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わん
わんのふぉー
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ノアと本屋に寄った日から1ヶ月経った。
その間も変わらない日常を送っていた。
少し違ったのは、オタコミで販売する漫画を作っていくにあたり中身を詰めていくため授業中は落書きではなく細かいストーリーを考えていた。
あと、なんだか視線を感じることが多くなったような気がした。でも誰かと目が合うことが増えた訳では無いので、自分が少し過敏になってしまっているんだろうということで気にしないようにしていた。
そして今日、ついに来た、オタコミ当日である。
現地で明日華さんと合流し自分たちのブースへ向かう。ノアももしかして来るのではないかと内心びくびくしていたが、部活があるため今日は来れなかったと言う。バスケ部ナイス。
「会うのは夏コミ以来ね。」
「そうですね。今回も誘っていただいてありがとうございます。」
「いいのよ。私は浩介くんの作品が見たいだけなんだからお礼言われるようなことではないわ」
会話でわかる通り、夏コミにも明日華さんと運営側として参戦している。前回参戦したことで自分にファンがいることを知り励みになった。
俺のジャンルはBLでSM要素がある。俺の偏見もあるが、意外に男性ファンもいて少し嬉しかった。ちなみに、明日華さんも同じジャンルだ。いつも2人でアニメやゲームキャラで妄想を語り合っているのだ。
近くの人と挨拶をしたり自分の作品たちを机に並べ準備していると開始時間が近づく。
「涼しくなったとは言え熱中症には気をつけて頑張りましょう!」
明日華さんのかけ声と共にオタコミがスタートした。
スタートとともにお客さんが流れ込んでくる。皆お目当ての位置に向かって猛ダッシュ。俺は去年まであの中にいたなと懐かしんでいるとお客さん第1号が来た。
そこから程よくお客さんが来てくれて、順調に売れていきファンの方ともコミュニケーションがとれた。なぜかこの時だけ人見知りが取れ、笑顔で会話できる自分に徐々に自信がついていく。
お客さんの列が途切れたお昼頃、お昼休憩を取り明日華さんのご好意に甘え少しだけブースを抜け出しコスプレイヤーさん達を見に行く。
ふと背の高い赤髪の男が目に入る。
服装を見る限り私服っぽく、奇抜な髪の色は他にもたくさんいる中で一瞬意識を持っていかれたことに不思議に思ったが、特にそれ以外気に止めることなくブースへ戻った。
午後も程よくお客さんが買いに来てくれて時間はあっという間に16時を回った。
明日華さんの方は売りきったようで俺の方へ駆け寄ってくる。
「あの赤髪の人、さっきからこっちをちらちら見ては通り過ぎるのよね。」
「どこですか?」
「ほらあそこ。今左側の柱のところにいる。」
明日華さんが指を指さずにコソッと言葉で教えてくれる。
その位置に視線を持っていくと赤髪の男が目に入った。
「あ」
「知り合い?」
先程コスプレを見に行った時に目に入った背の高い男だった。つい声が出てしまったが、その程度の認識だ。
「いえ、知らないです。」
「そう?ま、いいわ。」
そう言いながらも顎に手を当てて考えている様子。
その後終了の時間まで明日華さんに手伝ってもらいながら1日を終えた。
もし人生の分岐というものが存在したのならば、"オタコミに参加するかどうか"で大きく二手に分かれていたのが目に見えていたのかもしれない。そう思えるぐらいに俺はしっかりとこの日フラグを立てていた。
その間も変わらない日常を送っていた。
少し違ったのは、オタコミで販売する漫画を作っていくにあたり中身を詰めていくため授業中は落書きではなく細かいストーリーを考えていた。
あと、なんだか視線を感じることが多くなったような気がした。でも誰かと目が合うことが増えた訳では無いので、自分が少し過敏になってしまっているんだろうということで気にしないようにしていた。
そして今日、ついに来た、オタコミ当日である。
現地で明日華さんと合流し自分たちのブースへ向かう。ノアももしかして来るのではないかと内心びくびくしていたが、部活があるため今日は来れなかったと言う。バスケ部ナイス。
「会うのは夏コミ以来ね。」
「そうですね。今回も誘っていただいてありがとうございます。」
「いいのよ。私は浩介くんの作品が見たいだけなんだからお礼言われるようなことではないわ」
会話でわかる通り、夏コミにも明日華さんと運営側として参戦している。前回参戦したことで自分にファンがいることを知り励みになった。
俺のジャンルはBLでSM要素がある。俺の偏見もあるが、意外に男性ファンもいて少し嬉しかった。ちなみに、明日華さんも同じジャンルだ。いつも2人でアニメやゲームキャラで妄想を語り合っているのだ。
近くの人と挨拶をしたり自分の作品たちを机に並べ準備していると開始時間が近づく。
「涼しくなったとは言え熱中症には気をつけて頑張りましょう!」
明日華さんのかけ声と共にオタコミがスタートした。
スタートとともにお客さんが流れ込んでくる。皆お目当ての位置に向かって猛ダッシュ。俺は去年まであの中にいたなと懐かしんでいるとお客さん第1号が来た。
そこから程よくお客さんが来てくれて、順調に売れていきファンの方ともコミュニケーションがとれた。なぜかこの時だけ人見知りが取れ、笑顔で会話できる自分に徐々に自信がついていく。
お客さんの列が途切れたお昼頃、お昼休憩を取り明日華さんのご好意に甘え少しだけブースを抜け出しコスプレイヤーさん達を見に行く。
ふと背の高い赤髪の男が目に入る。
服装を見る限り私服っぽく、奇抜な髪の色は他にもたくさんいる中で一瞬意識を持っていかれたことに不思議に思ったが、特にそれ以外気に止めることなくブースへ戻った。
午後も程よくお客さんが買いに来てくれて時間はあっという間に16時を回った。
明日華さんの方は売りきったようで俺の方へ駆け寄ってくる。
「あの赤髪の人、さっきからこっちをちらちら見ては通り過ぎるのよね。」
「どこですか?」
「ほらあそこ。今左側の柱のところにいる。」
明日華さんが指を指さずにコソッと言葉で教えてくれる。
その位置に視線を持っていくと赤髪の男が目に入った。
「あ」
「知り合い?」
先程コスプレを見に行った時に目に入った背の高い男だった。つい声が出てしまったが、その程度の認識だ。
「いえ、知らないです。」
「そう?ま、いいわ。」
そう言いながらも顎に手を当てて考えている様子。
その後終了の時間まで明日華さんに手伝ってもらいながら1日を終えた。
もし人生の分岐というものが存在したのならば、"オタコミに参加するかどうか"で大きく二手に分かれていたのが目に見えていたのかもしれない。そう思えるぐらいに俺はしっかりとこの日フラグを立てていた。
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