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26話・執事
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「少し、宜しいでしょうか?」
突然、後ろから声をかけられる。
振り返ると、そこには仕立ての良い執事服のような物を着た、男性がいた。
「あの、どなたでしょうか?」
「これは、すみません。私は、ノール・フォン・ノルデン・ボレアース様の執事をさせて頂いております、ムートンと申します。」
「私は、セウンと言います。」
ノルデン… 確か、四大公爵家の1つだったよな…
「それで、私に用があるようですが、どうされたんでしょうか? 」
「いえ、盗み聞きをするつもりはなかったのですが、少し話が聞こえてきまして、何でも珍しい物をお持ちのようで?」
珍しい物? あぁ、エリクサーの事か。
「一応、持ってはいますが、どうかされましたか?」
「いえ、是非それを私目に、売っては頂けないでしょうか?」
真っ直ぐ俺を見て、そう言ってくる。
まぁ、悪そうな人には、見えないので、大丈夫だろう。
「分かりました。私は、それで大丈夫ですよ」
「ありがとうございます!!」
ムートンさんは、深々と頭を下げてくる。
少しして、頭を上げた後、
「ですが、大変申し訳ないのですが、1度現物を確認させて貰っても、宜しいでしょうか?」
まぁ、買ったはいいが、偽物を掴まされたら元もこ子もないか…
「構いませんよ」
俺は、アイテムボックスから取り出し、ムートンさんに手渡す。
「失礼します」
ムートンさんは、少し見た後、
「ありがとうございます」
そう言って、返してくれる。
返して貰った後、アイテムボックスに入れる。
「セウン様、今すぐ、私に着いてきて貰っても宜しいでしょうか?」
ムートンさんは、そう言ってくる。何だが、少し焦っているような雰囲気だ。だから、
「分かりました。リセさん、素材の売却は、また今度お願いします」
「は… はい。大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
そう言ってから、俺はムートンさんに着いていく。
ギルドの外に出ると、そのまま外にあった馬車へむかう。
「これに、乗って頂いても宜しいでしょうか?」
「分かりました」
ムートンさんが、開けてくれた扉から馬車へ乗り込む。ムートンさんは御者をするようで、扉を閉めてから、馬車は出発する。
◆
しばらく、馬車に揺られながら待っていると、馬車が止まり、扉をノックされる。
「セウン様、到着しました」
「分かりました」
そのまま、馬車を降りて、ムートンさんに着いていき、部屋に案内される。
「セウン様、大変申し訳ないのですが、ここで少しお待ち頂いても宜しいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
そう言ってから、ムートンさんは、部屋を後にする。少しして、メイドらしき人が、菓子や紅茶を持ってきてくれたので、それを飲みながら、ムートンさんを待つ。
◆
コンッコンッ
「誰だ?」
「ムートンです」
「入れ」
「失礼します」
私は、ムートンが入ってきて早々、依頼の達成状況を確認する。
「ムートン、どうだった? 金色の聖騎士や他の冒険者は、エリクサーを入手出来たのか?」
ムートンが調べた結果、ここ1年の間にエリクサーを入手した冒険者パーティーや有力そうな冒険者に依頼を発注していた。
「いえ、まだのようです…」
ドシンッ
私は、机を叩きつけていた。机の上に乗っていた物が、散乱する。
「ですが、旦那様。エリクサーを持った冒険者様を発見致しました。既に、現物の確認も済ませております」
「何!! その冒険者は、今どこにいる!!」
「すでに、客間に、案内しております」
「それを早く言わんか!! すぐ客間にむかうぞ!!」
「分かりました」
私は、いてもたってもいられなくなり、すぐに客間にむかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作者より(補足)
皆様、お気づきだとは思いますが、金色の聖騎士は、ユーベルたちのパーティー名です。
突然、後ろから声をかけられる。
振り返ると、そこには仕立ての良い執事服のような物を着た、男性がいた。
「あの、どなたでしょうか?」
「これは、すみません。私は、ノール・フォン・ノルデン・ボレアース様の執事をさせて頂いております、ムートンと申します。」
「私は、セウンと言います。」
ノルデン… 確か、四大公爵家の1つだったよな…
「それで、私に用があるようですが、どうされたんでしょうか? 」
「いえ、盗み聞きをするつもりはなかったのですが、少し話が聞こえてきまして、何でも珍しい物をお持ちのようで?」
珍しい物? あぁ、エリクサーの事か。
「一応、持ってはいますが、どうかされましたか?」
「いえ、是非それを私目に、売っては頂けないでしょうか?」
真っ直ぐ俺を見て、そう言ってくる。
まぁ、悪そうな人には、見えないので、大丈夫だろう。
「分かりました。私は、それで大丈夫ですよ」
「ありがとうございます!!」
ムートンさんは、深々と頭を下げてくる。
少しして、頭を上げた後、
「ですが、大変申し訳ないのですが、1度現物を確認させて貰っても、宜しいでしょうか?」
まぁ、買ったはいいが、偽物を掴まされたら元もこ子もないか…
「構いませんよ」
俺は、アイテムボックスから取り出し、ムートンさんに手渡す。
「失礼します」
ムートンさんは、少し見た後、
「ありがとうございます」
そう言って、返してくれる。
返して貰った後、アイテムボックスに入れる。
「セウン様、今すぐ、私に着いてきて貰っても宜しいでしょうか?」
ムートンさんは、そう言ってくる。何だが、少し焦っているような雰囲気だ。だから、
「分かりました。リセさん、素材の売却は、また今度お願いします」
「は… はい。大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
そう言ってから、俺はムートンさんに着いていく。
ギルドの外に出ると、そのまま外にあった馬車へむかう。
「これに、乗って頂いても宜しいでしょうか?」
「分かりました」
ムートンさんが、開けてくれた扉から馬車へ乗り込む。ムートンさんは御者をするようで、扉を閉めてから、馬車は出発する。
◆
しばらく、馬車に揺られながら待っていると、馬車が止まり、扉をノックされる。
「セウン様、到着しました」
「分かりました」
そのまま、馬車を降りて、ムートンさんに着いていき、部屋に案内される。
「セウン様、大変申し訳ないのですが、ここで少しお待ち頂いても宜しいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
そう言ってから、ムートンさんは、部屋を後にする。少しして、メイドらしき人が、菓子や紅茶を持ってきてくれたので、それを飲みながら、ムートンさんを待つ。
◆
コンッコンッ
「誰だ?」
「ムートンです」
「入れ」
「失礼します」
私は、ムートンが入ってきて早々、依頼の達成状況を確認する。
「ムートン、どうだった? 金色の聖騎士や他の冒険者は、エリクサーを入手出来たのか?」
ムートンが調べた結果、ここ1年の間にエリクサーを入手した冒険者パーティーや有力そうな冒険者に依頼を発注していた。
「いえ、まだのようです…」
ドシンッ
私は、机を叩きつけていた。机の上に乗っていた物が、散乱する。
「ですが、旦那様。エリクサーを持った冒険者様を発見致しました。既に、現物の確認も済ませております」
「何!! その冒険者は、今どこにいる!!」
「すでに、客間に、案内しております」
「それを早く言わんか!! すぐ客間にむかうぞ!!」
「分かりました」
私は、いてもたってもいられなくなり、すぐに客間にむかった。
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作者より(補足)
皆様、お気づきだとは思いますが、金色の聖騎士は、ユーベルたちのパーティー名です。
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