転校生は朝ドラ女優!?

小暮悠斗

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第四幕 VS大手レコード会社

ACT103

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 人気作曲家の提供した楽曲を却下したMIKAとHIKARU。
 しかし、ただ気に食わないと言う理由で却下したわけではないらしく、もっといい曲を作る作曲家がいるとのこと。

 MIKAは手早くスマホを操作。
 論より証拠とでも言いたげな顔で、スマホをテーブールの中央に置く。
 私たちは小さな液晶画面を覗き込む。

(……ユーチューブ?)

 大手配信動画サイトが映っていた。
 まさかとは思うけど……

「この人の曲が最高だと思う」

 やっぱり!?
 さすがにデビュー曲の作曲がユーチューバーというのはどうだろうか?
 肯定しかねる。
 それに動画の再生回数を見てみると、1000回を少し超えただけ……ダメじゃん!?

「これだから素人は」

 MIKAは苛立った声で呟く。

(やべっ!? 声、出てた?)

「出てなくても分かるから」

 最早エスパー。
 完全に思考を読まれている。

「まあ、あれだけ露骨に顔に出されたら、ね?」

 HIKARUがフォロー(?)を入れてくれる。

 それにしてもそんなに顔に出てたかな?
 真希ならともかく、私はそこまで……
 真希の方へと目をやると。

 無表情。
 何この完璧なポーカーフェイス!?
 やはり真希も女優と言う事なのか?
 以前共演した映画で真希の真の実力はこの身を以て体感した。
 さすがと言うべきなのか。

「再生回数1000回とかダメダメじゃない」

 そんなことはなかった。
 表情に出なくても、真希は声に出しちゃう娘だった。

 これにはあからさまに嫌な顔を見せるMIKA。

 ダメでしょと、真希の膝辺りを叩くと、

「何すんのよ! 痛いじゃない!」

 何故すぐに声に出す?
 脊髄反射か、脊髄反射なのか?
 最近知った(理解した)言葉なので多用してみたりしながら心の中で真希を罵った(?)。

 これ以上MIKAを刺激するのは避けたかったので、「それでどんな曲なの?」と再生するように急かす。

 するとMIKAは眉を顰めたまま画面をタップした。
 動画が再生されるや否や、皆黙り込み、スマホから流れてくるその楽曲に耳を傾けた。
 三分ちょっとの動画だ。
 動画が終わる頃には、誰しもがその楽曲の虜になっていた。

「やっぱり最高」

 MIKAの呟きに今度は同意した――せざるを得なかった。
 きっとこの彼(?)は天才なのだろうと思った。
 音楽に関しては素人の私でもわかる。これは良い曲だ。
 そう感じたのは私だけでなく、真希も「まあ、いいんじゃない」とぶっきら棒に言う。
 真希の「まあ、いいんじゃない」は最大の賛辞に等しい。

「この人に作曲頼むことに異論ある人は?」

 高圧的態度でMIKAが言う。
 その隣でHIKARUが、誰も異議を唱えなのを見て、「それじゃ、この作曲の件は決定ということで」と手を叩く。

 誰も異論はない。
 しかし、どうやってこの投稿者を突き止めるのか。
 目下の課題はそこにあるように思えた。
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