僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めで汰

文字の大きさ
上 下
28 / 50
エンドレス「地下迷宮」編

第28話 マジックマスター

しおりを挟む
「にゃにぃ~!? 金がにゃい~!?」

 故郷に帰ったリュウくんたちと別れた僕らは、パーティーを組むことになったラクに現在の金銭事情を打ち明ける。

「詐欺にょ! 聞いてないにょ!」

 ラクが涙目で訴えるも。

「大丈夫! 稼げばいいから!」
「そうそう! まずはギルド行こっ!」
「ゆ! なにかいい依頼クエストが出てるかもゆ!」

 前向きトリオ僕&ハル&アオちゃんは勢いで誤魔化すのです。(アオちゃん、自分もモンスターなのに依頼クエストに前向きなのは一体どうなんだろうとか一瞬思った)

「そんにゃぁ~……これはとんだパーティーに入っちまったにょ……」

 と嘆きつつもリュウくんたちと交わした約束を破るわけにもいかないラクを引き連れ、僕たちは冒険者ギルドへと到着とうちゃ~く


 ◇◆◇◆冒険者ギルド◇◆◇◆


「あら、カイトくん。ハルちゃんとアオちゃんも」

 声をかけてきたのは職員のメラさん。今日も相変わらずのボンキュッボンな凹凸強調な服装。ハルの視線、もとい殺気を背中に感じた僕はすぐさまプイとメラさんの魅惑ボディーから視線を外す。

「こんにちわ~。どうなりました、魔薬騒動?」

 少しの気まずさを隠しつつ世間話。そんな僕にメラさんは「知りたい?」と怪しげなアンニュイ顔。え、なんかこわっ。

「……え、いや、あんまり……」

「そう……フッ……そっちのほうがいいかもね……」

 え、なに~!? なにがあったの~!?
 知りたいけど知りたくないかんじ!

 なんて思ってると奥から声が。

「おい! 腕だけ悪魔化させろって言っただろ!」
「あ~もう斬っちまうかこれ!?」
「ひぇ~ん! そうやって回復ヒールを無駄に使わせないでくださぁ~い!」
「るせぇ! 他に方法ないだろうが!」
「でりゃ~!(ザクぅ~!)」

 Oh……ダンスキーたち……。
 悪魔は悪魔で色々大変なんだな……。
 がんばれよ……うん……。

 と、思わず同情しつつメラさんに質問。

「今日はこの子が冒険者登録されてないか確認しにきたんですけど」

 シャイに後ろに隠れてたラクをぐいっと前に差し出す。

「にょっ!?」

「あらぁ~、これまた可愛い子ね! 名前は!? 年齢は!? 職業は!? そして……ごくりっ、スキルはぁ~~~~!?」

「にょぇぇ……なんかこの人怖いにょ……!」

 ラクが僕の背後にササッ。

「あはは、メラさんはスキルマニアで、若い子が好きで、ちょっと行き過ぎたところがあって、少し過剰にエッチな格好をしてるだけで、仕事に関しては信頼できる優秀な職員のお姉さん(?)だよ」

「あんまり信用できる要素ないにょ~!」

「カイトくん? お姉さん(?)っていう言い方がちょっと気になったからあなたは今度お姉さん(確信)とじっくり個人授業ね?」

「(ハルが僕の手のひらギリッ!)……っう~! はは、ちょっと忙しいんで僕……あはは……」

 およよ……僕、なんで二人の間でこんなダンスキーたちばりに追い込まれてるの。

「で、メラさん。この子はラク・ブレロ。三年前からエンドレスに来ててダンジョンに潜ってるそうなんです。ご存知ないですか? かなりのステータスの魔法使いなんですよ。なんでも地元では『天才』とか『奇跡』って呼ばれてたとか。あ、リュウくんたちの先輩らしくて。あと、この子たぬき獣人です」

「ラク・ブレロ……? 心当たりないわねぇ。うちの子は全員覚えてるんだけど。獣人なのに完全に人化できるってことはかなりの上位種よね? ちなみにスキルはなんなの?」

 背中で怯えてるラクに優しく声をかける。

「ラク。キミが使えるスキルってなに?」

「スキル? よくわからないにょ。魔法なら六系統すべてを中級まで。あとは透明魔法インビジブル浮遊魔法レビテット蔦魔法アイビィ植物成長促進魔法プラントグロウ錬金魔法アルケミィなんかも一通り使えるにょけど」

「……!」

 メラさんの目がぴき~んと光る。

「スキルは……!?」

「スキルとかよくわかんないにょ。独学で覚えたにょ」

「冒険者登録は……!?」

「してないにょ」

「カイトくん!」

「は……はい」

「この子、借りるわね!」

「え?」

 バッ!

 僕の返事も待たずメラさんは凄まじいスピードでラクを抱きかかえるとスキル部屋に連れて行った。そして数分後──。


「むふふ……」

 キモいとしか言いようのない笑顔を浮かべたメラさんが生まれたての小動物を保護するかのようにラクを抱っこ&なでなでしながら戻ってくる。

「天才……本物の天才はっけぇ~ん……んっふっふっふぅ……」

「え、メラさん?」

「この子のスキルはね……あ~ん、もう我慢できないから言っちゃう! このこのスキルは……『万能魔法マジックマスター』! なんとすべての魔法を習得することができるという正真正銘の 天 っ 才 っ よ! あぁ……カイトくんに続いてこんな天才がエンドレスに埋もれてたなんて……! 今まで気づかなかった私のばかばかばかばかばかばかぁ~!(ぽかぽかぽかぽか~!)」

 急に血が出るまで自分の頭をたたき始めたメラさん。

 え、やだ、なにこわっ。

「だ、だれか回復師の人~!」

 ぴゅ~っとメラさんの頭から噴き出す血を見ながら万能魔法マジックマスターとやらの使い手らしいラクはブルブルと震えていた。

 ラク、怖い思いさせてごめんね。
 今日のお昼はメラさんに奢ってもらおうね?

 心の中でそう話しかけながら、通りがかったロンを目ざとく見つけた僕はすかさず助け舟を求めたのです。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...