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??型③

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 ふう、と息をつく。ばたりと後ろに倒れ込むと、柔らかいラグが体を受け止めてくれた。

 進路届の空欄はこれで全て埋まった。教師は「あくまで現段階の希望だから、のちのち変えてもいい」と言っていたし、希望が変わっても大丈夫だろう。俺のように進路について考え始めた生徒も多いだろうし、皆そこまで考えは固まってもいないはずだ。
 参宮くんや、四方田くんはどうしたのだろう。明日、それとなく聞いてみようかな。伍代先輩や、陸奥先輩、それに二階堂くんも進路を考えているはずだ。意見を聞いて参考にしてもいいかもしれない。

 ペンを置く音が隣から聞こえる。ひとまず書き終えたようだ。

 ふと。進路を考えなくてはいけない時期になったのだと、遅れて実感した。天井をぼんやりと見上げながら、口を開く。

「なんか──もう、将来の話なんだな」

「あー。早いよな」

 まだまだ、高校生活は長いと思っていた。入学したときが、昨日のことのように思えてしまうほど。だけど。必然と卒業後のことを考えてしまう。俺は、なにをしているのだろう。

 想像もつかない未来に思いを馳せていれば。視界の端にいた翔が、俺の顔を軽く覗き込んで笑った。

「お前とも長い付き合いだな。ま、ここ最近は高校からのやつらとつるんでるみてーだけど」

 そういえば、翔とはいつからの付き合いになるのだろう。古い記憶を遡る。確か──

「あー……小学……二年からだっけ?」

「そーそー。引っ越してきてからだから」

「元々県外出身だもんな」

 そうだ。五月、桜も散り始めた頃だった。
 翔は県外から引っ越してきたばかりで。飄々としていた彼はクラスにはいない珍しいタイプで。席が近くだったというのもあり──積極性があった当時は、自分から話しかけたのだった。仲良くし始めたのも、それからだ。お互いの家にしょっちゅう遊びに行って、何をするにもふたりだった。

「一番最初に話しかけてくれたの、直也だし。周りと馴染みやすくしてくれたじゃん」

「……そうだっけ?」

「はは、覚えてねーのかよ!」

 翔は吹き出して笑う。

 話しかけたのは俺からだが、一番最初だったかはよく覚えていない。馴染みやすくした、というのも──特段そうは感じない。周りの生徒だって翔のことを気にしていたし、仲良くしたそうな雰囲気を出していたことはぼんやりと覚えている。俺が話しかけずとも、いずれクラスには溶け込めていただろう。
 今だって、しょっちゅうこちらに遊びに来てはいるが──自分のクラスでは中心的な人物になっているようだし。遠い存在のようだ。幼馴染でなければ、きっと接点すら持てなかっただろうと感じるほど。
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