53 / 111
第二幕 映画撮影と超新星
ACT52
しおりを挟む
赤崎くんとの事の顛末を話すと何故かお母さんは喜んだ。
空気読めよと、心の声が漏れ出す高野さん。
あの~、高野さんも空気を読んで口に出さないでほしかったな……。
結局、別れたの? それともただの痴話喧嘩なの? 瑞樹が熱心に根掘り葉掘り聞こうと躍起になっている。昨日、電話して来てもらっていた。呼ばなきゃよかった。
アナタ、私の親友でしょ!? 慰めてよ!!
もしかして私の周りって、まともな人居ないのかしら?
「今更ね」
わッ!? やはり高野さんはエスパー!?
「だから私エスパーじゃないから」
「また心を読まれた!?」
「読んでないから」
「やはり――」
「これ、何回繰り返す?」
「もういいです……」
なんでこう結衣って心の声が筒抜けになるのかしら? と瑞樹。
「それは勿論私の育て方がいいから――」
「甘やかされて育ったから、本心を隠すとかっていう術を学べなかったのよ。まあ、いいんじゃない、温室育ちって感じでチョロそう。だから太刀川みたいなガキに踊らされるのよ。それにせっかくの本命も逃がしちゃうし」
何も褒めてくれていない上に、今、一番触れてもらいたくない話題を……。何故、蒸し返した!?
遊ばれている事は間違いないだろう。
「ねぇ結衣。今日は撮影無いの?」
……あります……。
「今何時!?」
「えーと、10時ね」
「今日の差杖開始時間は?」
「10時半からよ」
「ここ(家)からスタジオまで何分?」
「20分」
~!? 急がなと、まだ支度何もしてないのにぃ~。
なんで高野さんこんなに落ち着いてるの。案の定、お母さんは焦ってるのに。
「結衣! 早く仕度しなさい」
「はーい!」
今日も朝から慌ただしい新田家であった。
ついに撮影はラストシーンの撮影を残すのみとなっていた。
色々あったけど……現在進行形で色々と問題は山積みなのだけど、ついに今日クランクアップを迎える(予定)。
ラストシーンでは今までに劇中に登場した人が一堂に会する。
何かボリウッド映画(インド映画)みたい。
最後はみんなで踊ったりするのかしら?
最近は、「◯◯ダンス」とかってドラマの最後にみんな踊るようになったし、映画もそろそろ時代に乗っかるのかしら?
おっと、いけない。まだ撮影は終わっていないのに気を緩めていたら、また王子監督にどやされちゃう。
怒ると豹変するからあの人。気を付けないと。
――あっ、監督が挨拶するみたい。
「あー、おそらく今日がみんなと撮影する最後の日だ。みんなが俺の事を、「ドS」とか「鬼」とか読んでいるのは知っている」
知ってたんだ。
「個人的には、鬼よりもドSの方で呼んでもらえればと思う。「鬼王子」よりも「ドS王子」の方がしっくりくるからな」
よっ、ドS王子!!
合いの手を入れるのは瀧川さんだ。
今回の映画ではほとんど共演なかったな。ちょっと残念。
「ありがとう瀧川君。折角だから彼の声援に応えてクランクアップまでは「ドS王子」で頑張りたいと思う」
声援を送った瀧川さんは他の共演者にボコボコにされている。
私も近くにいたら叩いてたかも。
「さあ、最後だ! 最高の一日にしよう!!」
「「おおー!!」」
いつもよりも少し明るい雰囲気で撮影は始まった。
良かったのは最初だけ。ダメ出しの大安売り。
撮影最終日はいつにも増してドS王子が目を光らしており、すぐに顔を覗かせる。
でもみんな最終日だからか、気合いの入りようが違う。
見事にドS王子の難題に応えていく。
「――ハイ、OK!」
テイク10でようやく解放された。
ん? モニターで映像を確認する前に王子監督がどこかに行っちゃった……何かあったのかな?
「最後にひと波乱あるかも」
「――ッ! ビックリした~。何ですか瀧川さん。ひと波乱って?」
いつの間にか私の背後に立っていた瀧川さんが、スマホを操作して動画サイトを見せる。
「コレって……」
「ね! これはマズイよね!」
なぜか楽しげな瀧川さんの言う通り、最後にひと波乱待ち受けていそうな予感。
空気読めよと、心の声が漏れ出す高野さん。
あの~、高野さんも空気を読んで口に出さないでほしかったな……。
結局、別れたの? それともただの痴話喧嘩なの? 瑞樹が熱心に根掘り葉掘り聞こうと躍起になっている。昨日、電話して来てもらっていた。呼ばなきゃよかった。
アナタ、私の親友でしょ!? 慰めてよ!!
もしかして私の周りって、まともな人居ないのかしら?
「今更ね」
わッ!? やはり高野さんはエスパー!?
「だから私エスパーじゃないから」
「また心を読まれた!?」
「読んでないから」
「やはり――」
「これ、何回繰り返す?」
「もういいです……」
なんでこう結衣って心の声が筒抜けになるのかしら? と瑞樹。
「それは勿論私の育て方がいいから――」
「甘やかされて育ったから、本心を隠すとかっていう術を学べなかったのよ。まあ、いいんじゃない、温室育ちって感じでチョロそう。だから太刀川みたいなガキに踊らされるのよ。それにせっかくの本命も逃がしちゃうし」
何も褒めてくれていない上に、今、一番触れてもらいたくない話題を……。何故、蒸し返した!?
遊ばれている事は間違いないだろう。
「ねぇ結衣。今日は撮影無いの?」
……あります……。
「今何時!?」
「えーと、10時ね」
「今日の差杖開始時間は?」
「10時半からよ」
「ここ(家)からスタジオまで何分?」
「20分」
~!? 急がなと、まだ支度何もしてないのにぃ~。
なんで高野さんこんなに落ち着いてるの。案の定、お母さんは焦ってるのに。
「結衣! 早く仕度しなさい」
「はーい!」
今日も朝から慌ただしい新田家であった。
ついに撮影はラストシーンの撮影を残すのみとなっていた。
色々あったけど……現在進行形で色々と問題は山積みなのだけど、ついに今日クランクアップを迎える(予定)。
ラストシーンでは今までに劇中に登場した人が一堂に会する。
何かボリウッド映画(インド映画)みたい。
最後はみんなで踊ったりするのかしら?
最近は、「◯◯ダンス」とかってドラマの最後にみんな踊るようになったし、映画もそろそろ時代に乗っかるのかしら?
おっと、いけない。まだ撮影は終わっていないのに気を緩めていたら、また王子監督にどやされちゃう。
怒ると豹変するからあの人。気を付けないと。
――あっ、監督が挨拶するみたい。
「あー、おそらく今日がみんなと撮影する最後の日だ。みんなが俺の事を、「ドS」とか「鬼」とか読んでいるのは知っている」
知ってたんだ。
「個人的には、鬼よりもドSの方で呼んでもらえればと思う。「鬼王子」よりも「ドS王子」の方がしっくりくるからな」
よっ、ドS王子!!
合いの手を入れるのは瀧川さんだ。
今回の映画ではほとんど共演なかったな。ちょっと残念。
「ありがとう瀧川君。折角だから彼の声援に応えてクランクアップまでは「ドS王子」で頑張りたいと思う」
声援を送った瀧川さんは他の共演者にボコボコにされている。
私も近くにいたら叩いてたかも。
「さあ、最後だ! 最高の一日にしよう!!」
「「おおー!!」」
いつもよりも少し明るい雰囲気で撮影は始まった。
良かったのは最初だけ。ダメ出しの大安売り。
撮影最終日はいつにも増してドS王子が目を光らしており、すぐに顔を覗かせる。
でもみんな最終日だからか、気合いの入りようが違う。
見事にドS王子の難題に応えていく。
「――ハイ、OK!」
テイク10でようやく解放された。
ん? モニターで映像を確認する前に王子監督がどこかに行っちゃった……何かあったのかな?
「最後にひと波乱あるかも」
「――ッ! ビックリした~。何ですか瀧川さん。ひと波乱って?」
いつの間にか私の背後に立っていた瀧川さんが、スマホを操作して動画サイトを見せる。
「コレって……」
「ね! これはマズイよね!」
なぜか楽しげな瀧川さんの言う通り、最後にひと波乱待ち受けていそうな予感。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
こちら、付喪神対策局
柚木ゆず
キャラ文芸
長年大事にされてきた物に精霊が宿って誕生する、付喪神。極まれにその際に精霊の頃の記憶を失ってしまい、『名』を忘れたことで暴走してしまう付喪神がいます。
付喪神対策局。
それは、そんな付喪神を救うための組織。
対策局のメンバーである神宮寺冬馬と月夜見鏡は今夜も、そんな付喪神を救うために東京の空の下を駆けるのでした――。
パーフェクトアンドロイド
ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。
だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。
俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。
レアリティ学園の新入生は100名。
そのうちアンドロイドは99名。
つまり俺は、生身の人間だ。
▶︎credit
表紙イラスト おーい
高校生なのに娘ができちゃった!?
まったりさん
キャラ文芸
不思議な桜が咲く島に住む主人公のもとに、主人公の娘と名乗る妙な女が現われた。その女のせいで主人公の生活はめちゃくちゃ、最初は最悪だったが、段々と主人公の気持ちが変わっていって…!?
そうして、紅葉が桜に変わる頃、物語の幕は閉じる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
CODE:HEXA
青出 風太
キャラ文芸
舞台は近未来の日本。
AI技術の発展によってAIを搭載したロボットの社会進出が進む中、発展の陰に隠された事故は多くの孤児を生んでいた。
孤児である主人公の吹雪六花はAIの暴走を阻止する組織の一員として暗躍する。
※「小説家になろう」「カクヨム」の方にも投稿しています。
※毎週金曜日の投稿を予定しています。変更の可能性があります。
ルナール古書店の秘密
志波 連
キャラ文芸
両親を事故で亡くした松本聡志は、海のきれいな田舎町に住む祖母の家へとやってきた。
その事故によって顔に酷い傷痕が残ってしまった聡志に友人はいない。
それでもこの町にいるしかないと知っている聡志は、可愛がってくれる祖母を悲しませないために、毎日を懸命に生きていこうと努力していた。
そして、この町に来て五年目の夏、聡志は海の家で人生初のバイトに挑戦した。
先輩たちに無視されつつも、休むことなく頑張る聡志は、海岸への階段にある「ルナール古書店」の店主や、バイト先である「海の家」の店長らとかかわっていくうちに、自分が何ものだったのかを知ることになるのだった。
表紙は写真ACより引用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる