スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

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26話・執事

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「少し、宜しいでしょうか?」

 突然、後ろから声をかけられる。
 振り返ると、そこには仕立ての良い執事服のような物を着た、男性がいた。

「あの、どなたでしょうか?」

「これは、すみません。私は、ノール・フォン・ノルデン・ボレアース様の執事をさせて頂いております、ムートンと申します。」

「私は、セウンと言います。」

 ノルデン… 確か、四大公爵家の1つだったよな…

「それで、私に用があるようですが、どうされたんでしょうか? 」

「いえ、盗み聞きをするつもりはなかったのですが、少し話が聞こえてきまして、何でも珍しい物をお持ちのようで?」

 珍しい物? あぁ、エリクサーの事か。

「一応、持ってはいますが、どうかされましたか?」

「いえ、是非それを私目に、売っては頂けないでしょうか?」

 真っ直ぐ俺を見て、そう言ってくる。
 まぁ、悪そうな人には、見えないので、大丈夫だろう。

「分かりました。私は、それで大丈夫ですよ」

「ありがとうございます!!」

 ムートンさんは、深々と頭を下げてくる。
 少しして、頭を上げた後、

「ですが、大変申し訳ないのですが、1度現物を確認させて貰っても、宜しいでしょうか?」

 まぁ、買ったはいいが、偽物を掴まされたら元もこ子もないか…

「構いませんよ」

 俺は、アイテムボックスから取り出し、ムートンさんに手渡す。

「失礼します」

 ムートンさんは、少し見た後、

「ありがとうございます」

 そう言って、返してくれる。
 返して貰った後、アイテムボックスに入れる。

「セウン様、今すぐ、私に着いてきて貰っても宜しいでしょうか?」

 ムートンさんは、そう言ってくる。何だが、少し焦っているような雰囲気だ。だから、

「分かりました。リセさん、素材の売却は、また今度お願いします」

「は… はい。大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」

 そう言ってから、俺はムートンさんに着いていく。
 ギルドの外に出ると、そのまま外にあった馬車へむかう。

「これに、乗って頂いても宜しいでしょうか?」

「分かりました」

 ムートンさんが、開けてくれた扉から馬車へ乗り込む。ムートンさんは御者をするようで、扉を閉めてから、馬車は出発する。





 しばらく、馬車に揺られながら待っていると、馬車が止まり、扉をノックされる。

「セウン様、到着しました」

「分かりました」

 そのまま、馬車を降りて、ムートンさんに着いていき、部屋に案内される。

「セウン様、大変申し訳ないのですが、ここで少しお待ち頂いても宜しいでしょうか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」

 そう言ってから、ムートンさんは、部屋を後にする。少しして、メイドらしき人が、菓子や紅茶を持ってきてくれたので、それを飲みながら、ムートンさんを待つ。





 コンッコンッ

「誰だ?」

「ムートンです」

「入れ」

「失礼します」

 私は、ムートンが入ってきて早々、依頼の達成状況を確認する。

「ムートン、どうだった? 金色の聖騎士ゴールド・パラディンや他の冒険者は、エリクサーを入手出来たのか?」

 ムートンが調べた結果、ここ1年の間にエリクサーを入手した冒険者パーティーや有力そうな冒険者に依頼を発注していた。

「いえ、まだのようです…」

ドシンッ

 私は、机を叩きつけていた。机の上に乗っていた物が、散乱する。

「ですが、旦那様。エリクサーを持った冒険者様を発見致しました。既に、現物の確認も済ませております」

「何!! その冒険者は、今どこにいる!!」

「すでに、客間に、案内しております」

「それを早く言わんか!! すぐ客間にむかうぞ!!」

「分かりました」

 私は、いてもたってもいられなくなり、すぐに客間にむかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作者より(補足)

 皆様、お気づきだとは思いますが、金色の聖騎士ゴールド・パラディンは、ユーベルたちのパーティー名です。
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