上 下
52 / 453

42話・戦闘開始

しおりを挟む
 カリーナさんは前のめりに倒れこみ、その後ろには、真っ赤な風貌の人物が立っていた。

眠れる力ソーン・能力向上」

 俺は、あいつを敵と判断しつつ、周りの被害も考慮して、3倍に止め赤い奴を蹴り飛ばす。確かな手応えを感じた。
 だけど、飛ばされた赤い奴がどうなったのかを確認するのも惜しみ、アイテムボックスからエリクサーを取り出す。

「カリーナさん、急いでこれを飲んで下さい!!」

「せ… セウン…」

 ゴクッゴクッ
 カリーナさんの体が光だし、傷が塞がっていく。
 だけど、血を流しすぎたのかそのまま意識を失ってしまう。

「ゴロス… ゴロス…」

 声がした方を見てみると、赤い奴が立ち上がろうとしていた。確かに、骨は折ったと思ったんだがな…
 俺は、カリーナさんを抱えたまま馬車まで戻る。馬車からは、シエルとマオが降りてきていた。子供たちは、大人しく馬車の中にいるようだ。賢い子らだ。

「この人を頼む」

 俺は、シエルにカリーナさんを預ける。

「分かったわ。任せて!!」

「セウン、あやつが持っている武器を鑑定してみたのじゃが… あれは増悪の剣という所有者の精神に異常をきたす魔剣じゃ」

「魔剣か…」

 確かに、そう言われれば何だが禍々しく感じるな。

「分かった。ありがとうな、マオ」

「べ… 別にお礼はいいのじゃ。気を付けるんじゃぞ」

「あぁ」

 シエルとマオは馬車に乗り込む。

「シェーンは、急いで離れてくれ」

「…分かりました」

 乗り込んだのを確認して、馬車は出発する。
 赤い奴は、完全に起き上がり叫びながら突っ込んでくる。

「ゴロスゴロズコロスゴロズ!!」

 とりあえず、そのまま斬ろうかと思ったが、

「!?」

 俺は、振り下ろされた魔剣をバックステップで躱す。

「お前、ユーベルか… それに、お前それは血だな…」

「コロスゴロズゴロス!!」
 
 精神に異常をきたすか…

眠れる力ソーン・能力向上、武具覚醒… 切れ味強化」

 腕でも、斬り落としてみるか…
 5倍までステータスを上げて、後ろへ回り込み、腕を斬り落とす。

「グルァァァァァァ!!」

 切れ味強化をしたおかげもあってか、すんなり腕は斬り落とせた。だけど、

「!?」

 魔剣から、黒い何かが伸びてきて切り口に繋がった。





 私は、今死の気配が漂う洞窟に来ていた。
 洞窟内には、素材がたくさん落ちていた。

「全て、心臓をひと刺しですか… いい腕の持ち主もいた者ですねぇ… そういえば、魔剣を譲った人はどうしてますかねぇ…」

 私は、素材を仕舞い込んだ後、洞窟の外に出て、マジックバックから望遠の水晶を取り出し、水晶を覗いてみる。

「ほう、今から戦闘を初めようとしてますねぇ…」

 私は、鑑定のモノクルで相手を見てみる。

「…鑑定結果が見えませんねぇ」

 壊れている訳ではないと思うので、鑑定対策の道具でも持っているのでしょうか。
 ですが、今の腕を斬り落とした動きを見た感じ、ただ者ではないですねぇ…

「!? ほう、思った通りあの人は、魔剣へのシンクロ率が高かったようですねぇ…」

 水晶内では、斬り落とされた腕の代わりに、魔剣から新たな腕が伸びてきて結合していた。
しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~

黒色の猫
ファンタジー
 両親に先立たれた、ノーリは、冒険者になった。 冒険者ギルドで、スキルの中でも特に珍しいユニークスキル持ちでがあることが判明された。 最初は、ユニークスキル『宝箱作製』に期待していた周りの人たちも、使い方のわからない、その能力をみて次第に、ノーリを空箱とバカにするようになっていた。 それでも、ノーリは諦めず冒険者を続けるのだった… そんなノーリにひょんな事から宝箱作製の真の能力が判明して、ノーリの冒険者生活が変わっていくのだった。 小説家になろう様でも投稿しています。

器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。 人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】 前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。 そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。 そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。 様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。 村を出て冒険者となったその先は…。 ※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。 よろしくお願いいたします。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我
ファンタジー
 日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。  仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。  そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。  そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。  忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。  生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。  ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。 この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。 冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。 なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

処理中です...