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閑話・とある冒険者

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 私たちは、とあるクエストを受け、目的地に行く間に寄った村で、人拐いが行われた事を知った。

「助けに行くわ!!」

 私たちのパーティーリーダーであるシエルさんがそう宣言する。

「ねぇ、シエルさん。助けに行くと言うけど、拐われた人が、何処に連れていかれたのか分かるの?」

「それは、分からないけど… シェーンは、助けに行くのに、反対なの?」

「そういう訳じゃないわ。私も、助けたいとは思うけど、場所が分からないと、どうしようも出来ないわ」

「それは、そうだけど… ねぇ、マオ?」

「何かのぉ?」

「何か、いい案とかない?」

「そうじゃのぉ… 私たちも、村娘に化けてから、その人拐いに、拐われてから案内させると言うのは、どうじゃ?」

「!? それよ!! さすがマオ!! これなら、場所も分かって、拐われた人も助けられる!!」

「はぁ… 分かったわ」

 確かに、いい案かもしれないけど、本当に拐われるかは、別問題だと思うのだけど…
 案を出した、マオさんを見てみると、そっと目をそらされた。どうやら、マオさんも、思いついた案を、そのまま言っただけみたい…
 私たちは、装備をマオさんのアイテムボックスに入れてから、ローブを身に纏い森の中を探索する。





 少し、森の中を探索していると、馬車が私たちの横を通りすぎたかと思うと、少し進んだ所で止まった。

「そこの者、止まれ!!」

 御者をしていた、男から呼び止められる。

「何でしょうか?」

「お前たちは、近くの村の者か?」

「…はい。そうですが、どうかしましたか?」

「いや、お前たちみたいな娘を見かけた事がなかったからな…」

「最近、移り住んだからでは、ありませんか?」

「そうか…」

 そう言って御者の男が降りて、剣を構えてきた。

「動くな!! 動いたら、俺の剣が何処を切り裂くか分からないぞ!!」

「もしかして、最近人拐いをしているのは貴方たちですか?」

「ほう… 少しは、賢いようだな。その通りだ。だから、下手な抵抗をするのは、おすすめしないぞ」

 男は、口を歪ませる。
 後ろを見てみると、もう1人男が後ろに、回り込んでいた。
 …本当に、人拐いと遭遇するとは思わなかった。後ろの2人… シエルさんは、勢い込んだ顔を、マオさんは、驚いた顔をしていた。
 私たちは、そのまま手錠をされ、馬車に入れられ、出発した。中には、小さな子供が2人身を寄せあって乗っていた。

「こんな、子供まで!! マオ、手錠を!!」

「シエル。手錠は、外すけど少し、落ち着くのじゃ!!」

「む… 分かった…」

 シエルさんが落ち着いたのを確認したマオさんは、

「それじゃあ、手錠を外すのじゃ… アンロック」

 無詠唱で、魔法を使うと、私たちの手錠だけでなく、子供たちの手錠も一緒に外れる。
 子供たちも、驚いたのか、私たちに話しかけてくる。

「お… お姉ちゃんたちは、誰なの?」

「私たちは、冒険者ですよ。貴方たちは?」

「ぼ… 僕は、フロン。こっちは、妹のリアです」

「フロン君とリアちゃんね。貴方たちは、どうしてここにいるの?」

 2人に、話を聞くと、どうやら2人も拐われたようだった。話を聞いた、シエルを落ち着けるのに、少し苦労した…
 その後は、私たちはマオさんのアイテムボックスに入れていた装備品を装備して、人拐いのアジトにつくのを待つ事にした。
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