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つー
つーのふぁいぶ
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「は、長谷?」
うつむいたまま微動だにしない長谷に声をかけるが、それでも微動だにしない。俺の声が聞こえていないのだろうか?
ノートは長谷の手にあるため帰るわけにもいかず、どうしたらいいのか分からず立ち尽くす。
どのくらい時間が経ったのだろうか。唾を飲み込むのでさえ戸惑わせるような静かな時間が過ぎていく。
ブブブ、ブブブ
静かな空間に携帯のバイブの音が響く。ズボンのポケットに入れていた俺の携帯がメールの知らせをしたため、突然の振動に肩を揺らす。それと同時にはっとした顔の長谷も顔を上げ、目が合う。
すぐに驚きの表情から顔を歪ませる。眉間に皺を寄せているが不機嫌という感情より困惑が当てはまるような表情。
長谷は何をしたいんだ?あ、もしかして立ったまま寝ていたのか?
表情の変化は少しあったが、また沈黙が流れる。
本当どうしたらいいんだ。何をしたら正解なんだ???
頭の中で頭を抱え膝つく。
「す、すまない。機嫌を損ねてしまったなら謝る」
長谷の言葉に無意識に顎に手をやり、眉間に力が入ってしまっていたことに気が付く。
「あ、いや、全然」
いやいやいや、「全然」じゃないだろおおおおお!
なんとかして帰る手段効くところだっただろ…
まあ、とりあえずこっちの機嫌伺うってことは脅しではないだろうな、うん。
…
……
「あの~長谷?」
「あ?」
「…」
「お前、男が好きなのか?」
「違います」
「そうか」
「…」
長谷がなにをしたいのか分からない。本当にどうしよう。どうしたらいいんだ神様。。
内心泣きそうになっている俺にまた長谷が話しかける。
「男が好きじゃないのか?」
「はい」
「女で抜くのか?」
「はい?」
「この漫画は?男に挿れたいわけじゃないのか?」
「はい」
「男とはヤりたくないのか?」
「はい」
「…」
「好きになった人が男だったらそう思うかもしれないね。偏見はないし。その漫画書いてる時点で分かってるとは思うけど」
「ケツに挿れたことあるのか?」
「ないです」
「セックスしたことあるか?」
「ないです」
「好きなやつはいるか?」
「いないです」
「携帯持っているか?」
「はい」
「ライムやっているか?」
「はい」
怒涛の質問攻め。
いくつか「はい」で答える質問が続き…
「ライム交換するか?」
「はい。…あ」
流れで答えてしまい、気づいたときには遅し。長谷は今までの仏頂面はどこに、にやりと口角を上げた。
見事に誘導されましたね、俺。長谷は策士でした。
すぐにスマホを取り出す長谷。棒立ちの俺に早くしろとでも言うように睨みつけ、眼圧に負けスマホを出す。
「俺の呼び出しに絶対来いよ」
震える声で返事をし、長谷は資料室を後にした。
俺はしばらく資料室の中で呆然と立ち尽くしていた。
あ、ノート返してもらえなかった。
うつむいたまま微動だにしない長谷に声をかけるが、それでも微動だにしない。俺の声が聞こえていないのだろうか?
ノートは長谷の手にあるため帰るわけにもいかず、どうしたらいいのか分からず立ち尽くす。
どのくらい時間が経ったのだろうか。唾を飲み込むのでさえ戸惑わせるような静かな時間が過ぎていく。
ブブブ、ブブブ
静かな空間に携帯のバイブの音が響く。ズボンのポケットに入れていた俺の携帯がメールの知らせをしたため、突然の振動に肩を揺らす。それと同時にはっとした顔の長谷も顔を上げ、目が合う。
すぐに驚きの表情から顔を歪ませる。眉間に皺を寄せているが不機嫌という感情より困惑が当てはまるような表情。
長谷は何をしたいんだ?あ、もしかして立ったまま寝ていたのか?
表情の変化は少しあったが、また沈黙が流れる。
本当どうしたらいいんだ。何をしたら正解なんだ???
頭の中で頭を抱え膝つく。
「す、すまない。機嫌を損ねてしまったなら謝る」
長谷の言葉に無意識に顎に手をやり、眉間に力が入ってしまっていたことに気が付く。
「あ、いや、全然」
いやいやいや、「全然」じゃないだろおおおおお!
なんとかして帰る手段効くところだっただろ…
まあ、とりあえずこっちの機嫌伺うってことは脅しではないだろうな、うん。
…
……
「あの~長谷?」
「あ?」
「…」
「お前、男が好きなのか?」
「違います」
「そうか」
「…」
長谷がなにをしたいのか分からない。本当にどうしよう。どうしたらいいんだ神様。。
内心泣きそうになっている俺にまた長谷が話しかける。
「男が好きじゃないのか?」
「はい」
「女で抜くのか?」
「はい?」
「この漫画は?男に挿れたいわけじゃないのか?」
「はい」
「男とはヤりたくないのか?」
「はい」
「…」
「好きになった人が男だったらそう思うかもしれないね。偏見はないし。その漫画書いてる時点で分かってるとは思うけど」
「ケツに挿れたことあるのか?」
「ないです」
「セックスしたことあるか?」
「ないです」
「好きなやつはいるか?」
「いないです」
「携帯持っているか?」
「はい」
「ライムやっているか?」
「はい」
怒涛の質問攻め。
いくつか「はい」で答える質問が続き…
「ライム交換するか?」
「はい。…あ」
流れで答えてしまい、気づいたときには遅し。長谷は今までの仏頂面はどこに、にやりと口角を上げた。
見事に誘導されましたね、俺。長谷は策士でした。
すぐにスマホを取り出す長谷。棒立ちの俺に早くしろとでも言うように睨みつけ、眼圧に負けスマホを出す。
「俺の呼び出しに絶対来いよ」
震える声で返事をし、長谷は資料室を後にした。
俺はしばらく資料室の中で呆然と立ち尽くしていた。
あ、ノート返してもらえなかった。
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