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おじさん、出戻るの巻
第10話 おじさん、手芸屋さんを覗く
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周囲からの視線が痛い。
そりゃそうだ。
かたや髪の毛ボサボサ、服ボロボロのおっさん。
かたや国の誉たる騎士団の団長。
そんな二人が並んで歩いてるわけで。
そりゃジロジロ見られて当然なわけで。
(不審者が連行されてるとでも思われてるんだろうな……)
けど。
「フフン♪」
隣を歩くセオリアはなぜか上機嫌。
しかも。
「セオリア……? なんで詰めてくるんだ……?」
なんか近い。
距離が。
肩と肩がぶつかりそう。
セオリアの着てる鎧はヘンテコだ。
肩のところが地肌むき出しというアホみたいな──じゃないな、え~っと「女騎士団らしさを強調した」デザインになっている。
なので、そこの体温というか……。
なんか「ビビビ~」っていうなにか。
熱のようなが念のような、そんななにかがチリチリと伝わってきて妙にイヤ~なかんじ。
「そう? 別に近くないと思うけど?」
えぇ~……。
サッ。
ササッ。
俺が端っこに避けると、セオリアも同じだけ距離を詰めてくる。
(……もしかして逃げるとでも思われてる?)
サッ。さらに一歩(俺)。
ササッ。さらにもう一歩(セオリア)。
「えと……セオリアさん? このままだと俺、露天にぶつかっちゃうんだけど?」
「は? ケントがよけるからでしょ?」
「よけなきゃお前とぶつかるだろうが」
「よくない?」
「は?」
「ぶつかってよくない? ほら、『そういうのでいいんだよ』じゃない?」
「よくないなぁ」
おいおい……何を言ってるんだ、こいつは。
「え~! いつもはよく『こういうのでいいんだよ』とか言ってるじゃない!」
「いやぁ、よくない。お前はもっと自分の立場とか周りの目とかを考えたほうがいいぞ?」
「はぁ!? それはケントの方でしょ!? あなたはもっと自分のことをちゃんと……」
あ、このままだとケンカになりそう。
ササッ。
とっさに露天を覗き込んでエスケープ。
すると──。
(ほぅ、これは……)
並べられた色とりどりな小物たちが目に飛び込んできた。
糸。刺しゅう。ミサンガ。リリアン。レース。ヒモやリボン。ボタンにちょっとした端切れなんかもある。基本的に全部小さい。
(ふふ……なんだかここだけちっちゃな春が訪れたみたいだ)
「おやまぁ、仲のおよろしいことで」
素朴な感じのおばちゃんが柔らかく声を掛けてくる。
「いや、別に仲は……」
「仲が良く見えますか!?」
俺を押しのけて食いつくセオリア。
おいおい……。
「ええ、そりゃもう。見えますとも。さぁ、今日という日の記念になにかどうですか?」
さり気なくセールストークに移行するおばちゃん。
う~ん、なかなかのやり手のようだ。
やはり自然体──。
こういう商売においても、やはり自然体が一番強いんだろうか。
「わぁ、かわいい! 見てケント! 糸でお花が作ってある! こっちは鳥!」
おばちゃんの手のひらで転がされるかのようにころりと売り物に食いつくセオリア。
いや、しかしそれにしても……。
「たしかにこれは可愛いな」
木箱の上に並べられた星型の刺繍や、何に使うのかわからない形の色んな糸細工。
どれも高価なものではない。
精工なわけでもない。
ぴょんぴょん糸がハネたりもしてる。
ところどころしくじったような箇所も。
でも──。
その手作り感がいいじゃないか。
温かくて。
まるで作り手の生活までが身近に感じられるような──。
うん、そうそう。
こういうのでいいんだよ。
「これはお姉さんが自分で作ったの?」
「そうだよ。にしても……お姉さんだなんて! まったくお上手なんだから旦那さんは!」
「だ、だだだだだだだ、だん……な……」
ボンッ!
っと、セオリアの頭から煙が噴いた気がした。
「あら、違ったかい? ごめんねぇ、あんまり仲が良かったんで、てっきり夫婦かと思っちゃったよ」
そう言っておばちゃんは俺にウインクする。
(ん……? わざと間違えた……? なんで?)
「おばちゃ──いえ、きれいなお姉様。ここにある商品を端から端まで全部もらおうかしら(早口でまくしたてるセオリア)」
(営業のために間違えたのか~!)
なるほど、まずは自然体を装い敵の懐へ入る。
そしてすかさず相手を動揺させ。
最後に一気に斬って捨てるわけか。
うむ、商売人ながらその手腕あっぱれ。
やはり達人ってのは、どの道でも通ずるものがあるんだなぁ。
「気持ちは嬉しいけどね。後からやっぱ返品なんて言われても困るからね。なんか一個にしときな。そっちのイケメンのお兄さんからプレゼントしてもらったらどうだい?」
「イケメ……?」
は? 俺?
いやいやいや、ただのおじさんだぞ俺は?
勘弁してくれ……。
「プレゼント……ケントからアクセサリー……」
ジッとこちらを見つめるセオリア。
そういえばセオリアに奢る約束したけど、結局奢ったのはイトロマフライとエールだけだったもんな……。
「なにか……欲しいものあるか?」
「買ってくれるの!?」
こんな嬉しそうな顔されたら、そりゃ、な。
「ああ」
「やったぁ~! え~っと、じゃぁ~、これっ! これが欲しいっ!」
そう言って黄色のミサンガを手に取る。
「そんなのでいいのか? もっと可愛いのあるんじゃ?」
「これがいいの。明るい色のほうがいいな……。これからの私も明るくありたいから……。それにあんまり可愛い色だと公務中に着けてられないし」
なるほど、そういうのもあるのか。
「わかった。じゃあお姉さん、今日はこれを」
「はいよ。それは少しだけだけど魔力が込められてるんだよ。切れた時に願いが一つ叶うって言われててね」
「ほんとっ!? じゃあ毎日お願いしよっ!」
商売の達人の言うことだ。
眉唾くらいに思っといた方がいいだろう。
でも……。
「えへへ! どう!? 似合う!?」
(この笑顔だけは、どう見ても本物、だな……)
だから。
いいじゃないか。
おばちゃんの言ったことが。
嘘でも。
本当でも。
だってセオリアの心にはもう──。
魔法がかかってるんだから。
嬉しそうにミサンガを着けた手首を上に掲げるセオリア。
そんな彼女と二人、並んで歩く。
彼女の過ごした孤児院へと向かって。
近づきすぎず。
離れすぎず。
ちょうどいい距離で。
うん。
そうだな。
これくらいでいいんだよ。
俺と、彼女の距離は。
そりゃそうだ。
かたや髪の毛ボサボサ、服ボロボロのおっさん。
かたや国の誉たる騎士団の団長。
そんな二人が並んで歩いてるわけで。
そりゃジロジロ見られて当然なわけで。
(不審者が連行されてるとでも思われてるんだろうな……)
けど。
「フフン♪」
隣を歩くセオリアはなぜか上機嫌。
しかも。
「セオリア……? なんで詰めてくるんだ……?」
なんか近い。
距離が。
肩と肩がぶつかりそう。
セオリアの着てる鎧はヘンテコだ。
肩のところが地肌むき出しというアホみたいな──じゃないな、え~っと「女騎士団らしさを強調した」デザインになっている。
なので、そこの体温というか……。
なんか「ビビビ~」っていうなにか。
熱のようなが念のような、そんななにかがチリチリと伝わってきて妙にイヤ~なかんじ。
「そう? 別に近くないと思うけど?」
えぇ~……。
サッ。
ササッ。
俺が端っこに避けると、セオリアも同じだけ距離を詰めてくる。
(……もしかして逃げるとでも思われてる?)
サッ。さらに一歩(俺)。
ササッ。さらにもう一歩(セオリア)。
「えと……セオリアさん? このままだと俺、露天にぶつかっちゃうんだけど?」
「は? ケントがよけるからでしょ?」
「よけなきゃお前とぶつかるだろうが」
「よくない?」
「は?」
「ぶつかってよくない? ほら、『そういうのでいいんだよ』じゃない?」
「よくないなぁ」
おいおい……何を言ってるんだ、こいつは。
「え~! いつもはよく『こういうのでいいんだよ』とか言ってるじゃない!」
「いやぁ、よくない。お前はもっと自分の立場とか周りの目とかを考えたほうがいいぞ?」
「はぁ!? それはケントの方でしょ!? あなたはもっと自分のことをちゃんと……」
あ、このままだとケンカになりそう。
ササッ。
とっさに露天を覗き込んでエスケープ。
すると──。
(ほぅ、これは……)
並べられた色とりどりな小物たちが目に飛び込んできた。
糸。刺しゅう。ミサンガ。リリアン。レース。ヒモやリボン。ボタンにちょっとした端切れなんかもある。基本的に全部小さい。
(ふふ……なんだかここだけちっちゃな春が訪れたみたいだ)
「おやまぁ、仲のおよろしいことで」
素朴な感じのおばちゃんが柔らかく声を掛けてくる。
「いや、別に仲は……」
「仲が良く見えますか!?」
俺を押しのけて食いつくセオリア。
おいおい……。
「ええ、そりゃもう。見えますとも。さぁ、今日という日の記念になにかどうですか?」
さり気なくセールストークに移行するおばちゃん。
う~ん、なかなかのやり手のようだ。
やはり自然体──。
こういう商売においても、やはり自然体が一番強いんだろうか。
「わぁ、かわいい! 見てケント! 糸でお花が作ってある! こっちは鳥!」
おばちゃんの手のひらで転がされるかのようにころりと売り物に食いつくセオリア。
いや、しかしそれにしても……。
「たしかにこれは可愛いな」
木箱の上に並べられた星型の刺繍や、何に使うのかわからない形の色んな糸細工。
どれも高価なものではない。
精工なわけでもない。
ぴょんぴょん糸がハネたりもしてる。
ところどころしくじったような箇所も。
でも──。
その手作り感がいいじゃないか。
温かくて。
まるで作り手の生活までが身近に感じられるような──。
うん、そうそう。
こういうのでいいんだよ。
「これはお姉さんが自分で作ったの?」
「そうだよ。にしても……お姉さんだなんて! まったくお上手なんだから旦那さんは!」
「だ、だだだだだだだ、だん……な……」
ボンッ!
っと、セオリアの頭から煙が噴いた気がした。
「あら、違ったかい? ごめんねぇ、あんまり仲が良かったんで、てっきり夫婦かと思っちゃったよ」
そう言っておばちゃんは俺にウインクする。
(ん……? わざと間違えた……? なんで?)
「おばちゃ──いえ、きれいなお姉様。ここにある商品を端から端まで全部もらおうかしら(早口でまくしたてるセオリア)」
(営業のために間違えたのか~!)
なるほど、まずは自然体を装い敵の懐へ入る。
そしてすかさず相手を動揺させ。
最後に一気に斬って捨てるわけか。
うむ、商売人ながらその手腕あっぱれ。
やはり達人ってのは、どの道でも通ずるものがあるんだなぁ。
「気持ちは嬉しいけどね。後からやっぱ返品なんて言われても困るからね。なんか一個にしときな。そっちのイケメンのお兄さんからプレゼントしてもらったらどうだい?」
「イケメ……?」
は? 俺?
いやいやいや、ただのおじさんだぞ俺は?
勘弁してくれ……。
「プレゼント……ケントからアクセサリー……」
ジッとこちらを見つめるセオリア。
そういえばセオリアに奢る約束したけど、結局奢ったのはイトロマフライとエールだけだったもんな……。
「なにか……欲しいものあるか?」
「買ってくれるの!?」
こんな嬉しそうな顔されたら、そりゃ、な。
「ああ」
「やったぁ~! え~っと、じゃぁ~、これっ! これが欲しいっ!」
そう言って黄色のミサンガを手に取る。
「そんなのでいいのか? もっと可愛いのあるんじゃ?」
「これがいいの。明るい色のほうがいいな……。これからの私も明るくありたいから……。それにあんまり可愛い色だと公務中に着けてられないし」
なるほど、そういうのもあるのか。
「わかった。じゃあお姉さん、今日はこれを」
「はいよ。それは少しだけだけど魔力が込められてるんだよ。切れた時に願いが一つ叶うって言われててね」
「ほんとっ!? じゃあ毎日お願いしよっ!」
商売の達人の言うことだ。
眉唾くらいに思っといた方がいいだろう。
でも……。
「えへへ! どう!? 似合う!?」
(この笑顔だけは、どう見ても本物、だな……)
だから。
いいじゃないか。
おばちゃんの言ったことが。
嘘でも。
本当でも。
だってセオリアの心にはもう──。
魔法がかかってるんだから。
嬉しそうにミサンガを着けた手首を上に掲げるセオリア。
そんな彼女と二人、並んで歩く。
彼女の過ごした孤児院へと向かって。
近づきすぎず。
離れすぎず。
ちょうどいい距離で。
うん。
そうだな。
これくらいでいいんだよ。
俺と、彼女の距離は。
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