調教テレフォン

栗原菱秀

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Lesson1【よい子の課外授業】

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 数年ぶりに袖を通したスクール水着は、もはや小さくて窮屈な代物だった。その間の体の成長を思えば当然のことなのだけど、鏡に映る自分のちぐはぐな印象にはどうしても違和感を拭えない。肩と股間は苦しいほど食い込み、胸は半分以上はみ出ている。サイズが合わないのは誰が見たって一目瞭然だ。もちろん、誰に見せるつもりもないのだけれど。
 まだ夏には遠い五月の深夜である。それもプールなどない自宅のベランダで、こんな場違いな格好をしていることに、葉月は少しの気恥ずかしさを覚えつつ、一方で体中言いようのない開放感でいっぱいだった。これから起きることへの期待が、葉月の心を浮き立たせていた。
「今日は月が綺麗だよ」というセンセイの言葉に誘われて、今夜のレッスンは外ですることになった。
「嫌かな? 嫌ならやめるけれど」
 躊躇いがちに言うセンセイに、葉月は声を弾ませて言った。
「いいえ、嫌なことなんてないです! 是非やらせてください!」
 いつもなら家族に遠慮して部屋でしているレッスンだが、昨日から家族は父の実家に帰省していて葉月ひとりが家にいた。だから、誰に憚ることもなくレッスンに集中できると、センセイの提案に喜んだ。
 そうして、今夜のレッスンは始まった。
 今日でレッスンが始まって六回目になる。毎週土曜の深夜、スマホを通して行われるセンセイと葉月のマンツーマンレッスンだ。
 葉月は年中出しっぱなしにしてあるデッキチェアに横たわる。月明かりが葉月のなめらかな肌を照らし、闇の中に彼女の姿をくっきりと浮き上がらせる。その凜とした佇まいと美しさを、月は見逃さなかった。まるでこの光は、葉月のためででもあるかのように惜しみなく降り注いでいた。
 センセイの声が耳に響く。
「じゃあ、始めようか。でも、ウォームアップもなくいきなり本番というのも気が乗らないだろうから、まずは軽く、イメージトレーニングから始めようか」
「はい。お願いします」
「それじゃあどうしようかな……。うーん、そうだな、こういうのはどうだろう?」
 センセイの考えた物語はこうだ。
 スイミングスクールに通っている葉月が、心を寄せている男性コーチに特別授業と称してセクハラレッスンを受けるというもの。彼女はコーチの手練手管にしてやられ、性の喜びを味わっていく。
「《彼》は君の体にそっと手を回す。首筋や肩、背中を遠慮がちに触れてくる。そして、徐々に手が体をまとわりつくようになる。指先が背中をすーっと下りていって、君のお尻を……そう、”彼”がやっていると思って体を撫でて」
 センセイの物語るに入り込む。そして、言われたとおりに体に触れる。最初は軽く、しかし確かな手応えでもって手が体を捉えていく。
「《彼》は君が抵抗しないのをいいことに、徐々に本性を顕してくる。お尻を舐めるように撫で回して、君の桃のように愛らしいお尻を掴んで離さない。そのうち、”彼”はその手を上に動かしてくる……そう、胸にいくよ。くるくると胸の周辺をさすっていき、やがて乳首を爪先で引っ掻く」
 言われた通りにやってみる。爪先で乳首に触れた瞬間、軽く腰が跳ねた。いつもとは違う水着越しの感触は、これまでにも増して官能を刺激していくのを感じた。夢中になって乳首を弄る。
「ああっぅ……んん……はぅ……」
 思わず甘い声が漏れ出る。人目を気にして抑えたのだけれど、センセイはそれが面白くないようだった。
「いいかい。外だからって声を我慢しちゃいけないよ。理性の言葉なんて聞いちゃいけない。自分を解放させるんだ。大事なのは自分の心に素直になることだよ」
 その声に背中を押されたように、葉月の声が闇に響く。
「あん……いやっ、ん……」
「そう、その調子。気にせずに善がるんだ。君の声で近所の男たちが勃起してしまうほどにね……そして、”彼”は胸の膨らみに手を伸ばし、荒々しく揉みしだく……」
 センセイの言葉と同時に、葉月ははみ出た胸をぎゅっと掴んだ。葉月の小さな手には余るほどの豊かな胸たが、”彼”の手を想像すると、自然と手に力が入った。見たことのない空想の男だから、知っている男の手をイメージした。頭に浮かんだのは、体育教師の小寺のことだった。一度手を握ったことがあるその手は、大きくて骨張って、そして指が太かった。
 その手に揉まれている。もう逃れられない。そんな風に想像すると、腰がびくびくと揺れた。
「水着の肩紐を下ろしてみて」
 言われた通りに両肩の紐を下ろした。窮屈な水着から解放された嬉しさで、胸はぶるるんっと跳ねた。少し汗ばんだ肌に、春の夜風は心地いい。
「君なら乳首を舐められるんじゃないかな?やってごらん」
 自分で自分のものを?そんなことできる?
 葉月は少し戸惑ったけれど、快感への好奇心の方が勝った。そっと右胸を持ち上げ、顔に近づけてみる。すると、唇に立ち上がった乳首が触れた。もしかして?と思って乳首を口に含む。唇でちゅうちゅう啜ってみると、味わったことのない快感が全身を駆け抜けた。葉月は新しいおもちゃを与えられた幼児のように、己の乳首にむしゃぶりついた。舌でねろねろと転がしたり、甘噛みしたりした。ぬちゅうっ、ぶちゅうっという唾液の立てる音で、センセイも葉月の心を察した。
「ふふふ、そんなに楽しいのかい?君の嬉しそうな様子が見られないのは残念だな。まあ、君が満足するのが一番だけどね。でも胸はもうおしまい。本当のお楽しみはこれからだよ」
 そう言われて、名残惜しそうに口から乳首を離し、次の指示を待つ。
「さあ、”彼”の手が段々下がっていくよ。みぞおちからお腹、そして……そう、君の股間に手が当てられる」
 センセイの言葉に合わせるように股に手を当てる。すると、そこがじんわりと熱くなっているのを感じた。今すぐにでもこの手を動かしたいと思っていると、センセイは葉月の気配を察したようにその衝動を制した。
「まだ、だよ。まだ、手は動かしちゃダメ。まず足を広げて。股間を突き出すように、足を広げるんだ。下品でいやらしい格好になるだろ?そうしたら、股間の布を掴んでぐいぐい食い込ませてごらん。ほら、気持ちいいだろ?もっと食い込ませて左右に揺らして、小陰唇を刺激すればもっといいはずだよ」
 その通りだった。水着の締め付けと食い込みが合わさって、痺れるような快感が全身を満たした。
「はぅっ、あんっ、すごいこれ……ま×こ、おかしくなりそう……クリも刺激されて……あっ、あっ、うっ、うんっ……イク、イキそう……」
 刺激の波に飲み込まれそうになっている時だった。センセイは葉月にこう言った。
「まだイッちゃダメだよ。今日はアレの練習。ほら、アレを用意して」
 言われて葉月はハッと我に返って思い出した。
 アレだ。今日はアレを使うんだった。
 葉月はデッキチェアの下に手を伸ばした。手にしたのはバイブレーター、クリバイブ付きのものだった。一昨日、センセイからの誕生日プレゼントとして贈られたものだった。
「準備できました」
「じゃあ、水着の隙間からま×こに入れてみようか」
 水着をずらして、バイブを中に入れてみる。もう秘所は蜜で溢れかえり、指で解さなくても膣口はぱっくり口を開けて待っていた。膣口に先端を押し当てる。指は何度も出し入れしている場所だが、こんな太いモノは初めてで、本当に入るのだろうかと体が強ばる。だが苦しいと思ったのはほんの一瞬で、後は勢いでするすると飲み込んでいった。
「入った?」
「はい。全部入りました」
「じゃあ動かして、あとは好きなようにやってみて。理性のリミッターを外して、思う存分やってごらん。あ、言ったとおり声は我慢しないでね。僕も君の声を聞きながら、オナってるから」
 スイッチを入れてみると、中でうねうねと動くのが分かった。少しモーター音が気になるが、うるさいというほどではない。最初感じた異物感はやがて消え、縦横無尽に隘路を穿つ感覚だけに意識が向いていった。
 膣内をかき回され、蹂躙されていく。時々快感のツボとでもいうポイントを突かれ、そのたびに理性の糸は切れた。
「ああっん……イイっ! すごく感じちゃう……はぁっん……」
 葉月のあられのない叫び声に、センセイの声が重なる。
「はぁ……はぁ……君のま×こ、どんな感じか言ってみて……」
「ま×こ……バイブでぐちゃぐちゃ、まん汁だらだら垂れちゃって……奥にずんずん来て……はぁ……んん、あん……もう、イッちゃう……」
「ふふふ、君の淫乱ま×こは極太バイブにずぽずぽ犯されてるんだね……はぅ、はぁっ……バイブを、僕のち×ぽだと思って出し入れするんだ……クリバイブも動かしてやってごらん」
 二つあるスイッチのレバーを最大にする。すると、バイブは膣内で暴れ回り、クリバイブは小刻みに震えて動き始めた。二つの快感回路を刺激され、全身に電流が流し込まれたような感覚に襲われた。葉月の意識は完全に、欲望のみに支配されていた。
「あっ、あっ、すごい……さっきと全然違う……うんっ、あぅっ、はんっ……わたし、おかしくなる……こんなの、覚えちゃったら、もうわたし……」
「もうダメ? イキそう? ほら、イケよ。イッちまえよ。イケばもっと自由になれるぜ。良い子の自分なんて理性と一緒に捨てちまおう。ほら、おらっ、イけ、イけ。自分は淫乱だって叫んでイッちゃえ」
 センセイは煽るように言葉をかけてくるが、快感の渦に飲み込まれた葉月には、もうその声すら遠くに感じられた。
「はぁっ、あふっ、あんっ、やっ、やっ……あ、イク、イク、ああもうダメ……わたしのま×こ、もう壊れちゃう……あっ、あっ……あああああcぁっ……!」
 そして、葉月の果てた声が深夜の住宅街に響いた。
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