僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めで汰

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エンドレス「地下迷宮」編

第25話 ニワトリ頭失踪事件

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 朝、目を覚まして気づいた。

 ない。

 リュウくんから貰ったニワトリの頭が。

 なくしちゃいけないからってかばんの奥に大事にしまってたのに。

 撒き散らかされた鞄の中身を見つめて僕ボーゼン。

 散らばったものをひとつずつ確認しながらカバンにしまい直す。

 うん、やっぱり。

 ニワトリの頭だけがなくなってる。

 え~、うっそ~ん。

 物取り? ニワトリの頭だけを?

 それどんな物取り?

 それともニワトリの頭に勝手に足が生えて歩いていったとか?

 もしくはヘリオンの霊が持っていた?

 え、やだどっちもこわっ。

「うぅ~ん、カイト……?」

 お目々ゴシゴシこすりながら僕のラブリーハニーハルがお目覚め。

 昨日キスした感触が一瞬唇に蘇るも、ニワトリの頭失踪事件がその余韻をかき消す。こんちくしょうニワトリの頭のヤロウこの野郎。

「ゆ~?」

 起き抜けのアオちゃんにご質問。

「アオちゃん、ここって僕ら以外に誰かいる?」

「ゆ~? いないゆ~。いるのは鯉と雀とその餌になる自動湧き虫だけゆ~」

 自動湧き虫も気になるけど、それは一旦横にトンッ(置く音)。

「人はいないんだよね? 魔物とかも」

「いないゆ~。そもそもここの鍵を開けられるのはアオだけゆ~。誰かが勝手に入るなんて絶対に出来ないゆ~」

 鍵。
 たしかに壁に空いたちっちゃい穴に入ってこっち側に回り込んで鍵を開けられるのは、体を自由に変形できるスライムのアオちゃんくらいのものだろう。

「じゃあ僕たちと一緒にここに入ってきたとか?」

「なに? 誰かいるの? ここに入ってきたの私たちだけだったじゃない」

「ゆ。アオちゃんとおと~しゃま、おか~しゃまの三人だけゆ。他に誰もいなかったゆ」

「う~ん、となると……」


 状況説明。


「ニワトリの頭がいなくなった? 足でも生えて勝手に歩いていったんじゃない?」

「ハル、僕と同じ考えをするとかキミも結構アレだね」

「あら、カイトも同じこと考えてたの? お似合いじゃない、私たち」

「ゆ? おと~しゃまとおか~しゃま、昨日よりなんか仲良くなってりゅ?」

 なにげに鋭いアオちゃんの直感。

「そ、そうかな? おと~しゃまとおか~しゃまは前から仲いいよ? ね?」

「え、ええそうね! 仲いいもんね~カイト!」

「ゆ~? な~んか怪しいゆ。アオに隠れて美味しいものでも食べたゆ?」

「美味しいもの? まぁ、ある意味美味しいっちゃ美味しいけど……」

 ハッ──僕、正直に言い過ぎ?

「ゆ~! やっぱり! ズルいゆ! アオにも美味しいもの食べさせてほしいゆ~!」

 あ~、こうなるよね、そりゃ!

「わ~、違う違う! 美味しいってのはたとえで実際に美味しいわけじゃ……ハッ!」

 ゴゴゴゴゴゴゴ……!

「カイト? そんなに美味しくなかったんだぁ? へぇ~? 悪かったわね、不味いものを食わせちゃったみたいで!」

 あ~ん! 僕の言い方~!

「いや! 美味しかったぁ~! 美味すぎた! 最高だったよハル!」

「おと~しゃま、やっぱり食べてたゆ!」

「違うって、だから!」

「違うの!?」

「違うくない!」

「違うくないゆ!?」

「ちが~う! けど違うくない! 美味しかったのは美味しかったけど、食物じゃなくて比喩! 比喩として美味しかった!」

 と、ガサゴソとかばんを漁る音。

「だからアオちゃん!? カバンの中を漁っても食べ物なんか入ってないって!」

「ゆ? アオ、かばんなんか漁ってないゆ」

「へ? じゃあこの音は?」

 ガサゴソガサ。

「な……なにもないのにかばんが一人で動いてる!?」

 注目を浴びたかばんは一瞬動きを止めたのち、ボトリと地面に落ちた。

 ズザザザザ! 透明ななにかが逃げ去っていく音。

「ハル! 石投げて!」

「い、石!? でも当たらないよ!?」

「大丈夫!」


枠入自在アクターペイン


 今日も今日とて灰色世界でハルのLUKを「901」に上げてすぐさま現実に帰還。

「早く!」

「う、うん!」

 ボイっ。

 ヒュ~ン。

 カツンっ!

 ハルの投げた石は見事に透明なに命中し。

「あぶぶぶぶ……」

 あおむけになって口から泡を吹いてる──。


「お、女の子ぉ?」


 ロリロリ小柄な女の子を捕らえたのだった。
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