スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫

文字の大きさ
上 下
13 / 453

12話・追放 1

しおりを挟む
 ドンドンドン

 勢い良く、扉が叩かれる。
 考える事を止め、扉を開ける。
 そこには、赤みがかった茶髪の白いローブのような物を着ている男がいた。確か、こいつは…

「ベンか… どうかしたのか?」

 こっちでの記憶を思い返しても、あいつらが、1人で俺の所に、訪ねてくる事なんて珍しい事だ。

「どうしたもこうしたもないですよ。昨日の内に、話があるから、迎えに行くと伝えてた筈ですよ?」

 昨日の出来事を思い返してみる。

「あぁ、そういえばそんな話してたな…」

「準備は出来てますね?」

「今起きたばかりだから、少し待っていてくれ」

「チッ… 分かりました。宿の外で待ってるので早く来て下さい」

 そう言うと、早足で走り去っていった。

「あいつ今、普通に舌打ちしやがったよな… って事は、やっぱり、今までの俺の待遇は…」

 考え事をしながらも、手早く準備を済ます。
 お腹も減ってるし、何か食べたい気持ちもあるが、一応人を待たせてあるので、我慢してそのまま外に出ると、少し離れた場所に、ベンは待っていた。

「待たせたな。それで、他の奴らは?」

 他の奴らは、外で待っているのかと思ったが、ベンしかいないので、聞いてみた。

「ユーベルや兄さんは、別の場所にいます。私について来て下さい」

 はぁ… ご飯は、しばらくお預けをくらいそうだ。

「…分かった」

 歩きだす、ベンの後ろについていく。
 しばらく歩くと、ベンは、少し立派な家の前で、立ち止まった。俺の記憶では、こんな家は知らない。
 ベンは、そのまま家の中へ入っていくので、俺もそれに続く。
 中に入って、リビングのような場所に連れて行かれる。そこには、ソファーに座るユーベルとロンそれに見た事のない、全身鎧の男が座っていた。男の後ろには、頑丈そうな盾が立て掛けられていた。ベンは、ロンの横に腰をおろす。俺も座ろうかと思ったが、座る場所がないので、そのまま立っておく事にした。

「やっと来たかよ…」

 ロンがそう呟いたが、お腹の減っている俺は、それを無視して、話を促す。

「それより、話って何だ? 腹減ってるから用があるなら、早く済ませたいんだけど?」

「「「!?」」」

 鎧男以外の3人が少し驚いた顔をしている。
 あれ? 俺なんか変な事言ったか?

「お… お前本当に、セウンだよな?」

 ロンがそう聞いてくる。

「な… 何言ってんだ? 当たり前だろ? それ以外何に見えるんだよ?」

 少し、言葉に詰まりながらも何食わぬ顔でそう返す。

「そ… そうだよな…」

「それより、話は何だ? ないなら、もう帰るぞ?」

 俺がそう言うと、ロンとベンはユーベルを見る。
 ユーベルが、俺に話があるようだ。

「俺たち3人は、既にAランク冒険者に内定してある」

 Aランク冒険者ねぇ… そういえば、俺の今のランクはどのくらいなのだろうか? こいつらと一緒のクエストをしてたし、俺もAランクなのだろうか? ここ数年ギルドカード見てなかったから、後で確認してみるか…

「それがどうかしたのか?」

「お前のLVはいくつだ?」

 こいつ、人の疑問に答える事なく話を進めやがる。
 はぁ… まぁいいか。それで、俺のLVねぇ… えっと確か、

「30くらいだったか?」

 ユーベルが少しにやける。

「そう、30だ。それに比べ俺たちは、既に、60後半だ」

「…そうだな」

 確かに、ユーベルやロンは、そのくらいだった筈だ。しかも、モンスターをあまり倒していないベンですらそのくらいのLVだ。

「そして、そこにいるのが、LV63の盾職のBランク冒険者で、今日から内のパーティーに入ってくれる新しいメンバーだ!!」

 鎧男を見ると、軽く会釈してくるので会釈し返しておく。視線を前に戻すと、ユーベルの顔が先程以上に、ニヤリと歪んでいた。

「だからお前は今日から、クビだ!!」

 ユーベルが、そう高々と俺に言いはなった。
しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

歌うしか能がないと言われてダンジョン置き去りにされた俺、ギフト『歌声魅了』で魔物を弱体化していた!本来の力が目覚め最強へ至る【精霊王の末裔】

綾森れん
ファンタジー
竜人族の村に先祖返りした姿で生まれたジュキエーレは、生まれてすぐに聖女の加護を受けた。しかし彼はなぜか魔法が使えなかった。 それでも冒険者を夢見て剣の修行に励んだのに、授かったギフトは「歌声魅了」。 戦闘には不向きなギフトと思われていたが、実は人も魔物も操れる最強ギフトだった。 そうとは知らないパーティメンバーは、ジュキエーレを魔力無しの役立たずと思い込んで、ダンジョン内に置き去りにする。 足をすべらせて最下層に落ちたジュキエーレを待っていたのは、半身を氷漬けにされたドラゴンだった。遠い先祖であるドラゴンは、聖女が彼にかけた封印を解いてくれ、先祖返りした彼本来の膨大な精霊力が解放された。 なぜ聖女が自分の力を封じたのか知るため、ジュキエーレは旅立つ。そして聖女について調査するため訪れた隣国で、次期聖女になりたくない公爵令嬢と出会い恋に落ちた。最強の力を得たジュキエーレと、聖女の力を持つ公爵令嬢の幸せな旅が幕を開ける。 ※カクヨム様で先行公開しています。 『精霊王の末裔~ギフト【歌声魅了】と先祖の水竜から受け継いだ力で世界を自由に駆け巡る!魔力無しから最強へ至る冒険譚~』 https://kakuyomu.jp/works/16817330649752024100 第8回カクヨムコン参加中ですので、アカウントをお持ちの方は応援お願い致します!! (★がついているサブタイトルは他者sideです) 2023/1/16 HOTランキング1位、ファンタジーランキング1位、ありがとうございます!!

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水
ファンタジー
 クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。  神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。  洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。  彼は喜んだ。  この世界で魔法を扱える事に。  同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。  理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。  その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。  ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。  ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。 「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」  今日も魔法を使います。 ※作者嬉し泣きの情報 3/21 11:00 ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング) 有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。 3/21 HOT男性向けランキングで2位に入れました。 TOP10入り!! 4/7 お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。 応援ありがとうございます。 皆様のおかげです。 これからも上がる様に頑張ります。 ※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz 〜第15回ファンタジー大賞〜 67位でした!! 皆様のおかげですこう言った結果になりました。 5万Ptも貰えたことに感謝します! 改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~

黒色の猫
ファンタジー
 両親に先立たれた、ノーリは、冒険者になった。 冒険者ギルドで、スキルの中でも特に珍しいユニークスキル持ちでがあることが判明された。 最初は、ユニークスキル『宝箱作製』に期待していた周りの人たちも、使い方のわからない、その能力をみて次第に、ノーリを空箱とバカにするようになっていた。 それでも、ノーリは諦めず冒険者を続けるのだった… そんなノーリにひょんな事から宝箱作製の真の能力が判明して、ノーリの冒険者生活が変わっていくのだった。 小説家になろう様でも投稿しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...