてよ!!」
「まぁでも、俺がセウンに易々殴られるとは思わないけどな!!」
「なんだよ、それ。」
僕たちは、顔を合わせて笑った。
「そうだ。ユーベルは、大人になったらやりたい事とかないの?」
「やりたい事? そうだな、皆でお酒でも、飲んだら楽しそうだな!!」
「それは、いいね!!」
僕たちは、その後も少し遅くまで話した。
◆
目が覚めるが、窓から見える外は、まだ真っ暗だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作者より
何気に、ユーベルがセウンの名前を呼んだのは、初だったりします。
「逃げられたか…」
たぶん、転移系の魔法道具か何かだろう。
諦めて森の外へ足をむけようとした際、足下に何かが落ちているのを発見する。
それを手に取ってみると、
「モノクル? あいつが落とした奴か?」
一応、モノクルをアイテムボックスにいれた後、森を出てからにシエルたちを探す。
シエルたちらしき反応は、すぐに見つかった。思っていたより、近くだった。
俺が、馬車に近寄ると御者席にいたシェーンが俺に気づいた。
「セウンさん!!」
シェーンの声に、周りの警戒をしてくれていた2人も俺に気づく。
馬車に着くと、すぐに何事も無かったか確認するが、特に何事もなかったようだ。だけど、まだカリーナさんは目を覚ましていないようだった。
日も傾きかけており、3人の了承を得てから、俺たちは村へと戻った。村に着く頃には、カリーナさんも目を覚ましていた。
孤児院では、流石に全員休む事が出来ないので、シエルたち3人は、村の宿屋に泊まる事になった。
俺は、カリーナさんにユーベルの事を話さないといけないので、孤児院に泊まる。子供たちが寝静まった後、俺はカリーナさんに、話を切り出した。
「…がありました」
「…そう。セウンには、辛い思いをさせたね…」
「・・・」
俺は、何も言えなかった。
「セウンも、疲れただろう… 今日は、ゆっくりお休み…」
「はい…」
俺は、リビングを後にして、空いてあった部屋で休む。それほど疲れている訳ではないのに、すぐに寝入ってしまった。
◆
「なぁ、セウン。お前、大きくなったら何になりたいんだ?」
「突然そんなこと聞いてどうしたんだい、ユーベル?」
「明日から剣術の稽古が始まるだろ?」
「そうだね。ユーベルなら、きっとすぐ上達するよ!!」
「ふん、当たり前だろ。セウン、俺にやられても泣くんじゃないぞ!!」
「な… 泣かないよ!!」
「それで、俺たちは大きくなったらここを出ていかないといけなくなるだろ? だからセウンは、大きくなったら何になりたいんだ?」
「…僕は、冒険者になってみたいかな?」
「セウンが、冒険者かよ。まぁ、それもいいかもな… 俺もなってみようかな冒険者…」
「きっとユーベルなら、良い冒険者になるよ!!」
「なんだよ、良い冒険者って…」
「だって、カリーナさんも言ってたよ。悪い冒険者もいるって!!」
「確かに言ってたな、そんな事…」
「でしょ?」
「なぁ、セウン。もし、俺が悪い冒険者になりそうになったら、殴ってても止めてくれよ」
「ユーベルなら、大丈夫だと思うけど、その時は任せてよ!!」
「まぁでも、俺がセウンに易々殴られるとは思わないけどな!!」
「なんだよ、それ。」
僕たちは、顔を合わせて笑った。
「そうだ。ユーベルは、大人になったらやりたい事とかないの?」
「やりたい事? そうだな、皆でお酒でも、飲んだら楽しそうだな!!」
「それは、いいね!!」
僕たちは、その後も少し遅くまで話した。
◆
目が覚めるが、窓から見える外は、まだ真っ暗だった。
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作者より
何気に、ユーベルがセウンの名前を呼んだのは、初だったりします。
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